物理学特講C
 Physics Special Lecture C
 担当教員:平松 尚志(HIRAMATSU Takashi)
 担当教員の所属:立教大学
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:1単位  開講形態:講義
 開講対象:理学部理学科  科目区分:集中講義 
【授業の目的】
宇宙紐は、極初期宇宙における場の自発的対称性の破れによって生じる宇宙論的位相欠陥の一つです。宇宙紐はネットワーク構造を作り、その時間発展の過程で重力波や高エネルギー粒子の放出を行うので、それを観測することで極初期宇宙の姿に迫ることができます。理論的な面でも、大統一理論の検証など、地上の加速器実験等では届かない超高エネルギーの物理を切り拓くための重要な役割を担っています。宇宙紐は場の非線形効果に基くオブジェクトであり、その研究には数値シミュレーションが欠かせません。そこで本講義では、Abelian-Higgs モデルにおける宇宙紐の特徴を理解し、最終的に、3次元のAbelian-Higgs モデルでの宇宙紐のシミュレーションを自分で行い、そこから宇宙紐の位置や各種物理量を読み取れるようになることを目標とします。

【授業の到達目標】
1. Abelian-Higgsストリングの特徴を理解し、説明できる
2. 場の理論的シミュレーションコードで行っていることを理解し、説明できる。
3. C言語を用いたスカラー場とゲージ場の実装方法を理解し、説明できる。
4. シミュレーションデータから物理量を読み取る手法を理解し、説明できる。

【授業概要(キーワード)】
宇宙紐・数値計算・場の理論

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
選択したコースカリキュラムの専門的知識を身に付け、その分野の先端的な研究内容を理解し、説明できる能力を身に付ける。(理学部理学科ディプロマ・ポリシー参照)

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
基本的にはスライドを用いた講義形式で授業を進めます(一部板書もあります)。実際のコードを例示しますので、授業で紹介するフリーの開発環境(Replit) を用いるか、必要があればノートパソコン等を持参して自分で試すようにしてください。
・日程
第1回目 宇宙紐の基礎
第2回目 数値計算の基礎
第3回目 スカラー場とゲージ場の実装 I (差分法)
第4回目 スカラー場とゲージ場の実装 II (時間発展)
第5回目 初期条件と境界条件  
第6回目 シミュレーションデータの解析 I(位相とエネルギー密度)
第7回目 シミュレーションデータの解析 II(宇宙紐の位置の同定)

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義で示されるスライドを参考に講義内容をノートに筆記するだけでなく、頭の中でコードの動作をイメージすることを心がけてください。 また、積極的に質問し、理解できないまま先に進んでしまうようなことがないようにしてください。
準備修学:3時間程度でC言語の基礎本事項を学んでおくと良い
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
授業の最後にレポート課題を出します。授業で習った内容を復習するとともに、実際に自分の手でコードを作成し、動かすことによって理解を深めるよう努めてください。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した宇宙紐に関する基礎的な事項、および場の理論的シミュレーションコード内で行われていることについて適切に説明できることを合格の基準とします。
・方法
授業後に課すレポートの内容で評価します。

【テキスト・参考書】
この講義では特定のテキストは使用しません。講義資料を配布します。

【その他】
・学生へのメッセージ
数値計算に慣れていない学生に向けて数値計算の初歩的な部分から説明をしますが、そういった学生にとっては、実装に関する解説は難しく感じるかと思います。そのため、コードが書けなくても、少なくともコードの全体像は理解するように心がけてください。
・オフィス・アワー
講義に関する学生からの質問は、各回の講義終了後または開始前に受け付けます。 全日程の終了後はメール等でも質問を受け付けます。

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