【授業の目的】
課題解決能力と研究基礎力の向上を図るため、無機化学分野における基本的な概念や理論への理解を深め、また、その最先端に触れることを目的とする(理学部カリキュラム・ポリシー CP2)。具体的には、無機化学Iで学習した基礎的知識を発展させ、サブテーマ(1)「金属錯体の反応性」とサブテーマ(2)「無機化学と生体化学」が融合した化学分野について幅広く学習します。
【授業の到達目標】
サブテーマ(1)では、金属錯体の構造を遷移金属イオンのd軌道と配位子の軌道の重なりから配子場理論を整理・理解し、金属錯体の反応性について適切に説明できるようになることを到達目標とします。【知識・理解】 サブテーマ(2)では、生体内での金属元素の働きを理解し、金属酵素や金属タンパク質の構造と働きについて説明できるようになることを到達目標とします。【知識・理解】
【授業概要(キーワード)】
配子場理論,π酸性配位子,キレート効果,トランス効果,金属酵素,金属タンパク質
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
化学の専門的知識を身に付け、その分野の先端的な研究内容を理解・説明できる能力を身に付け(理学部ディプロマ・ポリシー DP7)、また、その専門的知識を自己の中に体系化し、幅広い視野と探究心を身に付けるため、基礎元素化学、無機化学I、無機化学演習、無機化学実験と相互に連携した総合的な授業の位置付けです。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
02.飢餓をゼロに 03.すべての人に健康と福祉を 07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう 12.つくる責任つかう責任
【授業計画】
・授業の方法
テキスト等を利用して作成した資料をプロジェクターを使って説明します。また、適宜、配布したプリントを使った説明を通じて講義形式で進めます。教員からの一方通行の授業でなく、適宜、学生に向けての質疑応答を求めることがあります。
・日程
第1回 分子軌道の考え方に基づく配位子場理論の復習と整理 第2回 金属錯体の電子スペクトルの復習と整理 第3回 金属錯体の溶液内平衡 第4回 キレート効果 第5回 配位子の置換反応と速度論 第6回 トランス効果 第7回 電子移動反応 第8回 第1~7回の授業に関する到達度試験とまとめ 第9回 生体における金属元素の役割 第10回 金属タンパク質による酸素運搬 第11回 金属酵素による活性酸素の消去 第12回 植物の酸素発生 第13回 金属酵素による水素発生と窒素固定 第14回 金属酵素による加水分解と酸素添加反応 第15回 第9~14回の授業に関する到達度試験とまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
テキスト等に線を引くなどして活用すること。プロジェクターによる説明・板書した内容を整理して、その理解に努め、質疑応答にも積極的に参加すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
適宜、具体的に宿題を提示し自主学習を促しますが、それ以外でも、次回の講義までに、適宜、webclassにアップロードした資料、テキスト・配布物・講義ノートを活用して必ず復習をすること。また、テキストや、参考書による検索も含めて、予習をしておくことを勧めます。
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示したように、サブテーマ(1)では、金属錯体の構造を遷移金属イオンのd軌道と配位子の軌道の重なりから配子場理論を整理・理解し、金属錯体の反応性について適切に説明できることを合格の基準とします。 サブテーマ(2)では、生体内の金属元素の働きについて理解するとともに、金属酵素や金属タンパク質の活性中心の構造と機能を理解し、適切に説明できることを合格の基準とします。
・方法
サブテーマ(1)とサブテーマ(2)の到達度試験を実施し、それぞれ50点の合計100点で評価します。
【テキスト・参考書】
サブテーマ(1):「基礎無機化学」(3版、無機化学Iで使用したもの)(荻野・飛田・岡崎 著:東京化学同人)。 サブテーマ(2):参考書「基礎無機化学」(荻野・飛田・岡崎 著:東京化学同人)、「生物無機化学-金属元素と生命の関わり-」(増田・福住 編著:三共出版)
【その他】
・学生へのメッセージ
他の無機化学系の授業(基礎元素化学、無機化学I、無機化学演習)や無機化学実験を含めて、体系的・発展的な理解ができるようになることが重要です。
・オフィス・アワー
栗原:授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は、栗原研究室(理学部2号館2階205室)において、原則、昼休み(12時~13時)としますが、これに限らず在室している時は随時対応します。 崎山:授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は、崎山研究室(理学部2号館2階206室)において、原則、授業がある日の昼休み(12時~13時)としますが、これに限らず9時から17時の間で在室している時は随時対応します。
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