材料力学Ⅱ
 Mechanics of Materials II
 担当教員:黒田充紀(KURODA Mitsutoshi)
 担当教員の所属:理工学研究科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):大型土木構造物の設計実務(主として高速道路)(黒田充紀)
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
この科目は,学習・教育到達目標(C)機械工学の応用力〔CP3〕に対応しています.
材料力学Iまでは釣合いの式を拠り所として力学を考えてきた.本科目では様々な形態のエネルギー原理が成立することを知り,力学問題をエネルギーの視点から捉え直す.これにより,極めて効率の良い解法を導出し,機械設計等で用いられる実践的構造解析手法を身につける(「実践的機械工学(C)」[CP3, DP4]).本授業では,まず,正確な応力とひずみの定義を学び,多軸応力状態について理解した後に,種々のエネルギー原理について学習し,さらに広範な演習問題に取り組むことによって応用問題の解析能力を養う.

【授業の到達目標】
この科目は,学習・教育到達目標(C)機械工学の応用力〔DP4〕〔DP9〕に対応しています.
1.多軸応力状態に対する正確な応力とひずみをテンソル量として認識することができる。
2.ひずみエネルギーの概念を完全に理解した上で,現応力とひずみ増分からひずみエネルギーを計算することができる。
3.種々のエネルギー原理を釣合いの式を出発点として導出することができる。
4.エネルギー原理を応用して,静定・不静定はりやトラス構造の変形解析が実行できる。
5.多軸応力状態における主応力,最大せん断応力とそれらが発生する方向を計算することができる。

【授業概要(キーワード)】
キーワード:引張り・圧縮・せん断力と歪,材料の強度と許容応力,
応力解析,組合せ応力,多軸応力,歪エネルギーとエネルギー原理.

【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習・教育到達目標のうち,(C)機械工学の応用力〔CP3〕,〔DP4〕,〔DP9〕の力を養成するための科目である.

【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
12.つくる責任つかう責任

【授業計画】
・授業の方法
1回90分の講義(毎回演習付き)を15回行う.演習の一部としてレポート提出(ほぼ毎回)を課す.「基礎材料力学及び演習」,「材料力学I」で使用したテキストも参考として用いるが,担当者作成の資料(オリジナルテキスト)をメインに用いる.オンラン学習システムWecClassを使用。資料の配布、課題の提出は全てWecClass上で行う。
・日程
第1週 応力解析の基礎(物体表面に作用する荷重,応力テンソル,表面における荷重と応力の関係)
[予習]オリジナルテキストのP.1~3を見て,応力テンソルについて調べる.
[復習]テンソル演算に関する演習,Cauchyの式の導出演習(内容は講義で説明))を解いてレポートとして提出.

第2週 応力解析の基礎(応力の平衡方程式,ひずみテンソル)
[予習]オリジナルテキストのP.4~5を読んで応力の平衡方程式ついて調べる.
[復習・課題]応力テンソルの対称性の証明してレポートとして提出.

第3週 ひずみエネルギーの定義といつくかの例題(1軸引張問題,はりの曲げ問題)
[予習]オリジナルテキストのP.6~7を読んでひずみエネルギーの定義について調べる.
[復習]オリジナル問題集のp.9の問いを解いてレポートとして提出.

第4週 仮想仕事の原理と補仮想仕事の原理,及びダミー荷重法によるはりのたわみ計算(基本問題1)
[予習]オリジナルテキストのP.10~12を読んで(補)仮想仕事の原理について調べる.
[復習]オリジナルテキスト所載の問題(講義で指定)を解いてレポートとして提出.

第5週 仮想仕事の原理と補仮想仕事の原理,及びダミー荷重法によるはりのたわみ計算(基本問題2)
[予習]オリジナルテキストのP.14の問題を見て,曲がったはりのひずみエネルギーを計算する戦略を練っておく(三角関数,極座標表示を活用).
[復習]オリジナルテキスト所載の問題(講義で指定)を解いてレポートとして提出.

第6週 仮想仕事の原理と補仮想仕事の原理,及びダミー荷重法によるはりのたわみ計算(応用問題, 前半内容のまとめの総合演習)
[予習]これまで学習した学術的内容と演習問題を確認しておく
[復習]総合演習の全ての問題の完答.

第7回 中間試験および解説
[予習]前回までにレポート提出した練習問題,ならびにオリジナルテキストの例題.
[復習]中間試験の全ての問題の完答.

第8週 最小ポテンシャルエネルギー原理とカスティリアノの第一定理,最小コンプリメンタリーエネルギー原理とカスティリアノの第二定理(はりのたわみ計算1)
[予習]オリジナルテキストのP.15~18を読んで最小ポテンシャルエネルギー原理と最小コンプリメンタリーエネルギー原理について調べる.
[復習]最小ポテンシャルエネルギー原理からカスティリアノの第一定理の誘導,最小コンプリメンタリーエネルギー原理からカスティリアノの第二定理の誘導.オリジナルテキスト所載の問題(講義で指定)を解いてレポートとして提出.

第9週 トラス構造とそのエネルギー原理を用いた解析
[予習]静定トラス構造について調べておく.
[復習]オリジナルテキスト所載のトラスのたわみ計算の問題(講義で指定)を解いてレポートとして提出.

第10週 エネルギー原理の不静定はり構造解析への応用(基本問題)
[予習]オリジナルテキストのP.20~21を読んで不静定はり構造をエネルギー原理を用いて解く方法を調べておく.
[復習]オリジナルテキスト所載の問題(講義で指定)を解いてレポートとして提出.

第11週 エネルギー原理の不静定はり構造解析への応用(応用問題)
[予習]不静定ラーメン構造,アーチ構造について調べておく
[復習]オリジナルテキスト所載の問題(講義で指定)を解いてレポートとして提出.

第12週 組み合わせ応力,主応力(応力テンソルの固有値と固有ベクトル)
[予習]オリジナルテキストのP.24を読んで,平面応力状態について調べておく.
[復習]オリジナルテキスト所載の問題(講義で指定)を解いてレポートとして提出.

第13週 最大せん断応力
[予習]オリジナルテキストのP.26を読んで,最大せん断応力について調べておく.
[復習]オリジナルテキスト所載の問題(講義で指定))を解いてレポートとして提出.

第14週 後半の第8回~第13回の内容の応用課題演習(まとめの総合演習により理解を整理する)
[予習]これまで学習した学術的内容と演習問題を確認しておく
[復習]総合演習の全ての問題の完答.

第15回 期末試験および総括,今後の材料力学関連科目等に関する学習の展望
[予習]これまでレポート提出した練習問題の内容,ならびにオリジナルテキストの例題.
[復習]期末試験の全ての問題の完答.

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
履修が確認された後には,欠席をしないこと.授業には2-3週間の連続性があり,前回の内容が記憶に無ければ授業を理解する前提が崩れてしまう.課題を確実にこなすこと.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
2-3週の授業が連続した内容となるので,しっかり復習・予習を行い,授業開始前には前週の授業内容が鮮明に記憶に出ていること.

1.授業内容で扱う問題(例題)の解き方を,もう一度トレースしてから,演習問題に進むこと.
2.演習問題(宿題)はすべて自分で解き,正解にたどり着くまで諦めずに解くこと(計算量は比較的多い).

【成績の評価】
・基準
ひずみエネルギー原理とその応用問題への適用に関する理解度:60%, 正確な応力とひずみの定義の理解度:25%,主応力と最大せん断応力の理解度:15% とする.
・方法
最終試験40点,中間試験40点,演習(提出物)20点として,総合的に評価し,合計60点以上を合格とする.

【テキスト・参考書】
◎担当者作成の資料:オリジナルテキスト 「材料力学II」(WebClassからダウンロード)
△野田直剛・谷川義信他,「要説 材料力学」,日新出版,2940円.


竹園茂男,「基礎材料力学」,朝倉書店,3296円 /
冨田佳宏・仲町英治・中井善一・上田整,「材料の力学」,朝倉書店,3400円 /

【その他】
・学生へのメッセージ
講義で理解できなかった点や、疑問に思ったことは積極的に質問に来ること。
・オフィス・アワー
質問等がある場合は、授業終了後に直接聞きに来る、研究室をたずねる,WebClass上メッセージを送る.

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