品質管理
 An Introduction to Quality Control
 担当教員:立花 和宏(Tachibana Kazuhiro)
 担当教員の所属:工学部
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):大日本印刷(株)の製造現場においてディスプレイ、半導体、微細加工の研究開発の経験がある教員が,QC活動、5S活動、クレーム対応などの経験を活かして、実践的なモノづくりの在り方について講義する。
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:化学・バイオ工学科  科目区分:総合科目・選択必修、教職科目(工業) 
【授業の目的】
産業革命によって、工業製品の生産様式が、手工業から機械工業へ変わり、大量生産が可能になった。 顧客からは、工業製品の品質管理が問われるようになった。 品質管理も、顧客の変化にあわせて検査重点主義、工程管理主義、新製品開発主義へと移っていった。 産業の発展にともない、工業製品だけでなくデータ、サービス、経営管理などが標準化の対象になった。 このような時代にあって、デジタル社会の実現に向けて、数学、物理学及び情報処理を応用し、 これからの品質管理の在り方を提案できる総合力を養うことを目的とする。

【授業の到達目標】
(1)品質管理の社会的な意義について述べることができる【知識・理解】※DP1-1
(2)物理量や工業量を、数値や序列などの尺度で客観的なデータとして測定できる【技能】※DP2-2
(3)物理量や工業量を、数値や序列などの尺度で客観的なデータとして表現できる【知識・理解】※DP3-2
(4)平均や標準偏差などの統計量やQC7つ道具を計算できる【知識・理解】※DP3-1
(5)品質管理の概念を製品やサービスの研究開発に応用できる【態度・習慣】※DP1-3

【授業概要(キーワード)】
品質管理,QC,大量生産,製品,サービス, 測定,単位,校正,標準,トレーサビリティ, 計測,制御,機械化,自動化,オートメーション, 誤差,不確かさ,ばらつき,かたより, 品質保証,QA,信頼性,故障,保全,安全, PDCA,ISO,HACCP,シックスシグマ,6σ, サンプリング法,分析,測定,データサイエンス, 統計的手法,QC7つ道具, 母集団,標本,平均,標準偏差,推定,検定,危険率,信頼区間, 管理図,実験計画法,相関,回帰分析

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この科目は化学・バイオ工学科の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)1.豊かな人間性と社会性(1)社会的な意義や責任感を自覚し、倫理的に正しい判断をする能力を身につけている、に主に対応する。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
08.働きがいも経済成長も
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
12.つくる責任つかう責任
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
対面授業を原則とする。 毎回品質管理に関連したテーマを取り上げる。 テキストを参照しながら、講義する。質問は随時受け付ける。 少人数のグループでワークショップを行い協働で課題に取り組み、結果を口頭発表する。 グループ名、メンバー、メンバーの役割、発表内容などは、 期末の成績評価申請書に申告しもらうので、思い出せるようにしておくこと。
・日程
1 . まずは工場見学!-工業製品が消費者に届くまで-
2 . 工業製品の設計開発-ハイスペックとハイクオリティは違う-
3 . 生産方式とオートメーション
4 . 生産管理と生産現場-目標どおりのものを作るための検査-
5 . 品質管理と品質保証―信頼性工学からのアプローチ―
6 . 環境と安全への品質基準-規格と法律-
7 . マネジメントシステム-目標を達成しよう-
8 . 計測と測定、分析、検品-現実の把握とデータの表現-
9 . データはばらつく!統計で使う分布関数とその性質
10 . 平均値の区間推定- ロットアウトを防ごう-
11 . どこを攻めるか~QC7つ道具
12 . 品質管理は管理図に始まり管理図に終わる
13 . 予測解析-相関分析と回帰分析-
14 . 最適条件を決めろ!分散分析と実験計画法
15 . 品質管理とデジタルトランスフォーメーション(DX)

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
本授業科目では、単位制度の実質化のため、原則として皆出席を求めます。 15回×1.5時間=22.5時間は、学修保証時間として算入されます。

テキスト(教科書)・受講ノート・教材・準備して授業に臨んでください。 テキストの貸し借りはトラブルの原因となるため極力避けてください。 ワークショップに使う付箋、サインペンなどを準備してください。 ネットによる調査ができるようスマホ、タブレット、PC、などの情報機器を準備してください。 必ず学生証を携帯し、学術情報センターのアカウントを確認し、WebClassにアクセスできるようにしてください。

着席して受講してください。 前の方の座席は、視力や聴力が弱い方に譲ってください。 障害について合理的な配慮が必要な場合、事前に申し出てください。 コロナ感染等を止むを得ない事情で、事前にリモート受講を申し出る場合は、授業を送信してくれる学友を予め選んでください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
本授業科目では,単位制度の実質化のため,授業時間外での以下の予習・復習、報告書に対する学習保証時間のエビデンスを求めます。

(1)単位認定に最低必要な授業時間外の学修時間は各回0.5時間以上です。 (※)大学設置基準で,1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められています。 学則で、講義科目は1単位15~30時間と定められています。2単位の最低学修保証時間は30時間です。 15回から構成されるので1回あたり2時間です。 ここから、1.5時間の授業時間差し引くと0.5時間となります。
(2)上記学修時間に加えて授業時間外の標準学修時間の目安は30時間です。 (※)学則で、講義科目は1単位15~30時間と定められています。2単位の標準学修保証時間は60時間です。 報告書は、予習報告書を含めて最大4件とし、標準学修保証時間から最低学修保証時間を差し引いた30時間を充ててもらいます。 よって1件あたりの予習報告書や課外報告書の授業時間外学修時間は8時間を目安とします。

報告書による授業時間外学習は、加点評価されますが、必須ではありません。 QC検定受験報告書、などWebClassにテーマが示されます。 授業の進捗に応じてテーマを提案することもできます。予習報告書の提出期限は、履修確定前まで、そのほかの課外報告書の提出期限は、学期末までです。

【成績の評価】
・基準
(1)品質管理の社会的な意義について議論し、小論文にまとめ、プレゼンテーションできることを合格の基準とします。
(2)物理量や工業量を、数値や序列などの尺度で客観的なデータとして測定できることを合格の基準とします。
(3)物理量や工業量を、数値や序列などの尺度で客観的なデータとして表現できることを合格の基準とします。
(4)平均や標準偏差などの統計量やQC7つ道具を計算できることを合格の基準とします。
(5)品質管理の概念を製品やサービスの研究開発に応用できることを合格の基準とします。
・方法
(1) 大学設置基準第二十一条ならびに 山形大学学部規則 第34条 に基づき 平常(4点/回)と報告書(10点/件)で成績を評価します。 各回の平常点および報告書は、学修保証時間に対応し、合格の基準に到達している場合、内容によらず一律加点され、部分点はありません。
(2)平常とは、授業時間内(1.5時間×15回)でのワークショップ(討論)への参加、意見発表(質疑応答)、実技実演の取り組み状況 ならびに 授業時間外(0.5時間×15回)の各回の授業の予習やWebClassへの 平常演習の提出を含む復習です。0.5時間が保証されれば、平常演習の提出は必須ではありません。
(3)報告書とは、授業時間外のに取り組んだ予習報告書、課外報告書のことです。 予習報告書の締め切りは、履修確定時までとします。 そのほかの課外報告書の締め切りは、最終回授業からおおむね一週間後です。 報告書の学習保証時間は、1件につき8時間とします。 報告書で盗用、捏造、改竄などの研究不正が発覚した場合、履修は取り消され、本学に通報され、評点は0となります。
(4)成績は、成績評価申請書の提出によります。 平常の取り組み状況ならびに報告書を 成績評価申請書として WebClassに提出してもらいます。
(5) 次の場合は、評点が0になります。
・出席が全体の2/3に満たなかった場合
・授業時間内での紙媒体による履修意志の確認ができなかった場合
・期限までに成績評価申請書が提出されなかった場合
・不正行為に該当した場合
(6) 欠席した場合、平常点は申請できません。報告書で挽回してください。 大幅な遅刻や早退をした場合は、平常点は申請できません。 公認欠席(公欠)も欠席なので、平常点は申請できません。 「内職」など実態として故意に講義に参加していない場合も、平常点は申請できません。 「ピ逃げ」「代返」に該当する行為は、欠席ではなく不正行為として扱います。発覚した時点で、本学に通報され、履修は取り消され、評点は0となります。 自己の責によらない欠席の場合、診断書や事故証明書などのエビデンスの提出を求めることがあります。 就活による欠席は、自己の責による欠席となります。

【テキスト・参考書】
📖テキスト:計量管理新教科書作成委員会、計量管理の基礎と応用、コロナ社, (2020).
📖テキスト:松林光男、渡辺弘、イラスト図解 工場のしくみ、日本実業出版社, (2004).
📖テキスト:山下省蔵、内藤善文、扇柳政則. 工業技術基礎 . 実教出版(2021).
参考書:中村 収三 編著, 技術者による実践的工学倫理 第4版 , 化学同人 , (2013).
参考書:奥村士郎、品質管理入門テキスト改訂2版、日本規格協会, (2007) .
参考書:岩崎日出男、泉井力、クオリティマネジメント入門、日本規格協会, (2004)
参考書:大滝厚、日本規格協会、JISマーク品質管理責任者
参考書:岡田泰栄、平均値の統計、共立出版
参考書:鷲尾泰敏、推定と検定、共立出版
参考書:岡田泰栄、多変量の統計、共立出版
参考書:大村平、実験計画と分散分析、日科技連
参考書:大村平、評価と数量化のはなし、日科技連
参考書:大村平、信頼性工学のはなし、日科技連

【その他】
・学生へのメッセージ
この講義は、2003年より妹尾晴弥先生、立花が担当していました。立花の負担を減らすため、その後、仁科辰夫先生がご担当されていました。仁科先生がご退職されたため、後継者不足から、再び立花が担当することになりました。工学にはなくてはならない品質管理の考え方を、未来に向けてアレンジしなおし、よりよい講義とできればと思います。よろしくお願いいたします。
・オフィス・アワー
WebClassをメッセージをご利用ください。質問や意見は、教室全体で共有したいので、できるだけ授業時間内にお願いします。講義内容に関する質問や意見は歓迎します。履修や評価に関する問い合わせは必要最小限でお願いします。 問い合わせ多数の場合、WebClassのメッセージには個別に対応できないことがあります。

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