【授業の目的】
国内外で過去に発生した被害地震による地震動と建物・地盤の特徴的な被害とその要因について解説する。また、建物の耐震設計の変遷についての解説とともに、既存不適格建物の耐震改修技術や最近の耐震・免制震技術について紹介する。建築振動学の基礎を学ぶとともに、模型構造物の振動台実験、常時微動観測や地震観測の記録映像やデータを通して実際の現象を理解する。さらに、良質な建築ストックが求められる時代において、国内外の歴史的建造物の保全に関わる耐震対策を紹介する。
【授業の到達目標】
・地盤によって異なる地震動の性質や構造物の振動特性に関する基本を学ぶとともに、過去の被害地震における建物や地盤の被害の特徴と地震動と被害の関係について理解する。 ・建築構造物の耐震設計法の変遷と現状を学ぶとともに、既存不適格建物の耐震改修や最近の耐震・免制震技術について理解する。 ・地震工学は経験工学といわれる。国内外の歴史的建造物の保全に関わる耐震評価や対策を学び、良質な建築ストックに資する知識を得る。
【授業概要(キーワード)】
建築振動学 地震動 地盤 地震被害 耐震設計 耐震補強 歴史的建造物
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25% D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
一級・二級建築士受験資格取得のための選択推奨指定科目とする。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任つかう責任
【授業計画】
・授業の方法
板書およびスライドを用いた講義形式であるが、地震被害や耐震技術の実例紹介を多用し、実践的な理解を図る。
・日程
第1回:ガイダンス~地震工学の意義~ 第2回:国内における被害地震の歴史 一般建築から歴史的建造物まで 第3回:外国における被害地震の歴史 一般建築から歴史的建造物まで 第4回:建築振動学の基礎 その1 建物のモデル化と動的現象の理解 第5回:建築振動学の基礎 その2 基本的な1質点系モデルの自由振動解と固有周期 第6回:建築振動学の基礎 その3 基本的な1質点系モデルの外乱による応答 第7回:建築振動学の基礎 その4 応答スペクトルと耐震設計 第8回:地震の発生源から建物への入力まで 地盤条件と増幅、マグニチュードと震度階 第9回:地震による地盤災害 砂地盤の液状化と対策、土砂災害 第10回:建物の耐震対策 その1 耐震設計法の歴史と考え方の変遷 第11回:建物の耐震対策 その2 既存木造住宅の耐震診断と耐震対策 第12回:建物の耐震対策 その3 最近の耐震対策 免震技術と制振技術 第13回:建物の耐震対策 その4 模型構造物の振動台実験と実構造物の地震・微動モニタリング 第14回:歴史的建造物の耐震対策に学ぶ 日本の伝統木造建築から外国の組積造建築まで 第15回 期末試験及び解説
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
建築物の地震被害を通して、建築構造設計や耐震技術を理解する上で重要な授業であるので、必ず出席すること。建築振動学の基礎は板書で解説する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
配布の資料に目を通し、前回講義内容の復習をしておくこと。 普段から身近な建築に応用されている耐震対策について観察し、その基礎理論について理解しようとすること。
【成績の評価】
・基準
地震工学に関する基本的な知識が身についているかどうか、出席状況、演習レポートや期末課題の内容によって評価する。
・方法
出席状況(40点)、演習問題の提出および期末レポートの結果(60点)で評価する。
【テキスト・参考書】
特にテキスト等は使用しない。毎回の講義で、授業資料を配布する。
【その他】
・学生へのメッセージ
建物の地震被害のメカニズムを理解し、より安全で安心な建物設計を可能にする技術や基礎理論について学習してください。
・オフィス・アワー
非常勤講師なので、講義時に対応する。なお、メールアドレスを授業時に紹介するので、質問等があれば、事前にメールで連絡ください。授業時間以外にも、必要に応じて時間を設け、ZOOMを利用することもある。
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