数学C
 Mathematics C
 担当教員:梅林 豊治 (UMEBAYASHI Toyoharu)
 担当教員の所属:非常勤講師(数物学分野)
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:高分子・有機材料工学科,化学・バイオ工学科  科目区分:専門教育科目・選択必修 
【授業の目的】
 理工系の学生が基礎学力として必要な数学は,科学技術のあらゆる分野に浸透している微分積分(解析学)と線形代数である。この授業では,線形代数の基本を学ぶ。高等学校等で学んだベクトルや複素数平面を踏まえ,3次(正方)行列を主な対象として行列と行列式の演算を習得する。さらに,連立1次方程式の解法に行列と行列式を活用するとともに,逆行列の概念を導入する。
 これらの簡単な行列と行列式に対する計算力を演習によって培うだけでなく,一般の行列と行列式について基本事項,演算,定理等を学び,二年次前期の数学Ⅱでベクトル空間等の「線形代数」後半を学ぶ基礎学力を養う。


【授業の到達目標】
1) 複素数,行列と行列式に関する基本事項,演算,定理等を理解し,その内容を記述・説明できる【知識・理解】
2) 行列に関するさまざまな演算と行列式の計算ができる【技能】
3) 行列と行列式を用いて連立1次方程式を解くこと,逆行列を求めることができる【技能】

【授業概要(キーワード)】
線形代数,ベクトル,行列,行列式,連立1次方程式,逆行列,複素数

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
専門で工学を学ぶとき必須となる数学のうち,線形代数の根幹をなす「行列と行列式」を習得するための授業である(高分子・有機材料工学科,化学・バイオ工学科のカリキュラム・ポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
09.産業と技術革新の基盤をつくろう

【授業計画】
・授業の方法
 通常の講義形式で基本事項,演算,定理等を説明し,関連する例題を解いて内容の理解を深める。毎回,授業で学んだ内容について演習課題を課して計算力を身につける。
・日程
 全15回の授業の前半では,高等学校等で学んだベクトルと複素数平面を復習した後,行列を用いた連立1次方程式の解法を学ぶ。また,2次正方行列に関するさまざまな演算を習得する:
1. 平面・空間のベクトル,複素数
2. 複素数の極形式
3. 行列と連立1次方程式
4. 行列の簡約化と階数
5. 連立1次方程式の解と解の分類
6. 2次正方行列とその演算
7. ここまでのまとめと中間試験
 後半では,3次(正方)行列を主な対象として,行列とその演算,行列式の計算,逆行列などを学ぶ。さらに,一般(4次以上の高次)の行列についても,演算,行列式の定義と計算,逆行列などの基本を習得する:
8. 行列とその演算
9. 正則行列と逆行列
10. 2次,3次の行列式
11. 置換と行列式の定義(一般)
12. 行列式の性質とその計算
13. クラーメルの公式と余因子行列
14. 特別な形の行列式
15. 授業全体(行列と行列式)のまとめと期末試験


【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
テキストに基づいて授業を進めるので,参照しながら授業内容をノートにまとめるなど,受身の姿勢で受講しないようにして内容の理解に努める。演習課題のレポートは添削し,返却時に要点や略解等を補足説明するので,行列と行列式に関する基本的な考え方と計算力の習得に活用する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 本授業科目では,次のとおり授業外における予習・復習等の自主的な学修に取り組む(準備学修に必要な学修時間 3時間/週):
1) 予習として,次回の授業で扱うテーマについてテキストや参考書にあらかじめ目を通す
2) 復習として,内容をまとめた自家用サマリーを作成する,テキストの演習問題を実際に解くなどして授業内容を理解し,計算力を身につける
3) 毎回,新しい事項を学ぶので,何を理解できたか,何が理解できないのかを明確にし,オフィス・アワーを積極的に活用する
4) 出題される演習課題を必ず解いてレポートを提出し,行列と行列式に関する演算の習得に努める
5) 授業ですべてを扱えるわけではないので,テキストの第1,2章と附録Bを通読して線形代数の前半部分(行列と行列式)を体系的に学習する

【成績の評価】
・基準
 授業の到達目標で示したとおり,行列と行列式(連立1次方程式の解法を含む)に関する基本事項を理解し,(3次以上の)行列と行列式に対する計算力を身につけていることを合格の基準とする。
・方法
 毎回の授業で演習課題を出題し,中間と期末に試験を行う。基本的には,演習課題(40%),中間試験(30%),期末試験(30%)の重みで評点とする。

【テキスト・参考書】
テキスト: 三浦 毅・早田孝博・佐藤邦夫・高橋眞映 共著,「線型代数の発想 第5版」,学術図書出版社
参考書:  三宅敏恒 著,「入門線形代数」,「線形代数の演習」,培風館
参考書:  内田伏一・高木 斉・剱持勝衛・浦川 肇 共著,「線形代数入門」,「線形代数演習」,裳華房

【その他】
・学生へのメッセージ
 このクラスは上級コースであり,少し高度な内容まで取り扱って専門教育の学修に十分な行列と行列式に関する学力習得を目指す。
 なお,本格的な線形代数学の「入門書」は,次のとおりである。かつての教養(基盤)教育において標準的なテキストであったこれらの本を読みこなすには相当の忍耐と努力が必要であるが,いずれかを持っていると,理工学を学び,研究するさまざまな場面で役に立つ。
参考書:  佐竹一郎 著,「線形代数学 (新装版)」,裳華房
参考書:  齋藤正彦 著,「基礎数学1 線形代数入門」,「基礎数学4 線形代数演習」,東京大学出版会

・オフィス・アワー
 授業に関する学生からの質問は,各回の授業終了後または開始前に受け付ける。その他,WebClassを活用して,随時,質問等には対応する。

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