剛体の力学(機械システム)
 剛体の力学(機械システム)
 担当教員:水戸部 和久(MITOBE Kazuhisa),妻木 勇一(TSUMAKI Yuichi)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)機械システム工学分野
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年  開講学期:第3ターム  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・選択必修 
【授業の目的】
この科目は,学習・教育到達目標(B)機械工学の基礎〔CP1〕に対応しています.
車両やロボットなどは動力源と運動機構部をもち複雑な運動をする.機械システムの高度な運動の解析とスマートな機構設計のためには剛体の力学を深く理解する必要がある。質点および剛体の運動と力学の基礎の習得をめざし,機械システムの機構部の様々な運動に関する数式モデルを導出し、運動を解析できることを目的とする。

【授業の到達目標】
この科目は,学習・教育到達目標(B)機械工学の基礎〔DP7〕〔DP9〕に対応しています.
1 学習・教育到達目標B 空間内で運動する質点、質点系、および剛体の運動量,角運動量,力学的エネルギーおよびそれらの保存と変化を表す力学の基本法則を理解し、数式により表して解析できること。
2 学習・教育到達目標B 固定軸まわりで回転する剛体の慣性モーメントを数式で表すことができ,棒,円板,円柱などの基本的な形状の剛体の重心や慣性モーメントを積分により計算できること.
3 様々な並進と回転を伴う剛体の平面内での運動に対して運動方程式を立てて解析できること.

【授業概要(キーワード)】
運動の法則,静力学,質点系の力学,剛体の力学

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習・教育到達目標(B) 機械工学の基礎力[CP1, DP7,DP9] を養成する科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう

【授業計画】
・授業の方法
後期の前半の3・4校時,5・6校時に連続して開講します。
90分×15回の講義および例題・演習問題に取り組みながら授業を進めます。授業は,機械や装置の基礎事項とその適用に関する講義,およびそれ の理解を確実にし,実践力を訓練する解析演習で構成します。演習レポートで学生の到達度をチェックして講義の進行を調整します。
・日程
第1回: 慣性系と相対運動
(予習) ウエブクラスに掲載の資料 "回転座標系" 目をとおし,高校物理の慣性系,慣性力について復習しておく.
(復習) 直線運動、相対運動、慣性力の例題・演習問題 のレポート

第2回: 座標と座標系(1)
(予習) ウエブクラスに掲載の資料 "回転座標系" より,座標系の変換について読み,疑問点を整理しておく.
(復習) 静止座標系, 回転座標系で表した位置,速度,加速度の関係に関する例題・演習問題のレポート

第3回:座標と座標系(2)
(予習) ウエブクラスに掲載の資料 "回転座標系" より, 多変数を含む関数の微分法を確認しておく.
(復習) 遠心力, コリオリ力(転向力)の例題・演習問題のレポート

第4回: 3次元空間での力のモーメント, 角運動量
(予習) 機械工学基礎で学んだ3次元空間の基本ベクトル, 外積計算, 角運動量 を教科書23節で復習しておく.
(復習) 3次元空間での力のモーメント計算,角運動量の計算の例題・演習問題

第5回: 2次元空間での力のモーメント, 剛体のつりあい
(予習) 2次元空間での力のモーメント, 3次元空間での力のモーメントの関係を整理しておく. (教科書25,26節)
(復習) モーメントの計算法, 剛体の釣り合いの具体的な例題・演習問題 のレポート

第6回: 剛体に働く力と重心
(予習) 重心の定義について高校物理での理解と教科書の定義を整理する.(教科書27節)
(復習) 重心計算の例題・演習問題のレポート

第7回: 固定軸をもつ剛体の回転運動(1)
(予習) 回転運動の表し方, 角速度, 角加速度について教科書28節に目をとおし,直線運動との関係を整理しておく.
(復習) 回転運動の方程式の簡単な例題・演習問題のレポート

第8回: 固定軸をもつ剛体の回転運動(2)
(予習) 回転運動の方程式に関する教科書29節の例題に目をとおしておく.
(復習) 簡単な慣性モーメントの計算に関する例題・演習問題のレポート

第9回: 固定軸をもつ剛体の回転運動(3)
(予習) 剛体振り子, 角運動量の保存則について教科書30節の例題に目をとおしておく.
(復習) 回転運動の方程式のさまざまな例題・演習問題

第10回: 慣性モーメントの計算(1)
(予習) 剛体の慣性モーメントに関する積分計算法について教科書30節の例題に目をとおしておく.
(復習) 平行軸の定理を用いた慣性モーメント計算の例題・演習問題

第11回: 剛体の平面運動(1)
(予習) 剛体重心の並進運動,重心回りの回転運動について教科書31節の図を見てイメージしておく.
(復習) 重心の並進,重心回り回転に関する運動方程式の例題・演習問題

第12回: 剛体の平面運動(2)
(予習) 剛体重心の並進運動,重心回りの回転運動について教科書31節の例題により予習しておく.
(復習) ヨーヨーの落下、斜面の転がり落下等の例題・演習問題

第13,14回: 演習問題(剛体の力学)
(予習) 教科書32節の演習問題に関して疑問点を整理し,質問できるようにしておく.
(復習) 演習問題のなかで習得が浅いものを反復演習すること

第15回: 期末試験および総括
(予習) 教科書,レポートの問題を復習しておくこと
(復習) 試験で解けなかった問題について再度考察し,質問があればウエブクラスで質問すること.

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義における板書をノートに筆記する。テキスト,プリント等を参照しながら講義の骨子をまとめること。理解が進まない点をチェックしておき質問すること。止むを得ず欠席した場合は,友達からノートを借りて補充すること。
・予習のあり方
前回の講義に関する質問事項をまとめておくこと。テキスト,プリント等を通読すること。予習項目を本シラバスに示してあるので,毎回予習して授業に臨むこと.
・復習のあり方
講義ノートを点検,整理して不備な箇所をテキスト,参考書等で補充しておくこと。本シラバスに示してある項目について例題・演習課題を行うこと。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
前回の講義に関する質問事項をまとめておくこと。テキスト,プリント等を通読すること。
講義ノートを点検,整理して不備な箇所をテキスト,参考書等で補充しておくこと。演習課題を行うこと。

【成績の評価】
・基準
授業内容に対する到達度を授業時に行う演習レポートの点数で評価する。
・方法
原則3分の2以上講義に出席したものを評価の対象とする。
授業内容に対する到達度を、中間試験または演習レポートの点数と学期末の試験の点数で評価する。
中間試験または演習レポートの点数を40点満点、期末試験の点数を60点満点とし、それらの合計(100点満点)が60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
高橋正雄,「講義と演習 理工系基礎力学」,共立出版

○参考書 杉山吉彦・鈴木豊彦,「力学序説」,培風館
高橋正雄,「基礎と演習 理工系の力学」,共立出版
原康夫,「力学」,東京教学社
小出昭一郎,「物理学」,裳華房
宇佐美誠二・貴島準一・西村鷹明・鳥塚潔,「理工系のための力学の基礎」,講談社サイエンティフィク
入江敏博・山田元,「工業力学」,理工学社
為近和彦,「力学」,森北出版
阿部龍蔵,「力学・解析力学」,岩波書店
橋本正章・荒木賢三,「力学の基礎」,裳華房
鈴村順三・大島隆義・大澤幸治,「理工学の基礎 力学」,培風館
中山正敏,「基礎力学」,裳華房
永田一清,「新・基礎 力学」,サイエンス社
中川憲治,「工科のための一般力学」,森北出版
青木弘・木谷晋,「工業力学」,森北出版
山形大学数理科学科編,「微分積分入門-1変数-」,裳華房

【その他】
・学生へのメッセージ
運動と力学に関する基本法則を理解し,代表的例題で式の誘導,解析計算,特性曲線の作図等を実践することにより学力が付く科目です。努力無くして向上無し。
運動と力学についての問題の解答,電卓を使用した数値計算,解曲線・運動経路の作図などを適宜行うので,電卓,定規等を準備すること。
・オフィス・アワー
WebClassを通して質問して下さい.

51000614-2023-05-55072