動物発生工学
 Animal Reproductive Bioengineering
 担当教員:木村 直子(KIMURA Naoko)
 担当教員の所属:農学部(食料生命環境学科バイオサイエンスコース)
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):民間食品会社研究所のアニマルバイオテクノロジー部門で、6年間、研究・商品開発に携わった視点で、現在のフィールドで活用されている動物発生工学技術の意義や、経済性、課題などを織り交ぜながら講義する。
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
1.主に哺乳類の発生工学技術が、基礎研究や、わたしたちの暮らし(産業)にどのように関わっているのかを理解し、どうあるべきかを考える目的で、発生工学各種技術や、最近のトピックスを織り交ぜて概説する。
2.ヒト以外の高等動物の生命の扱いや生命科学の在り方について考える目的で、アニマルウェルフェアや生命倫理に関する最近の指針の動向などを概説する。

【授業の到達目標】
1.動物発生学から発生工学への展開、2.産業動物やペットの生産、高度生殖補助医療、再生医療、希少動物資源の保全などにおける動物発生工学の役割、3.発生工学技術の各種方法の概説、4.未分化生殖系列細胞の培養法と再生医療への応用、5.遺伝子改変動物の作製方法とそれらの利用、6.アニマルバイオテクノロジーとアニマルウェルフェア、生命倫理、について理解し、論述できる。【知識・理解】

【授業概要(キーワード)】
授業計画(日程)の各項目に挙げている用語。
過排卵処理、人工授精、受精卵移植、卵胞培養、卵の体外成熟-体外受精-体外培養、 生殖細胞および胚の凍結保存・超低温保存法、生殖細胞・受精卵の遺伝子診断、核移植法、卵の細胞質置換・顕微授精、キメラ胚、生殖系列未分化細胞や幹細胞の培養、遺伝子改変動物、アニマルウェルフェアなど。

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
コースのディプロマポリシーにおいて、食料,生命,環境科学についての基礎的知見を学ぶことで、総合的な判断力とバランス感覚、科学的思考力、課題の認識と解決のための思考力身に付けるための科目である。特に高等動物の生殖生理学を修得し、理解している学生が、生殖系列細胞の人為的操作方法について学ぶことを目的としている。
・日本卵子学会認定の生殖補助医療胚培養士の資格認定審査を申請する際、生殖生物学関連の科目の修得が必要要件となっており、本科目が該当する。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
02.飢餓をゼロに
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
08.働きがいも経済成長も
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
13.気候変動に具体的な対策を
15.陸の豊かさも守ろう

【授業計画】
・授業の方法
・講義形式で、アクティブラーニングも取り入れて行う。課題レポートの提出を求める場合もある。
・講義は、対面授業を主とするが、状況に応じてリアルタイム遠隔授業でも行う。
・日程
第1回:1)動物発生工学とは、2)発生工学の歴史とその応用
第2回:哺乳類の発生過程の概説
第3回:動物発生工学技術の各種方法1:過排卵処理、人工授精、受精卵移植
第4回:動物発生工学技術の各種方法2:生殖細胞の培養法(卵胞培養、卵の体外成熟-体外受精-体外培養)、全胚培養など
第5回:動物発生工学技術の各種方法3:生殖細胞および胚の凍結保存・超低温保存法
第6回:動物発生工学技術の各種方法4:産業動物生産における性コントロール法および受精卵の遺伝子診断
第7回:動物発生工学技術の各種方法5:核移植法、卵の細胞質置換・顕微授精
第8回:第1回~第7回分のまとめ
第9回:動物発生工学技術の各種方法6:キメラ胚の作製法

第10回:動物発生工学技術の各種方法7:生殖系列未分化細胞や幹細胞の単離、培養法、分化誘導因子、再生医療への応用など
第11回:動物発生工学技術の各種方法8:遺伝子改変動物の作製法とそれらの利用
第12回:動物発生工学技術の各種方法9:高度生殖補助医療の現状、各種技術、課題
第13回:アニマルバイオテクノロジーとアニマルウェルフェア
第14回:生命倫理の問題
第15回:第9回~第14回分のまとめ
*進捗状況によって、講義内容の一部を変更することがある。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
・専門用語は、各自、予習・復習で理解に努めること。

・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・自習では、まず講義や教科書に出てくる専門用語を理解するように努めてください。推奨の教科書や参考書を利用。参考書等は図書館にもあります。

【成績の評価】
・基準
発生工学の技術全般とそれらの応用と課題について理解しているか。授業計画の前半あるいは後半のそれぞれの内容についての理解度を、筆記試験(中間・期末)で評価し、100点満点中60点以上を合格基準とする。
・方法
筆記試験(中間・期末)での理解度を総合的に判断し、100点満点中、60点以上を合格とする。またレポート課題の評価、出席状況も総合評価の一部に加えることがある。

【テキスト・参考書】
教科書:哺乳動物の発生工学(佐藤英明ら編著、朝倉書店、2014年)
参考書:繁殖生物学 改訂版 (日本繁殖生物学会編集、インターズー、2020年)

【その他】
・学生へのメッセージ
・本科目を履修するに当たり、2年前期開講の基礎動物生理学および2年後期開講の動物分子生殖学を修得していることを前提としています。
・バイオサイエンスコース実験Ⅱで、動物機能調節学分野の実験を受ける学生は、本科目の受講を必須といたします。
・オフィス・アワー
用事がある場合は、用件と日時等をあらかじめメールで連絡して下さい。
E-mail:naonao@tds1.tr.yamagata-u.ac.jp

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