【授業の目的】
この講義は、日本国憲法の人権規定に関する基本的解釈論を概括的に学ぶことを目的とする。できるだけ多くの最高裁判例や憲法学説を検討することによって、憲法学の基本的な考え方や視点を修得し、これからの法学学修全体の基礎としてもらう。また、3年次に開講されるより発展的な科目(憲法3・4及び教育法・比較憲法)の前提となる科目でもある。
【授業の到達目標】
①日本国憲法の人権論についての基本的な理解を踏まえて、具体的問題に関する自らの考えを論理的かつ説得的に述べることができる。 ②憲法学のみならず、他の法学分野にも共通する基礎的な法的思考能力を身につけることができる。 ③日本社会に生きる市民が持つべき教養として、憲法問題を考える力を養うことができる。
【授業概要(キーワード)】
憲法学、人権論、統治組織論
【科目の位置付け】
この授業は、憲法学の体系性を踏まえた専門的な知識を身につけるとともに、社会の複雑多様な問題を憲法の観点から論理的・批判的に深く考察する能力を身につけるものである。(人文社会科学部総合法律コースのディプロマ・ポリシー)
【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう 03.すべての人に健康と福祉を 04.質の高い教育をみんなに 05.ジェンダー平等を実現しよう 10.人や国の不平等をなくそう 16.平和と公正をすべての人に
【授業計画】
・授業の方法
毎回、憲法総論および人権論の諸問題を順次取り上げる。憲法の概念、憲法史、憲法上の権利の概念、人権各論のおける具体的事件に関する基本的知識と考え方を検討する。
・日程
1.ガイダンス 2.憲法と立憲主義 3.日本憲法史 4.基本的人権の原理 5.基本的人権の限界 6.包括的基本権 7.法の下の平等 8.精神的自由思想・良心の自由 9.信教の自由 10.学問の自由 11.表現の自由 12.経済的自由権 13.身体的自由権 14.社会権・国務請求権 15.まとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
授業で配布されるレジュメを参考にしながら、記載されている判決文を熟読するなどして、講義内容を適切に把握すること。その上で、「答え」を教えてもらうのではなく、自分で主体的に考える努力をすること。授業中の質問には積極的に応答すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
①週3時間程度の学習時間を確保し、予習をしっかりしておくこと。レジュメ記載の用語の意味や判例の基本的内容を調べてくること。 ②授業後は疑問点や興味のある問題を自分で調べること。
【成績の評価】
・基準
期末試験により、知識の習得、理解の度合い、論理的思考力、文章表現力を評価します。より具体的には、1)具体的な憲法問題について自分の考えを論じることができる、2)憲法学の基本的な思考法を実践することができる、3)主体的・積極的に憲法上の問題に興味を持ち、検討することができる、といった点を基準とします。
・方法
期末試験として80点、課題提出等による授業への参加の度合い20点の配分で評価します。期末試験については、論述問題と選択問題の組み合わせで出題することを予定しています。コロナ禍の影響によっては、期末試験をレポートとする可能性もあり得ます。
【テキスト・参考書】
憲法学の知見を総合的に扱った基本書から、ロースクールでの学修を意識した判例重視の教科書まで、様々なものがあるため、講義のなかで適宜紹介する。参考書として、只野雅人・松田浩編『現代憲法入門』(法律文化社・2019年)がある。
【その他】
・学生へのメッセージ
憲法学上の専門的な用語や思考法が登場します。1年次の勉強内容よりも、難しい内容となることは確実です。自分で調べ、自分で考える努力をしてください。
・オフィス・アワー
金曜15時~17時がオフィスアワーです。場所は人文社会科学部2号館3階です。メールでご連絡頂いても構いません。
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