【授業の目的】
少子高齢化,非正規雇用(非典型雇用)の増加等を背景に「日本型雇用システム」(終身雇用・年功序列型賃金等)は大きく変化しており,最近では,「働き方改革」,パワー・ハラスメントの措置義務の法制化,副業・兼業やテレワークに関する議論等の様々な重要な展開がみられる。この授業は,上記のような問題を含む様々な雇用社会の課題・変化に取り組んできた日本の労働法政策のあり方を検討し,労働法政策の展開及び特徴を理解することを目的とする。
【授業の到達目標】
(1) 日本の労働法政策の展開及び特徴について述べることができる。 (2) 興味関心をもったテーマについて自身で情報収集・分析を行い,期末レポートを論理的な文章でまとめることができる。
【授業概要(キーワード)】
労働法,日本型雇用システム,三者構成原則
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は,労働政策のあり方を主体的に学び,情報収集・分析を行うことで,地域社会・公共政策に関わる論理的思考力とその運用能力を養うために編成される科目である(地域公共政策コースのカリキュラム・ポリシー)。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
05.ジェンダー平等を実現しよう 08.働きがいも経済成長も 10.人や国の不平等をなくそう 16.平和と公正をすべての人に
【授業計画】
・授業の方法
資料を配布し,講義形式(対面)で行う。なお,各回の取扱い範囲は変更する場合がある。
・日程
1 イントロダクション 2 日本の労働法政策の展開,労働契約①(労働契約法制概論) 3 労働契約②(解雇法制,就業規則と労働条件変更,企業組織再編と労働法) 4 労働時間①(労働時間短縮等) 5 労働時間②(労働時間弾力化,近時の動向等),賃金処遇 6 労災補償と安全衛生,副業・兼業 7 雇用平等とワーク・ライフ・バランス 8 その他の人権保護(ハラスメント・プライバシー等) 9 非正規雇用(非典型雇用)の法政策(有期労働,パート労働,派遣労働) 10 労働市場法概論,労働市場の一般的施策①(労働力需給調整,雇用仲介事業等) 11 労働市場の一般的施策②(セーフティーネット,雇用政策,職業能力開発等) 12 労働市場の個別的施策(若者・高齢者・障害者・外国人・地域) 13 集団的労使関係システム,労使協議制と労働者参加 14 労働関係紛争処理,非雇用労働の法政策 15 総括,質疑等
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
パワーポイントを参考に,ノートをとって講義内容の理解に努めましょう。六法(出版社や判例の有無は問わない。労働関係法規集(労働政策研究・研修機構)等の労働分野に特化したものでも構わない。)を持参してください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
レジュメや参考書を利用して講義の理解度を確かめましょう。小レポートはテーマを指定しますが,期末レポートのテーマは各自で関心のある政策分野を選択してもらう予定のため,随時調査・検討を進めてください。 なお,労働法未修者が受講する場合,該当箇所の労働法の入門書又は基本書を読んでから授業に臨むことを推奨します(労働法既修者にとっても有効な学習方法です)。
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した通り,(1)労働法政策の基本を理解し,(2)適切な調査を行ったうえで,論理的にレポートをまとめていることを合格の基準とする。
・方法
中間レポート(30点)及び期末レポート(70点)の得点の合計により評価する。 なお,3分の2以上の出席を成績評価の前提とする。
【テキスト・参考書】
テキストは指定せず,資料を配布する。 参考書は初回に説明するが,濱口桂一郎『日本の労働法政策』(労働政策研究・研修機構,2018年)を基本文献とする。 労働法の入門書として,森戸英幸『プレップ労働法(第7版)』(弘文堂,2023),原昌登『コンパクト労働法(第2版)』(新世社,2020)等がある。
【その他】
・学生へのメッセージ
労働基準法上の労働者(又は使用者)になる人にも,それ以外の働き方をする人にも,労働法政策は大きな影響を与えます。労働法未修者には少し大変かもしれませんが,関心のある人は積極的に履修してください。総合法律コースの学生の履修も歓迎します。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を日原研究室(人文社会科学部2号館3階)において,授業終了後(月曜日)の14:40~16:00の間に設けます。会議や出張等で不在にすることもあるため,確実に面談したい場合は事前に予約をお願いします。連絡先は,初回の授業でお知らせします。
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