日本外交論1
 Foreign Policy of Japan -1945
 担当教員:松本 邦彦(MATUMOTO Kunihiko)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科地域公共政策コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 今後の日本の外交政策を考えていく上で必要な歴史的知識のうち、明治以降から第二次世界大戦敗戦までの日本外交史をあつかいます。テキストを案内役として、歴史資料(史料)によって事実関係を確認しつつ進んでいくことにより、事実を基にして考える態度もつちかいます。

【授業の到達目標】
1)敗戦までの日本外交史の基礎的な知識を習得します。
2)調べて考えた上での自分なりの意見を持てるようになります。
3)自分なりの問題意識を持ち、多角的な視点から歴史を批判的に検討できるようになります。

【授業概要(キーワード)】
日本の対外関係史、日本外交史、近現代史、学生主体型授業。

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
 現代の日本外交を考える上で必要な日本外交史の基本的な知識を得るとともに、(国境を越えた)他者や異文化への理解を得るための科目です。
 この履修の前には2年次後期開講の「日本政治論」の履修、続いては3年次後期開講の「日本外交論2」の受講が望ましいのは確かですが、本講義単独、あるいは後期分からの受講もokです。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
02.飢餓をゼロに
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
06.安全な水とトイレを世界中に
07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
08.働きがいも経済成長も
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
授業時間外学習(特に予習)を重視し、授業時はビデオを多用します。それによって正確な知識のみならず、当時の雰囲気も感じとっていく。
毎回の授業は以下のように進めます。
1)授業前には受講生各自がWebClassを介して資料プリントと予習クイズ&当日レジメのワープロ(Word)ファイルをダウンロードする。そして予習クイズに(勘で)解答をしたうえで、講義前にファイルをWebClass経由で提出(アップロード)する。
2)講義では前回への補足、その回の予備説明のうえでビデオ上映がおこなわれます。適宜、上映中に口頭による補足が入ります。
3)講義終了時には感想票(A5判用紙)にその回の感想、疑問点などを記入して提出する(これは出席のカウント用にもちいるもので、成績の点数には関係させません)。
4)講義後には、受講生各自が、手元にあるその回のクイズ&レジメにコメント等を書き加えたり、クイズの誤答を見せ消し、正答を記入する。
・日程
第1回:講義ガイダンスと「失敗学」入門
第2~4回:開国までの日本の対外関係
第5~7回:不平等条約改正から日露戦争まで
第8~10回:植民地朝鮮、第一次世界大戦後の戦間期外交
第11~15回:満州事変から敗戦まで
第16回 期末試験

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
予習(予習クイズへの事前解答)で確認した自分の知識、イメージが何から生じていたのか、また、その修正がなぜ必要なのか、何を根拠に修正すべきなのかを常に確認しながら学習していくように。それらの思考の跡は、適宜、クイズやレジメの余白に記入していくことが望ましい。
WebClass利用は必須です。閲覧自体はスマホでも可能ですが、ワープロファイルやPDFファイルをダウンロードして編集したり、時には印刷するための機材やソフトも必要です(共用のPC・プリンタの利用も可)。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
◇予習:
・まずはWebClassにアクセスして毎回の予習クイズ&当日レジメ(ワープロのWordファイル)、資料プリント(PDFファイル)をダウンロードする。
・その予習クイズファイルを手元のPCにて開き、クイズに解答を入力(選択式クイズについては選択肢を□で文字囲みをおこなう)するとともに事前記入欄を入力する。これが毎回30分程度。→そのワープロファイルは、講義の一週間までにWebClassにアップロードする(ワープロファイルの形式はWordに限定するので、一太郎族の人もWord形式に変換してから提出してください)。これに毎回30分程度。
・当日レジメとテキスト、資料プリントを通読、人名や用語でイメージできないもの、言い回しが腑に落ちないものについては国語辞典レベルでokなので調べて、内容をテキストや当日レジメに記入する。これに毎回1時間程度。
・講義時には当日レジメを見ながらビデオを視聴することが望ましいので、テキストとともにレジメを紙にプリントアウトしたものか、レジメを閲覧できるノートPCを持参する。
・講義前後には、WebClass掲載の正答と解説を読んで、予習クイズの解答内容が誤っていた場合は、手元のPCでワープロファイルを編集し、□直しをおこなう。なお、本講義で言う“□直し”とは、誤答の□を“見せ消し”(□に取り消し線をひく)にするとともに、正答の選択肢を新たに□で囲むことです。
※ワープロのWordにて文字を四角(□)で囲む方法や取り消し線を引く方法については、下記のようなページの説明を参考にしてください。
・NEC LAVIE公式サイト(NECパーソナルコンピュータ株式会社) https://www.nec-lavie.jp/ 
>Wordで文字を枠線で囲む方法
https://faq.nec-lavie.jp/qasearch/1007/app/servlet/qadoc?QID=014569  
>Wordで文章に二重取り消し線を引く方法
https://faq.nec-lavie.jp/qasearch/1007/app/servlet/qadoc?QID=014571
◇復習:
・テキストや授業時の説明、WebClass掲載の正答と解説によりクイズの□直しをおこなう。自分の疑問点については参考書や事典などをもとにして調べ、クイズ&レジメのファイルに追記する。これが毎回1時間程度。
・日々のニュースで日本外交に関する事柄に接した場合は、講義で得た知識でもってその事件・事象を他人に解説することを想像しながら視聴する。
・講義内容に触発されて、自分の興味関心から関係する参考書を読んだりイベント(講演会や集会など)に参加したり映画やTV番組を視聴したり、知人や近親者から体験を聞き取った場合には調査票を作成する。この調査票もワープロ(Word)ファイルとしてWebClassに設けられた提出BOXにアップロードする。
 なお、過去の知人・近親者の方々からの聞き取り内容は、松本のウェブサイト中の「時代の記憶」に掲載させていただく場合があります。これまでの掲載分については下記を参照のこと。
※http://www-h.yamagata-u.ac.jp/~matumoto/kougi/jidai_kioku.htm
・講義プリントで紹介する他の人の意見・感想にも関心を払う。なお、松本との質疑応答では講義時に提出するプリントのほかWebClassメッセージも活用してください。回答は基本的にはWebClass掲示板にておこないます。

【成績の評価】
・基準
 次のことを合格の基準とします。
1)敗戦までの日本外交史の基礎的な知識を習得していること。
2)調べて考えた上での自分なりの意見を持っていること。
3)自分なりの問題意識を持ち、多角的な視点から歴史を批判的に検討できるようになっていること。
・方法
◇毎回の予習クイズの提出の段階で解答とコメント記入が完了していれば3点ずつカウント(勘で解答する設問については正誤を問いません)。解答不足は減点。〆切遅れは0点です。
◇調査票については1件につき1~3点カウント(合計の上限を10点とします)。
◇期末試験には40点配点。
◇このほか特設クイズについても1件につき1点~3点をカウントします。予習クイズと特設クイズの総計は50点を基本としますが、加点もあります。
※期末試験の受験は必須としますので、クイズや調査票の合計で60点を超えていても、期末試験を受験しない場合は「不可」とします。

【テキスト・参考書】
◎テキスト:増田弘ほか編著『新版 日本外交史ハンドブック 第2版』有信堂高文社、2016年、3000円
http://www.yushindo.co.jp/isbn/ISBN978-4-8420-5574-9.html
◎参考書:以下では講義全般にかかわる特に重要なものを紹介します。このほか、関係イベントやTV番組も含め、講義やWebClassにて多数、随時紹介します。
○山形にある戦争遺跡を見て歩く際のガイドブックとして→『平和と人権 やまがたガイド』山形県歴教協ほか、2015年、500円
○年表は必携なので、高校時代の年表が手元に無ければどうぞ→『年表 昭和・平成史 新版』岩波ブックレット、2019年、748円
https://www.iwanami.co.jp/book/b458059.html
○知人・近親者の方々から体験を聞き取っていくときのために→大門正克『語る歴史、聞く歴史:オーラル・ヒストリーの現場から』岩波新書(新赤版)1693、2017年、860円
https://www.iwanami.co.jp/book/b330656.html
○敗戦後の東京裁判からふりかえる戦前の日本→吉田裕『日本人の歴史認識と東京裁判』岩波ブックレット、2019年、520円
https://www.iwanami.co.jp/book/b470974.html
○歴史を現在からどう見るかを考えるための参考書として以下の2冊を薦めます。
・山崎雅弘『歴史戦と思想戦:歴史問題の読み解き方』集英社新書、2019年、920円
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0978-d/ 
・武井彩佳『歴史修正主義:ヒトラー賛美、ホロコースト否定論から法規制まで』中公新書2664、2021年、840円
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2021/10/102664.html  
○講義の後半に登場する超重要人物についての重要史料→『昭和天皇独白録』文春文庫、1995年、649円
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167198039
○戦前日本の政治と社会の特殊性を理解するために→若槻泰雄『日本の戦争責任 ㊤㊦』小学館、1995年、2000年(文庫)※出版社では品切中ですが、小白川の中央図書館には複数冊所蔵あります→開架 210.7/ニホン/1、2
○戦前日本で兵士にされた人の目線から戦争をとらえるために
・オーテス・ケーリ『真珠湾収容所の捕虜たち』ちくま学芸文庫、2013年、1400円
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480095602/
・吉田裕『日本軍兵士:アジア・太平洋戦争の現実』中公新書、2019年、820円
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2017/12/102465.html  
○以下は戦前から戦後までの外交史全般についての参考書です。
・酒井一臣『はじめて学ぶ日本外交史』昭和堂、2013年、1800円
http://www.showado-kyoto.jp/book/b108329.html
・北岡伸一『日本政治史:外交と権力 増補版』有斐閣、2017年、2000円 http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641149199です。
・酒井一臣『はじめて学ぶ日本外交史』昭和堂、2013年、1800円
http://www.showado-kyoto.jp/book/b108329.html
・北岡伸一『日本政治史:外交と権力 増補版』有斐閣、2017年、2000円 http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641149199

【その他】
・学生へのメッセージ
この講義では、知識不足はもちろん歓迎ですし、間違えることも推奨します。その間違いを認識し、考えを確かめていくという「試行(思考)錯誤 trial & error」の過程を重視しますので。逆に言えば、そう簡単に“分かったつもり”になれる講義ではありません。また、テキストや予習クイズ&当日レジメを読んで解釈して下調べ、記入…と作業量は多いです。基本的に(長文の)読み書き重視ですから覚悟してください。
WebClass経由や授業で配布する配付プリントが半端でなく多いので、整理方法を(周囲の知人・他人の方法の真似をして)工夫しましょう。
・オフィス・アワー
松本邦彦研究室(人文社会科学部1号館3階):水曜日の11時~14時。これ以外の時間帯を希望する場合、在室時ならいつでも(短時間は)対応しますが、長くなりそうな用件ならWebClassメッセージか電子メールにて予約してください。
※先生たち宛にメールやWebClassメッセージを送る前に一読をすすめます:「松本宛(先生宛)のメールについてのお願い」
http://www-h.yamagata-u.ac.jp/~matumoto/mail.htm

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