【授業の目的】
日本の近代文学の中から長篇小説、夏目漱石『彼岸過迄』をとりあげ、全編を精読します。長篇小説を読み切ること、自ら精読して解釈することを目標とします。およそ100年までの小説を、今現在読んでいる自分の常識や価値観をあてはめて読む前に、作品に書き込まれた社会背景や考え方を知り、作品を精読して考えます。時代背景、思想、自意識などが、どのような表現によって描かれ価値づけられているかを、自らの精読を通じて考えられるようになることを目指します。 また、エッセイ・コンテストを2回実施します。日頃、自分が感じ考えていることを自由に表現したものを、受講生同士で読んでもらいます。
【授業の到達目標】
1.作品を日本の近代史のなかに位置づけて説明できる。【知識・理解】 2.社会的背景、思想、自意識などの観点から、知識と作品を関連づけて読解できる。【知識・理解】 3.2をふまえて、作品の特質、読みどころについて自分の観点を設け、調べた知識を関連づけて論述できる。【技能】 4.自分が感じ考えたことを表現することができる。【態度・習慣】
【授業概要(キーワード)】
近代、日本、小説、エッセイ
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:51~75% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
20世紀の日本の社会史を背景に小説を読解することを通じて、歴史的視野に立ち多角的に物事を考える力を養う。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
【授業計画】
・授業の方法
(1)『彼岸過迄』精読 ・10回に分けて全編を読みます。受講者自らが長篇を読み切ることが目標です。毎回の範囲について、精読の手引きのために問いを提示します。問いに対する回答を授業前の課題とします。回答は読み上げて紹介することがあります。 ・精読の総まとめとして、作品読解と調べた知識を関連づけたレポートを提出してもらいます。 (2)エッセイ・コンテスト ・自ら感じ考えたことを表現する課題として、2回のエッセイ・コンテストを実施します。他の受講者が書いたもののなかから選んで選評を付けて評価してもらいます。
・日程
1回 夏目漱石の生きた時代 2回 漱石作品群のなかの『彼岸過迄』 3回 『彼岸過迄』1 風呂の後1〜12 4回 『彼岸過迄』2 停留所1〜13 5回 『彼岸過迄』3 停留所14〜24 6回 『彼岸過迄』4 停留所25〜36 7回 『彼岸過迄』5 報告1〜14 8回 エッセイ・コンテスト1 9回 『彼岸過迄』6 雨の降る日1〜8 10回 『彼岸過迄』7 須永の話1〜12 11回 『彼岸過迄』8 須永の話13〜24 12回 『彼岸過迄』9 須永の話25〜35 13回 エッセイ・コンテスト2 14回 『彼岸過迄』10 松本の話1〜12、結末 15回 まとめと最終レポートの提出
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
長篇小説を読み切ることが目標で、授業の前に指定範囲を独力で読解してもらいます。課題は精読のための手引きです。 エッセイ・コンテストでは、自分が感じ考えたことを表現し、他の人に読んでもらう体験をしてもらいます。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1.各回の授業の前に指定範囲を読み、問いに対する回答をする。 2.最終レポートのテーマを自ら立て、それに従って参考資料を調べ、作品に関連づけながら読解・考察し論述する。 3.エッセイの執筆と他の人のエッセイの評価。
【成績の評価】
・基準
小説の精読ができているか。 自ら問いを立てて、調べ、考察したことを論述できているか。 エッセイを工夫してかけているか。
・方法
各回の問いへの回答(50%)、最終レポート(30%)、エッセイ2回(20%)
【テキスト・参考書】
夏目漱石『彼岸過迄』の注釈付き文庫本・単行本。出版社などは指定しませんが、「注釈」付きのものを用意してください。
【その他】
・学生へのメッセージ
毎回の授業で課題があります。長い小説を読み切ることが目標なので、マメに取り組むことが必要です。「テキスト」は、夏目漱石『彼岸過迄』所載本であれば、出版社、文庫本/単行本の別は問いませんが、社会背景や固有名などの知識に関する注釈がないと読むことが難しい作品です。注釈付きの本を用意し、授業には必ず持参してください。
・オフィス・アワー
木曜14:00〜17:00。山﨑研究室。面談希望の場合はできるだけ事前に連絡してください。連絡先は授業でお知らせします。
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