情報社会論(社会学)
 Information society theory(Sociology)
 担当教員:加納 寛子(KANOH Hiroko)
 担当教員の所属:教育企画部
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
情報社会論〜超効率主義の構図〜
年功序列・学歴主義・業績主義(メリトクラシー)の崩壊のあとに台頭してきたのは,効率主義である.つまり,国内の工場で長い年月と労力をかけてしかも高い賃金を支払わなければいけない熟練工を育てるよりも,安い賃金で雇えるならばよその国から優秀な熟練工を連れてこよう,あるいは工場ごと海外に移動し低コストで世界相手に大量に製造していこうという発想である.学歴も業績も問わない,即戦力となる人材が可能な限り低コストでほしい,ルーチンな作業をこなすのは高いコストのかかる正社員でなく作業量に応じて調整のきく非正規の社員で補いたい,幹部候補として育てるためには途中で退職する可能性が低く育てた後も長く貢献してくれるできるだけ若い人材の方がいい.このように現代の日本社会は,低コスト高効率を極限まで追求しようとする傾向が非常に顕著であり,この傾向を超効率主義と命名しており,超効率主義の構図について議論する.

【授業の到達目標】
情報社会の構造や様々なメディアのメリットとデメリットについて,自分の言葉で述べることができるようになる。【知識・理解】
情報社会の問題を考えるときに、データに基づいて考えることができる。【技能】
インターネット上の情報などを見たときに、鵜呑みにすることなく、俯瞰したものの見方考え方ができるようになる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
情報社会、超効率主義、情報モラル、IoT、学生主体型授業(アクティブラーニング)

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:1~25%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:1~25%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
情報社会で生きるために学ぶべき教養として位置づける教養科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
08.働きがいも経済成長も
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
11.住み続けられるまちづくりを

【授業計画】
・授業の方法
情報社会の構造や様々なメディアのメリットとデメリットについて考え,プロジェクト学習を行う.
・日程
第1回 オリエンテーション 
第2回~第7回 我が国や海外のIoTの発展やそれに伴う社会構造の変化について、教科書の順に読み進めディスカッションを行う。
第2回 テキスト第1章を読んで
第3回 情報社会の進展に伴う社会構造の変化について、テキストにある表と、現在の最新データを比較して検討する。
第4回 ジニ係数の算出の仕方とジニ係数を比較した議論
第5回 テキスト第2章を読んで
第6回 最新のサイバー犯罪の事件を元に議論
第7回 テキスト第3章を読んで
第8回 テキスト第4章を読んで
第9回 第8回までに学んだことから情報社会や、AIモラルについて考察する。
第10回 教科書の内容に関するオンライン試験
第11回 データのトレンド比較
第12回 データを用いた自分で考えた係数作り 
第13回 自分で考えた係数を用いたレポートをまとめる
第14回 レポートの発表
第15回 全体のまとめ

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
 第2回目以降は,前の時間にどんなことを学んだのか,授業開始時に答えられるように準備しておいてください.
 説明の中の言葉の意味や操作方法がわからない場合は,インターネットで検索する習慣を身に着けてください.例えば,「機関ログイン」の意味
が分からなければ,インターネットで検索されてくる意味や操作方法でおよそ間違いはありません.
 また,文献を検索した時に,閲覧するためには有料であることがよくあります.そのような場合,「機関ログインを外す」操作をすれば,無料で
閲覧できる場合がありますので,試してみてください.
 学習時間については,大学設置基準通りです.半期15回の通常授業は2単位ですから,90時間の学習を予習・授業・復習を必要とすることに
なります.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 レポート課題作成にあたり,前期開講科目「計量分析入門(数理科学)」を受講していると楽に取り組めます.ただし必須条件ではないので任意です.
 また,ポートフォリオを用いたBSブルームのタキソノミーによる評価を行います。学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安は,予習90分,復習90分です。90分の授業に対して,180分の自宅学習が原則です。
授業を履修すれば終わりではなく,終わりではなく,授業で扱ったテーマについて,自分で調べたり考えたことも随時授業ノート(フォーム)に記録してください。

【成績の評価】
・基準
多くの課題は,前の課題とつながっています.後ろの方の課題は,前半の内容が生かされている必要があります.
たとえば,
・SNSの利用のメリットとデメリットの議論
・ジニ係数の算出とその偏りについての議論
・THE DIGITAL SOCIETY INDEX 2018リポートの輪読
を終えた後に,「スマートシティーのモデルを作成しよう」という課題を出した場合には,SNSの普及に伴う問題と,ジニ係数の偏りと,リポートの内容を活用したモデルを作成する必要があります.授業で学んだことがしっかり身についていることを課題等から評価します.
・方法
ミニッツペーパー、リフレクションペーパー(紙ではなくWeb入力の授業ノート形式)20点
ジニ係数課題 20点
自分で考えた係数を用いたレポート 20点
情報社会をテーマとしたレポート 20点
オンラインテスト 20点

【テキスト・参考書】
[テキスト] 加納寛子(2007)『情報社会論〜超効率主義の構図〜』 北大路書房
[参考書]・レポートの書き方について
加納寛子(2021(第4版))『チャートで組み立てる レポート作成法』丸善
・情報社会の諸問題について
『即レス症候群の子どもたち ケータイ・ネット指導の進め方』日本標準(2009)
『「誰でも良かった殺人」が起こる理由 ― 秋葉原無差別殺人事件は何を問いかけたか』日本標準ブックレット(2008)
『ケータイ不安〜子どもをリスクから守る15の知恵』NHK出版生活人新書(2008)
『現代のエスプリNo.492 ネットジェネレーション バーチャル空間で起こるリアルな問題』至文堂(2008)
・評価方法について
本授業で行う評価の元になる考え方は,(Bloom, Benjamin S. Taxonomy of Educational Objectives (1956). Published by Allyn and Bacon,
Boston, MA. )の評価論がベースとなっています。詳しく知りたい人は,下記書籍を参照してください。
加納寛子(2002)ポートフォリオで情報科をつくる―新しい授業実践と評価の方法,北大路書房

【その他】
・学生へのメッセージ
千利休の思想に[守・破・離]の思想があります.1年生の教養科目は,[守]の部分が中心です.まずはテキストや,文献・新聞などを読むことができるようになってください.また,ディスカッションで意見を述べるときには,思いつきの意見ではなく,エビデンス[根拠]を明確にした意見を述べられるようにしてください.
・オフィス・アワー
特別な理由がない限りZOOMにて相談に対応します.時間は,主に授業終了後とします.それ以外は,下記フォームからZOOM接続を希望する日時を3パターン程度書いて連絡を取って下さい.
ホームページ:http://pbdspace.kj.yamagata-u.ac.jp/

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