学校カウンセリングの実践と課題
 Practice and Tasks of School Counseling
 担当教員:吉田 祐子(YOSHIDA Yuko)
 担当教員の所属:大学院教育実践研究科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):教育現場における教員(小学校校長)経験がある教員が,その経験を活かして,今日的な課題への対応を実践的に指導する。
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
学校カウンセリングというと,いわゆる不登校・いじめ等への対応を感がられがちである。それはすでに表出している大きな問題への対応であり,スクールカウンセリング(予防開発的カウンセリング)が課題である。 また,学校での一次的・二次的援助サービスには,かえって悪循環を創出してしまう介入が多々含まれている。その悪循環の構造を理解しつつ,それらの介入を,子どもの問題解決につながるものであるかどうか、整理することのできる視点で整理し,それらの方法として,解決志向アプローチの考え方とその具体的な方法を,演習を通して学習する。

【授業の到達目標】
一次的援助サービスとして,問題を創り出さない日常のかかわりのあり方と具体的コミュニケーション技法を身につけることができる。
 二・三次的援助サービスとして,不登校などへの支援の実践的方法として,チーム援助とそれを機能させる解決志向アプローチを身につけることができる。
 それらを通して,学校における心理教育的援助サービスを包括的に機能させる方向性を身につけることができる。

【授業概要(キーワード)】
一次的・二次的援助サービス,アドラー心理学,SFAの考え方と基本技法,“問題モード”から“解決モード”へ

【科目の位置付け】
教育実践研究科の共通科目群の「教育相談・生徒指導」に位置する必修科目である。本研究科の理念である「理論と実践の融合」およびすべてのDPに関連する科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
 基本的には演習(グループ討議、具体的場面での支援に関する事例研究,ロールプレイ等を含む)を中心に進めます。
・日程
第1回:オリエンテーション 三段階の援助サービス
第2回:学校の抱える生徒指導・教育相談の諸問題とスクールカウンセリング
第3回:援助スキルを磨く1「反映的な聴き方・Iメッセージ」
第4回:援助スキルを磨く2「発達課題を抱える児童生徒への対応」
第5回:チームで援助する その1「チーム会議」
第6回:チームで援助する その2「チーム会議演習」
第7回:前半のまとめと後半に向けて SFAの考え方と授業の進め方
第8回:SFAの演習①「リソース探し」 1st Stage
第9回:SFAの演習②「例外探し」 2st Stage
第10回:SFAの演習③「未来志向アプローチ」3st Stage
第11回:SFAの演習④「外在化」4st Stage
第12回:解決に向けての演習 その1「ピアサポート」5st Stage
第13回:解決に向けての演習 その2「人間関係」6st Stage
第14回:解決に向けての演習 その3「保護者対応」7st Stage
第15回:全体的なまとめと学習の成果と課題について考察

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
特に現職教員にあっては,新しい考え方と方法を学ぶとき,これまでの自分の中に根付いた考え方と方法がその学習に抵抗を示すときがあります。その中で,自分なりにどう整理していくかが重要です。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
予習としては、テキストや配付された資料において,専門用語など,関連の辞典等である程度調べて臨むようにしてください。
もともともっていた考え方や方法と何がどう違うのか,自分で考えたことや感じたことを,付箋紙などのメモで残しておくと,自分の考えの変容などを,最終レポートで整理するのを助けてくれることになります。

【成績の評価】
・基準
最終評価では,それぞれの理論や概念の理解と学びにおける取り組みへの応用,内面的には実践への意欲と教育観・子ども観等の見直しと整理の進み方などに評価のウエイトを置きます。
C(合格に必要な最低限度)基準:実態に応じてカウンセリングを実践できる(現職)。カウンセリングの意義とその方法を説明できる(ST)。
その応用可能性や自己の見直しの程度や実践への可能性については,より発展的な評価(S・A・B)に対応するものとします。
・方法
以下の評価の観点に則り,総合的に評価する。
①主体的に討論や演習に参加し,集団へ貢献しているか(毎レポート,30%)
②演習における発表の内容等が,設定された目標に到達しているか(演習,20%)
③学校における援助サービスについて理化し,自己の変容がみられたか(50%)【レポート課題】

【テキスト・参考書】
[テキスト]
黒沢幸子(著)『スクールカウンセリング・ワークブック』金子書房2011
石隈利・家近早苗(著)『スクールカウンセリングのこれから』創元社2021
〔参考書]
佐藤節子(著)『ホワイトボードでできる解決志向のチーム会議』図書文化2021
赤坂真二(著)『アドラー心理学で変わる学級経営』明治図書2019
森俊夫・黒沢幸子(著)『解決志向ブリーフセラピー』ほんの森出版2006
嶋﨑政男(著)『入門学校教育相談』学事出版2014
河村茂雄(著)『日本の学級集団と学級経営』図書文化社2010

【その他】
・学生へのメッセージ
自分の教育実践を束ねることのできる理論的枠組みをもてるようになることを願っています。
・オフィス・アワー
研究室に在室時は、原則対応します。
学校現場における人間関係に関する相談も可能です。

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