【授業の目的】
粒子の生成や消滅などの現象、すなわちフォノンや高エネルギーの素粒子の反応などを記述するには、場の量子論が必要となる。場の量子論の基礎を修得することで、自然の理解を深めることが目的である。特に、場の量子論では、どのようにして粒子概念が生まれるか、粒子の生成・消滅、相互作用がどのように記述されるかを理解することを目的とする。
【授業の到達目標】
場の量子論の基礎を学ぶことで、粒子概念とは何か、それがどのように生み出されるのかを理解できる[知識・理解]。粒子の生成・消滅がどのように記述されるか説明できる[知識・理解]。相対論的な波動方程式を理解し、その量子論において、ボソン、フェルミオンなどの概念を理解できる[知識・理解]。相互作用のある場合の場の量子論において、摂動論の初歩を理解し、議論ができる[知識・理解]。
【授業概要(キーワード)】
量子力学の摂動論・散乱理論、多粒子の量子力学、正準量子化、生成・消滅演算子、場の量子化、相対論的場の方程式、スカラー場、ディラック場、ゲージ場
【科目の位置付け】
研究の背景と意義を説明するための専門的知識および技能を体系的に修得している。 (大学院理工学研究科(理学系)のディプロマポリシー参照)
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
【授業計画】
・授業の方法
1)講義資料をプロジェクターに投影し講義を行う。 2)教員からの一方通行の講義でなく、学生の自発的な質疑応答を尊重して講義を進める。
・日程
以下の計画に従って授業を進める予定である。 (受講者の理解度等に応じて変更する可能性があります。) 量子力学 1. 量子力学の復習 2. 遷移振幅・プロパゲーター・経路積分量子化 3. グリーン関数・摂動論 4. 散乱1 5. 散乱2 非相対論的自由場の量子化 6. シュレーディンガー場1 7. シュレーディンガー場2 相対論 8. 相対論とその表現方法 9. 群 相対論的古典場の理論 10. 実スカラー場・複素スカラー場・ネーターの定理 11. フェルミオン場・ゲージ場 相対論的実スカラー場の量子化 12. 調和振動子の復習・自由スカラー場の平面波展開 13. シュレーディンガー描像による量子化 14. ハイゼンベルグ描像による量子化 15. その他関連事項
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1)資料を理解し、場の量子論の基本的計算のポイントを押さえること 2)理解ができないところは積極的に質問する 3)対面方式が基本。場合によっては非対面方式も行う。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)合格に必要な授業外の予習復習時間の目安は4時間/週です。 2)授業資料をwebclassにアップロードしますので,よく読み,自分が理解できるところとできないところを明確にしてください。 3)わからないところは資料を何度も読み返したり,当該箇所をノートに書き出してみるなどすること。
【成績の評価】
・基準
1)量子力学における摂動・散乱理論を理解している。 2)粒子概念とは何か、それがどのように生み出されるのかを正しく理解できる。 3)粒子の生成・消滅がどのように記述されるか正しく説明できる。 4)相対論的な波動方程式を理解し、その量子論において、ボソン、フェルミオンなどの概念を正しく理解できる。
・方法
課題に対するレポート(3〜4回程度)により評価する。
【テキスト・参考書】
テキスト:ウェブクラスで資料を配布 参考書:坂本真人「場の量子論」(裳華房量子力学選書) 参考書:坂井典佑「場の量子論」(裳華房フィジックスライブラリー)
【その他】
・学生へのメッセージ
大学で学んだ量子力学を多粒子系に拡張したものが場の量子論です。現代物理学のほぼすべての分野で利用できる基本的な学問なので積極的に授業に参加し学んでください。
・オフィス・アワー
オフィスアワーは設けません。質問は講義の前後またはメールでお願いします。対面での質疑応答もOKですが、事前にメールで連絡してください。
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