【授業の目的】
人や物資あるいは情報の移動は、古代から現代にいたるまで、社会に多大な影響をおよぼしてきた。そして、様々な地理的なスケールにおいておこなわれる人々の交流と、それがもたらす物資および情報の移動は、経済だけでなく政治や宗教など社会の多様な側面と深く関連することから、社会の複雑化との関係が世界各地の事例から報告されてきた。とくにアンデスにおいては、比較的狭い地域の中に多様な生態環境が存在することもあり、日常生活圏内あるいはそれを超えた人々の交流が、考古学や人類学の主要テーマとなり、活発な議論が展開されてきた。 そこで本講義では、これまでの研究で示されてきた理論的背景や研究事例をふまえたうえで、「交流」を切り口に古代アンデス社会の複雑化の過程とその背景について検討する。そしてその際、交流や物資、情報の移動が、時には意図せずにもたらす集団や領域の形成といった問題について、社会的な構築物としての「境界」をキーワードにせまっていく。
【授業の到達目標】
(1)大量の欧文文献を読みこなし、アンデス考古学・人類学の研究動向を把握できる。 (2)アンデス考古学・人類学における交流およびそれと関連した社会変化とかかわる理論や研究手法などについての専門的な知識を習得できる。 (3)研究テーマを設定し、自らの研究を先行研究のなかに位置づけることができる。
【授業概要(キーワード)】
アンデス、考古学、人類学、交流、社会変化、複雑化
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25% C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は、考古人類学に関する深い知識や多元的な視点および方法論を身につけるために編成される科目である(地球共生圏科学専攻のカリキュラム・ポリシー4に対応)。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 10.人や国の不平等をなくそう
【授業計画】
・授業の方法
講義形式であるが、受講者は毎回要点をまとめたレジュメを作成して、授業にのぞんでください。それをもとに、受講者の理解度にあわせて、講義内容に関して教員と受講者間で議論を行います。
・日程
1.ガイダンス(講義の流れと評価方法など) 2-5.交流をめぐる研究の学説史 6-9.交流をめぐる近年の研究動向 10-15.交流と社会変化および社会の複雑化との関係 ※少人数の場合は、受講者の関心や研究テーマ、現状にあわせて、変更する場合があります。
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
受講者は、授業で扱う文献を予習し、要点をまとめたレジュメを作成してから授業にのぞんでください。講義のあと全員で討論します。質疑応答やディスカッションには積極的に参加してください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
問題意識を持って、関連分野の論文・資料を渉猟し、自らの研究テーマや問題意識を明確にしていくように心がける。
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示したアンデス考古学・人類学の研究動向を把握しつつ、自らの研究を先行研究のなかに位置づけながら、授業での活動に積極的・能動的に参加できていることが評価基準です。 (1)資料を読みこなし、自身の研究の位置づけを把握する。【知識・理解】 (2)研究動向を理解し、自らの研究テーマに応用できるようになる。【知識・理解】 (3)授業内容と各自の関心にそって、期末レポートを提出する。【技能】【態度・習慣】
・方法
授業へのとりくみ(発表・討論への参加:50%)、学期末のレポート(50%)で評価する。
【テキスト・参考書】
参考書 Ulrike Matthies Green and Kirk E. Costion (eds.) 2010 Modeling Cross-Cultural Interaction in Ancient Borderlands. Univesity Press of Florida .
※その他 授業内で随時紹介します。扱う文献は基本的に全て欧文です。
【その他】
・学生へのメッセージ
文献を読みこなし、議論をすすめることで、自分の研究テーマを明確にしていきましょう。
・オフィス・アワー
水曜日12:30~14:00 (山本睦研究室、人文学部2号館4階) これ以外の時間帯での面談を希望する場合はメールやWebclassのメッセージで連絡してください。会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前に連絡をお願いします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。業務の都合上、すぐに返答できない場合もあるので余裕を持って連絡してください。
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