【授業の目的】
本講義では、中級から上級レベルにかけてのマクロ経済学を学ぶ。 マクロ経済学は、「国」単位の経済活動に関して、その過去、現在、そして将来を理論的に見通すための学問である。経済を構成する各個人が、マクロ経済について、理論を通じて、過去を踏まえ、現状を把握し、また今後の動向を予想できるようになれば、その個人は、経営者、労働者、公務員、そして家計として、より良い意思決定をすることができる。 経済活動を営む主体が現在の行動を決める際、将来の経済環境を考慮しながら行動することは、消費税の駆け込み需要などをみても明らかである。したがって、将来の経済環境に対する予想を取り込みながらマクロ経済の動向は論じられる必要がある。しかしながら、この観点は、初級のマクロ経済学ではほとんど扱われず、中上級レベルで扱われる。このため、本講義ではより現実に即したマクロ経済分析の手法を学ぶため、中上級レベルのマクロ経済学を学ぶ。 ただし、受講生が別のテーマについて興味があるとすれば、可能な範囲でそれに対応する。
【授業の到達目標】
(1)中上級レベルのマクロ経済学の理論を説明できる。【知識・理解】 (2)マクロ経済学に依拠した観点から、マクロ経済に関する政策分析や将来予測ができるようになる。【技能】
【授業概要(キーワード)】
最適化行動、動学的一般均衡モデル、マクロ経済政策
【科目の位置付け】
この授業は、社会文化システムコースの特論として、専門的な研究を遂行することができる深い知識と考え方の習得を目指すものである(社会文化システムコースのディプロマ・ポリシー DP2(1))。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
受講生の基礎知識などを把握したうえで、下記日程の内容が理解できる文献の選定を行う。授業については、文献を輪読し、その内容を受講者に報告してもらうという形で進める。
・日程
第1回:イントロダクション 第2回:初級マクロ経済学の復習1(IS=LNモデル) 第3回:初級マクロ経済学の復習2(AD=ASモデル) 第4回:動学的最適化問題1(2期間の効用最大化問題について) 第5回:動学的最適化問題2(多期間の効用最大化問題について) 第6回:動学マクロ経済モデル1(リアル・ビジネス・サイクル[RBC]モデルの解説) 第7回:動学マクロ経済モデル2(リアル・ビジネス・サイクル[RBC)モデルの解法) 第8回:動学マクロ経済モデル3(RBCモデルにおける生産性ショックの効果) 第9回:動学マクロ経済モデル4(RBCモデルにおける財政政策の効果) 第10回:動学マクロ経済モデル5(ニュー・ケインジアン[NK)モデルの解説) 第11回:動学マクロ経済モデル6(ニュー・ケインジアン[NK]モデルの解法) 第12回:動学マクロ経済モデル7(NKモデルにおける金融政策の効果) 第13回:動学マクロ経済モデル8(NKモデルにおける財政政策の効果) 第14回:復習1(RBCモデル) 第15回:復習2(NKモデル)
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
分からない箇所は授業中に質問し、その日の疑問はその日に解決する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
指定するテキスト等を事前に読み,分からない箇所を予め把握しておく。
【成績の評価】
・基準
演習時の発言で積極的な参加の度合いを判断する。また、演習時の発表により当該学問の知識を確認する。そして、レポートなどの課題で総合的な理解度、論理思考能力、文章表現力を確認する。
・方法
演習への主体的な参加度30%、発表20%、理解度50%によって評価する。
【テキスト・参考書】
齊藤 誠、岩本 康志、 太田 聰一、 柴田 章久、2010、『マクロ経済学 (New Liberal Arts Selection)』、有斐閣。
Romer, David., 2011, Advanced Macroeconomics 4th edition, McGraw-Hill/Irwin. (翻訳)堀 雅博, 岩成 博夫, 南條 隆、2010、『上級マクロ経済学(第3版)』日本評論社。
McCandless, G., 2008, the ABCs of RBCs, Harvard University Press.
Gali, J., 2015, Monetary Policy, Inflation, and the Business Cycle, Princeton University Press.
【その他】
・学生へのメッセージ
ビジネスを行う、金融資産に投資をするなど、様々な状況において、マクロ経済学を使って意思決定をすれば、より良い結果が得られる。 学部レベルのマクロ経済学の知識があることが望ましい。
・オフィス・アワー
下記の時間にオフィスアワーを設ける。 木曜日15時00分から17時30分 溜川研究室(人文社会科学部1号館3階)
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