【授業の目的】
電磁気学I,IIで修得した電磁気学の基礎的知識に基づき,マクスウェル理論の相対論的不変性やそのゲージ不変性と拡張性等を学ぶ事により,電磁気学の発展的知識の修得を目的とします。また,その自然な帰結としての特殊相対性理論を学び,4次元時空や時計の遅れ等の自然現象の初等的理解を目的とします。
【授業の到達目標】
1) マクスウェル理論に関する基礎的知識を理解し説明できる。【知識・理解】 2) 電磁気学の諸法則が相対論的な時空間の性質を反映したものであることが理解できる。【知識・理解】 3) 特殊相対論の原理を説明でき,ミンコフスキー時空,4元ベクトル等の基本的概念を理解できる。【知識・理解】 4) ローレンツ変換や4元ベクトルの演算等を行う事ができる。【知識・理解】
【授業概要(キーワード)】
マクスウェル方程式,電磁波,場のエネルギーと運動量,遅延ポテンシャル,特殊相対論と4次元時空
【科目の位置付け】
理学部ディプロマ・ポリシーの「選択したコースカリキュラムの専門的知識を身に付け,その分野の先端的な研究内容を理解し,説明できる能力を身に付けている。」および「選択したコースカリキュラム以外の幅広い理学の基礎的知識を身に付けている。」によります。
【授業計画】
・授業の方法
講義形式で以下の単元構成で授業を行います。講義内容のポイントは板書されていきます。必要に応じてプリント等の補助教材を配布します。
・日程
1.電磁場の基礎方程式 第1回 マクスウェル方程式 第2回 電磁ポテンシャルとゲージ不変性 2.電磁波 第3回 電磁波と波動方程式 第4回 平面波/直線偏光と円偏光 第5回 媒質中の電磁波の伝播 第6回 電磁場のエネルギーとポインティングの定理 第7回 電磁場の運動量とマクスウェルの応力 第8回 遅延ポテンシャル 第9回 変動する電荷電流に対する電磁場/電気双極子放射 3.特殊相対性理論 第10回 運動系と電磁気学 第11回 ローレンツ変換 第12回 ミンコフスキー空間 第13回 アインシュタインの時空概念 世界点・世界線/同時刻の相対性/時計の遅れ/ローレンツ短縮 第14回 ニュートン力学の修正 固有時/4元速度/4元運動量/相対論的エネルギー/運動方程式/慣性 第15回 まとめと試験
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義内容のポイントは板書されていきます。丁寧な板書を心がけるので,ノートをきちんと取ってください。それがそのまま教科書となります。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
(1) 授業以外の学習時間の目安は4.5時間/週とされています。 (2) 復習に重点を置いた学習を心がけノートを整理しましょう。 (3) 参考書や友人のノートと照らし合わせて内容を補完していくと良いでしょう。 (4) 電磁気学I,IIの授業や演習で使ったノート,プリントとも相互参照できるような資料を作成していきましょう。 (5) 予習復習に下記の参考書を活用することをおすすめします。
【成績の評価】
・基準
マクスウェル方程式や電磁ポテンシャルを正しく取り扱うことができ,それらと電磁波や場のエネルギー・運動量との結びつきが理解できていること。相対論的な座標変換を計算でき,エネルギーや運動量を正しく扱えること。以上を合格の基準とします。
・方法
試験とレポートにより評価します。(比率は10:4程度です。)原則として追試験は行いません。
【テキスト・参考書】
(参考書) - ファインマン 著 「ファインマン物理学〈3〉電磁気学」 岩波書店 ISBN 9784000077132 - ファインマン 著 「ファインマン物理学〈4〉電磁波と物性」 岩波書店 ISBN 9784000068338 ※ファインマン物理学の原著は https://www.feynmanlectures.caltech.edu/ で無料公開されています。
【その他】
・学生へのメッセージ
ベクトル解析等の数学に振り回されることなく,その数式が表している物理的な意味の把握に努めてください。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は吉田研究室(情報ネットワークセンター2階)において,原則,授業終了後の1時間としますが,これに限らず在室しているときは随時対応します。
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