【授業の目的】
生命現象の発現機構を遺伝子レベルで理解する方法として、着目する現象に異常を示す突然変異体の取得と解析は非常に有効である。変異原因遺伝子の同定により、着目する現象の発現に重要な役割をもつ遺伝子が明らかになるだけでなく、変異体の表現型の詳細な解析から、その遺伝子機能に迫ることもできるからである。ここでは、成長運動に異常を示す植物の解析を例として、植物生理学で用いられる種々の解析を行い、基本的な技術と結果の解釈を学ぶことを目的とする。
【授業の到達目標】
1)植物の生理学的な解析に必要な基礎的な実験を実施できる。【技術】 2)生理学の考え方をもとに、実験結果を論理的に解釈できる。【知識・理解】 3)実験に至った背景、方法、結果と考察をレポートとしてまとめることができる。【態度・習慣】
【授業概要(キーワード)】
突然変異体,生理学的解析,植物ホルモン,成長運動,学生主体型授業
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:26~50%
【科目の位置付け】
この授業は、生命現象の分子機構を解析する際に必要となる考え方と基本技術を、植物の成長運動の解析を例として学ぶものである。そして、得られた結果を解釈し、結論をレポートにして論理的に記述する力を身につけるものである(理学部カリキュラム・ポリシー1と2に対応)
【SDGs(持続可能な開発目標)】
02.飢餓をゼロに 13.気候変動に具体的な対策を 15.陸の豊かさも守ろう
【授業計画】
・授業の方法
この授業は、学生が主体となり、生命現象の分子機構を解析する際に必要となる考え方と基本技術を、植物の成長運動の解析を例として学ぶものである。そして、得られた結果を解釈し、結論をレポートにして論理的に記述する。
・日程
実験方法などを記した資料を配布し、植物の成長運動に関する生理学的実験を行う。各実験に先立って、材料や方法に関する講義を行う。詳細については初回に説明する。
授業計画(日程) 月曜~金曜の5-8校時に集中で開講します。 開講日およびそれぞれの日の所要時間の目安では、学期初めのオリエンテーションで説明します。 第1回:実験のガイダンスと試薬・培地調製 第2回:植物ホルモンに対する応答とその解析法 第3-4回:植物ホルモンに対する応答の解析 第5回:阻害剤を用いた解析法 第6-7回:植物ホルモン合成や輸送、応答の阻害剤に対する応答の解析 第8回:分子遺伝学的解析法と植物生理学 第9-10回:突然変異体を用いた生理学的解析 第11回:遺伝子機能解析法 第12-13回:表現型に関連する遺伝子発現解析 第14回:データ解析と考察 第15回:実験のまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
各自で実験ノートを準備し、実際の手順、気づいた点など記録しながら実験をすること。実験器具や試薬は扱いを間違えると事故につながるので、受講中は集中すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
実験前に配布資料をよく読んで、実験の手順を理解しておくこと。また、実験の記憶が薄れないうちに、データ整理とまとめを速やかに行うこと。データ解析や関連する文献の講読といった予習・復習等に必要な授業時間外学修時間の目安は講義1回あたり4時間です。
【成績の評価】
・基準
1)植物の生理学的な解析に必要な基礎的な実験を実施できることを合格の基準とします。 2)生理学の考え方をもとに、実験結果を論理的に解釈できることを合格の基準とします。 3)実験に至った背景、方法、結果と考察をレポートとしてまとめることができることを合格の基準とします。
・方法
実験に対する取り組み(40点満点)と実験レポートの内容(60点満点)を合算し評価する。
【テキスト・参考書】
参考書:Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 4th Edition、 Green MR & Sambrook J著、 Cold Spring Harbor Laboratory Press
【その他】
・学生へのメッセージ
植物生理学を履修していることが望ましい。本科目は、指示通りに作業して結果を得ることだけを目的としていません。むしろ、各実験手順の意義を理解した上で、得られた結果を背景や目的と照らし合わせて考察することにあります。このことを、受講者は念頭において取り組んでください。授業の性質上,遅刻,欠席は厳禁です。体調管理をしてください。
・オフィス・アワー
授業時間外に出た質問を水曜日の16:20-17:50に研究室(理学部2号館4階402室)にて,受け付けます。出張,会議等で不在になることもありますので,可能な限り事前に連絡をしてください。連絡先・連絡方法については,初回の講義でおしらせします。
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