【授業の目的】
地球内部ダイナミクスには,地質時間を通しての岩石流動が大きな役割を果たしています.岩石を鉱物の集合体と考えると,多結晶体が「流動・変形」することになります.これはどのようにして生じるのか,そこには完全結晶からのずれ,結晶欠陥が大きな役割を果たしています.ミクロな知見から地球内部ダイナミクスの実体にせまる「地球欠陥学」を学びます.
【授業の到達目標】
1.高温下での結晶体の固さを決める結晶欠陥について説明できる. 2.欠陥の量と移動度の関連性について説明できる. 3.欠陥と岩石の微細構造の関係について説明できる. 4.身の回りにある物質,例えば金属・セラミックス材料の強度の物理の基礎は,いかに地球科学に応用されるのかについて討論することができる. 5.地質条件下での欠陥の振る舞いからマクロな地球内部流動現象を説明できる.
【授業概要(キーワード)】
結晶欠陥,原子拡散,転位,レオロジー,地殻の流動,マントル対流,地球内部の粘性率,粒成長
【科目の位置付け】
この講義は,地球内部のマクロなダイナミクスをミクロな視点から読み解いていく.このような多元的な視点やこれらを体系化する思考は分野を問わず必要なことであり,本講義を通してこれらの素養を養う(理学部ディプロマ・ポリシー2).
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
授業は主にパワーポイントを用い,必要に応じ補足プリントを用いて講義を行います.
・日程
1.岩石の変形微細構造 2.結晶欠陥の種類 3.結晶欠陥の量と移動度 4.結晶欠陥と結晶の変形特性の関係 5.地殻物質の変形 6.マントル物質の変形 7.リソスフェアとアセノスフェア 8.地球内部に異方性(地震波・電気伝導度など) 9.その他岩石物性と欠陥の関係
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
授業で示されるパワーポイントを参考に当日配布する資料やノートに,授業内容を追記するなどして内容の理解につとめてください.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
授業で習った内容に関連することを自ら図書館やインターネットで自分なりに調べて,理解を深める努力が不可欠です.これら授業時間以外の学修に45時間程度以上の時間を要します.
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した,地球内部レオロジーを司るミクロなプロセスとその地球規模の岩石流動現象について理解出来たかどうかを合格の基準とします.
・方法
講義内容を理解しているかを評価するためのレポートを課します.
【テキスト・参考書】
参考書 レオロジーと地球科学(東大出版会・唐戸俊一郎) 材料強度の考え方 (アグネ技術センター・木村宏)
【その他】
・学生へのメッセージ
上であげた読み物をに目を通しておくと,講義内容の理解に役立ちます.
・オフィス・アワー
授業に関する質問は,授業中または授業終了後に行ってください.
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