【授業の目的】
1.医学を学ぶ為に重要な人体の正常構造を解剖実習を通して立体的に理解し、正しい解剖学用語を用いて説明できるようにする。 2.人体の構造と機能についての関係を理解し説明できるようにする。 3.解剖学的構造から主な臨床との関係も理解するとともに、臨床医学に必要な解剖学用語を述べられるようにする。
【授業の到達目標】
①死者の尊厳や家族の気持ちを理解し、将来の医師として倫理や義務について説明できる。 ②人体の解剖学的構造について発生や機能も含めて理解し、図示し説明できる。 ③人体の解剖学的構造について正しい解剖学用語を理解し、画像や人体で同定できる。 なお、構造の用語は原則として国際解剖学用語に従い、日本解剖学用語および医学用語との関係を正しく説明できる。 ④人体の構造の個人差と、破格と病的状態の違いについてについて理解する。 ⑤授業中に解決が必要であると感じた医学的・解剖学的問題点を医学研究の既存の成果や今後の必要性に関連付ける。
【授業概要(キーワード)】
人体、器官、肉眼解剖学、臨床解剖学、発生学、正常構造、破格と異常器官、位置関係
【科目の位置付け】
<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)の該当項目> 1.プロフェッショナリズム(医療人としての倫理観、社会的責務) 2.医学知識と問題対応能力(基礎医学) 8.科学的探求(リサーチマインド) 9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢(自己研鑽) <医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改定版)> PR-01:社会から信頼を売るうえで必要なことを常に考え行動する(PR-01-01-02 , PR-02-01-01) PR-02-03:品格・礼儀(PR-02-03-01, PR-02-03-02, PR-03-01-01) PR-04: 生命倫理(医療における倫理の重要性を学ぶ)(PR-04-01-01) GE-01-01-01 臓器横断的に医学的課題を捉えることができる(GE-03-02-01, GE-03-03-01, GE-03-04-01, GE-03-05-01, GE-03-06-01) LL-01-01-02, LL-02-01: 医療者教育の実践(LL-02-01-01, LL-02-01-02, LL-02-01-03) RE-01: リサーチマインド(RE-01-01, RE-01-01-01, RE-01-01-02, RE-02, RE-02-01-01, RE-02-02-01, RE-03-03, RE-03-03-01,RE-05) PS-01: 基礎医学(PS-01-02-10, PS-01-02-11, PS-01-02-12, PS-01-02-13, PS-01-02-14, PS-01-02-16, PS-01-02-17, PS-01-02-18, PS-01-02-19, PS-01-02-22, PS-01-02-23, PS-01-02-24, PS-01-02-25, PS-01-02-26) PS-02: 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療(PS-02-01, PS-02-01-01, PS-02-02, PS-02-02-01, PS-02-03, PS-02-03-01, PS-02-04, PS-02-04-01, PS-02-05, PS-02-05-01, PS-02-06, PS-02-06-01, PS-02-07, PS-02-07-01, PS-02-08, PS-02-08-01, PS-02-09, PS-02-09-01, PS-02-10:, PS-02-10-01, PS-02-11, PS-02-11-01, PS-02-13, PS-02-13-01, PS-02-15, PS-02-15-01, PS-02-16, PS-02-16-01) IT-01-02: 情報・科学技術利用にあたっての倫理観とルール(IT-01-02-01, IT-01-02-02, IT-02-01-02, IT-03-02, IT-03-02-01)
【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
【授業計画】
・授業の方法
実習日の午前にその日の実習内容に関する講義を行う。また、午前の講義終了後と午後は解剖実習室において4~5名の班に分かれて解剖実習を行う。 なお、実習期間中に実習進度の評価として、スケッチ提出、口頭試問、ピン試験、中間筆記試験を実施する場合がある。
・日程
基本的に午前は講義( 8:30~10:10頃)の後実習、午後は実習(13:00~16:30)を行う。 第1回 4月9日(火) 献体について、体幹前面(胸腹部)・前頚部の体表解剖及び浅 第2回 12日(金) 体幹後面(背部)、後頚部と臀部の体表解剖及び浅層 第3回 16日(火) 背部浅層の筋と、上腕後面の筋(伸筋群) 第4回 19日(金) 頚部浅層・中層の筋、前胸部の筋、鎖骨摘出、腕神経叢 第5回 23日(火) 腕神経叢、腋窩、上腕前面(屈筋群) 第6回 26日(金) 前腕前面、手掌の筋(屈筋群) 第7回 30日(火) 大腿・下腿の前面と足背(伸筋群) 第8回 5月7日(火) 臀部・大腿後面 第9回 10日(金) 下腿後面と足底(屈筋群) 第10回 14日(火) 午前:(中間試験I)四肢 午後:自習 第11回 17日(金) 腹壁の筋と鼡径管 第12回 21日(火) 胸壁の筋と胸部内臓(I) 第13回 24日(金) 腹膜と腹部内臓(I) 第14回 28日(火) 胸部内臓(II)と縦隔 第15回 31日(金) 腹部内臓(II)と後腹膜臓器(腰神経叢を含む) 第16回 6月4日(火) 泌尿器の構造と骨盤内臓(I) 第17回 7日(金) 会陰、外陰部と骨盤内臓(II)(仙骨神経叢を含む) 第18回 11日(火) 背部中層・深層の筋と脊柱管の開放 第19回 14日(金) 頭蓋冠の切断と脳出し 第20回 18日(火) 頚部深層と下顎底、頚部離断 第21回 21日(金) 咽頭後壁と顔面半切 第22回 25日(火) 顔面の表情筋と支配神経、動静脈 第23回a 26日(水)午後 聴覚器と三半規管(講義のみ)・特別講義 第23回b 28日(金)午後 (中間試験II)Pin試験 四肢、体幹(骨学含む) 第24回 7月2日(火) 咀嚼筋 第25回 5日(金) 側頭下窩 第26回 9日(火) 眼窩と眼球、内耳 第27回 12日(金) 鼻腔と口腔、翼口蓋窩 第28回 16日(火) 関節 第29回 19日(金) 清掃・納棺 *上記は予定であり、最終的な予定は配布予定の解剖実習の手順を参照すること。 また本年度は、非常勤講師として上条桂樹先生(東北医科薬科大学 解剖学教授)に出張講義を依頼している。
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
解剖実習は医師となるうえで初めて他者にメスを入れ、人体について学習をさせて頂く。本邦における医学解剖学教育は献体制度によって支えられており、献体者や遺族の気持ちを理解し、真摯な態度で実習に参加すること。なお、真摯な態度とは単に実習時に黙祷を行うことを指すのではなく、十分な予習に基づく実習の実施と、実習後の復習による知識定着まで含んだ総合的な姿勢を指す。なお、講義については予習と復習、実習については予習とグループ学習が必須である。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
①【準備学習】 演習に先立ち参考書、教科書を基に予習しておくこと(30分~) ②【復習】 解剖実習を行った日には、その日のトピックについてまとめ直す(文章によるまとめと作図を行う)ように復習を行う。(120分) ③【その他アドバイス】 教科書は指定しないが、教科書及びアトラス(各1冊以上)の使用は必須である。本授業を通して,様々な参考書・アトラスを活用し,自分にあったものを選択すること。
【成績の評価】
・基準
授業目的である以下の項目が達成できている事。 ①死者の尊厳や家族の気持ちを理解し、将来の医師として倫理や義務について説明できる。 ②人体の解剖学的構造について発生や機能も含めて理解し、図示し説明できる。 ③人体の解剖学的構造について正しい解剖学用語を理解し、画像や人体で同定できる。 なお、構造の用語は原則として国際解剖学用語に従い、日本解剖学用語および医学用語との関係を正しく説明できる。 ④人体の構造の個人差と、破格と病的状態の違いについてについて理解する。
・方法
筆記試験(60%) +Pin試験(20%) +参加進度・実習態度・レポート(20%) *なお、実習の欠席はまたは参加姿勢不良は最終評価(100%)から1回につき最大10点減点とする。 (ただし、解剖体に対し礼意を失する行為を認めた場合はは直ちに不合格とし、以降の解剖実習参加を認めない) *1年次の解剖学総論の成績不良者は不足分の減点を行う。 *筆記試験で合格点に達しない者は追試験を行う。
【テキスト・参考書】
特定のものは指定しないが、各自に合った教科書とアトラス各1冊は使用する事を強く薦める。(以下に医学部レベルの書籍を列記する。) 【教科書】 「解剖学講義」改訂第3版 南山堂(日本語) 「分担 解剖学」金原出版(日本語) 「グレイ解剖学」原著第4版 エルゼビア・ジャパン(日本語)*Gray’s anatomy for studentsの和訳(英語版でも良い) 【アトラス】 ・「ネッター解剖学アトラス」原著第7版 南江堂 (日本語/英語 併記) ・「プロメテウス解剖学 コアアトラス」第4版 医学書院 (日本語/英語 併記) ・「解剖学カラーアトラス」 第8版 医学書院 (日本語/英語 併記)
上記以外に参考図書として以下の本も使用可能である*参考書は簡単な読み物で、興味があるトピックを参照するのに向くが網羅的学習には不向き。 ・「人体の正常構造と機能」改訂第4版 日本医事新報社 (日本語) ・「イラスト解剖学」中外医学社 (日本語) ・「からだがみえる 人体の構造と機能」 メディックメディア社 (日本語) 他
【その他】
・学生へのメッセージ
解剖実習は精神的にも体力的にも大変であるが、医師となるうえでは避けて通れない重要な科目である。そしてご遺体から学ばせて頂いた知識は一生にわたる医師としての活動の基幹をなす知識となる。膨大な量の知識を暗記するのではなく、全ての基礎医学的知識を統合して「人体」について総合的に理解して下さい。 その観点から、授業・実習への出席状況および態度は、履修規定の記載通り、重要視される。
・実習にあたり、各自以下のものを準備すること 解剖用具一式、解剖用白衣、ディスポーサブルのマスク、手袋、キャップ、アイシールド、上履き、教科書・アトラス・参考書、スケッチ用具
・オフィス・アワー
解剖学Iの授業日12:00~13:00及び17:00以降(事前にアポイントメントを取って下さい) 〈山形大学で教えていること〉 基礎医学的な内容に留まらず、生物学や臨床医学と関連付けた講義・実習を行っている。
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