病理学総論 (分子病理学)
 Molecular pathology
 担当教員:二口 充(FUTAKUCHI Mitsuru)、 大江 倫太郎(OHE Rintaro)、 樺澤 崇允(KABASAWA Takanobu)、 鈴木 一司(SUZUKI Kazushi)
 担当教員の所属:医学部医学科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):病理医、あるいは臨床医として実務経験のある教員が、その診療経験を活かし、代表的な疾患について講義を行う。
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:4単位  開講形態:講義
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修 
【授業の目的】
病気の原因を染色体・遺伝子からとらえて、どのように染色体・遺伝子の異常が起こるのか、その異常がどのように病態へとつながるのか、分子メカニズムを思考し理解するための基礎知識と見方・考え方を身につけることを目的とする。

【授業の到達目標】
①ゲノムの多様性に基づく個体の多様性を説明できる。
②染色体異常による疾患の中で主なものを挙げ、概説できる。
③単一遺伝子疾患の遺伝様式を説明し、代表的な疾患を列挙できる。
④ミトコンドリア遺伝子の変異による疾患を挙げ、概説できる。
⑤エピゲノムの機序及び関連する疾患を概説できる。
⑥多因子疾患における遺伝要因と環境要因の関係を概説できる。
⑦薬剤の有効性や安全性とゲノムと多様性との関係を概説できる。
⑧集団遺伝学の基礎としてHardy-Weinbergの法則を概説できる。
⑨家系図を作成し、評価(Bayesの定理、リスク評価)できる。
⑩生殖細胞系列変異と体細胞変異の違いを説明でき、遺伝学的検査の目的と意義を概説できる。
⑪遺伝情報の特性(不変性、予見性、共有性)を説明できる。
⑫遺伝カウンセリングの意義と方法を説明できる。
⑬遺伝医療における倫理性・法的・社会的配慮を説明できる。
⑭遺伝医学的な関連情報にアクセスすることができる。
⑮遺伝情報に基づく治療や予防をはじめとする適切な対処法を概説できる。
⑯行動科学に基づいた実習を行う。

【授業概要(キーワード)】
発達障害、染色体異常、遺伝性疾患、遺伝的多様性、エビゲノム、遺伝カウンセリング、薬剤とゲノム、各種疾患における遺伝学、がんゲノム医療

【科目の位置付け】
病気の原因を染色体・遺伝子異常から捉えて、疾患の原因と病態を理解することにより、診断とゲノム医療の基盤を学ぶ。

<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)>
2. 医学知識と問題対応能力(基礎医学)
8. 科学的探求(リサーチマインド、課題発見と問題解決)
9. 生涯にわたって共に学ぶ姿勢(自己研鑽)

<医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)>
C-4-1 遺伝的多様性と疾患
E-1-1 遺伝医療・ゲノム医療と情報の特性

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を

【授業計画】
・授業の方法
下記の教科書に準拠した講義用レジメや関連資料を配布し、パワーポイントを用いた講義を行う。
・日程
第1回 9月4日(水) 1-4校時
第2回 9月5日(木) 3-4校時
第3回 9月11日(水) 1-4校時
第4回 9月12日(木) 3-4校時
第5回 9月18日(水) 1-4校時
第6回 9月19日(木) 3-4校時
第7回 9月25日(水) 1-4校時
第8回 9月26日(木) 3-4校時
第9回 10月2日(水) 1-4校時
第10回 10月3日(木) 3-4校時
第11回 10月9日(水) 1-4校時
第12回 10月10日(木) 3-4校時
第13回 10月16日(水) 1-4校時
第14回 10月23日(木) 3-4校時
第15回 10月30日(水) 1-4校時
第16回 11月6日(木) 3-4校時
第17回 11月13日(水) 1-4校時
予備日 11月20日(水) 1-4校時



第1、 2回(病理診断学):遺伝性疾患の概略、染色体異常:②染色体異常による疾患の中で主なものを挙げ、概説できる。③単一遺伝子疾患の遺伝様式を説明し、代表的な疾患を列挙できる。
第3、 4回(公衆衛生学):発生障害の概略:発生障害に関する用語、奇形学の原理:形態形成のエラー、臨床的に重要な奇形、小児期の腫瘍。
第5、 6、 7、 8、 9、 11回(病理診断学):①ゲノムの多様性に基づく個体の多様性を説明できる。⑤エピゲノムの機序及び関連する疾患を概説できる。⑥多因子疾患における遺伝要因と環境要因の関係を概説できる。⑩生殖細胞系列変異と体細胞変異の違いを説明でき、遺伝学的検査の目的と意義を 概説できる。 次の項目を含む:メンデル遺伝形式を示す疾患、糖代謝異常、脂質代謝異常、タンパク質代謝異常、アミノ酸代謝異常、核酸代謝異常、無機質代謝 異常。
第10、 12回(第三内科):神経変性疾患の遺伝学、白血病の遺伝医学④ミトコンドリア病の遺伝医学、遺伝子診断・治療の最前線などを含む。
第13回(遺伝カウンセリング室):⑧集団遺伝学の基礎として Hardy-Weinberg の法則を概説できる。⑨家系図を作成し、評価(Bayesの定理、リスク 評価)できる。⑪遺伝情報の特性(不変性、予見性、共有性)を説明できる。⑫遺伝カウンセリングの意義と方法を説明できる。⑬遺伝医療におけ る倫理的・法的・社会的配慮を説明できる。⑭遺伝医学関連情報にアクセスすることができる。⑮遺伝情報に基づく治療や予防をはじめとする適切な対処法を概説できる。
第14回(ゲノム情報解析ユニット):本学附属病院における「がんゲノム医療」
第15回(産婦人科学):発生遺伝学と先天性疾患、遺伝子病・遺伝病の出生前診断、着床前診断、遺伝子疾患・染色体疾患と関与する周産期異常:流産、胎児発育不全など
第16回(創薬科学(薬剤部)):⑦薬剤の有効性や安全性とゲノムの多様性との関係を概説できる。
第18回(臨床腫瘍学)腫瘍遺伝学、遺伝学性疾患の治療、遺伝子診断・治療の最前線などを含む。
第19回(小児科)遺伝病保因者のスクリーニング、小児期発症の神経筋疾患の遺伝医学、遺伝子診断・治療の最前線などを含む。

上記講義は、病理診断学講座、公衆衛生学講座、遺伝子カウンセリング室、薬剤部、産婦人科学講座、臨床腫瘍学講座、小児科学講座などと分担して行う。

*日程に関しては変更することがあるので、掲示を確認すること。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
テキストなどに沿って講義を行うので、テキストを購入して、予習してくることが推奨される。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
あらかじめ講義項目についてテキストに目を通し、理解できる点、理解できない点を明確にしておく。受講した内容について教科書・配布資料を見返すと共に、MEDLINE (PubMed)や医学中央雑誌などで最新の情報を収集する。

【成績の評価】
・基準
次の学修目標への到達度で評価する。
①ゲノム・染色体・遺伝子の多様性と疾患との関連を理解し、概略を説明できる。
②遺伝情報・ゲノム情報の特性を理解し、遺伝情報・ゲノム情報に基づいた診断と治療、未発症者を含む患者・家族の支援を学び、概略を説明できる。
③遺伝病保因者のスクリーニング、遺伝子病・遺伝病の出生前診断、周産期異常、各種疾患の遺伝学、がんゲノム医療などを理解し、概略を説明できる。
・方法
筆記試験の成績で合否を判定する。
再試験は1回のみ行う。
病理学総論と病理学総論(分子病理学)の双方を合わせて単位認定する。

【テキスト・参考書】
テキスト:
「図説 分子病態学(第5版)」一瀬白帝、鈴木宏治 編著 中外医学社
「ロビンス基礎病理学」(原書10版)、豊國伸哉、高橋雅英監修、丸善(2018年)
「細胞の分子生物学」中村桂子 他監訳 教育社
「ペコリーノ がんの分子生物学(第3版)」日合弘、木南凌 監訳 メディカル・サイエンス・インターナショナル(2017年)

【その他】
・学生へのメッセージ
1年次に学んだ基礎医学の内容を疾患の原因・発症機序・治療へとつなげていく講義です。また、日々刻々と研究が進展している分野ですので、常に新しい情報を求めていく姿勢が望まれます。
・オフィス・アワー
随時対応可能
<山形大学で教えていること>
本学附属病院におけるがん治療の最前線「がんゲノム医療」について学ぶ。

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