【授業の目的】
内分泌・代謝系の構成と機能を理解し、主な内分泌・代謝性疾患の病態生理、原因、症候、診断、及び治療を説明できることを目的とする。 症例を通じた少人数グループによる問題基盤型学習(problem-based learning、PBL)を導入し、自主的学習能力、診断・治療を進める上での考察力、他者との討議、発表を通したコミュケーション能力を高めることを目的とする。
【授業の到達目標】
ホルモンを構造から分類し作用機序と分泌調節機能を説明できる。 各内分泌器官の位置を図示し、そこから分泌されるホルモンを列挙できる。 ホルモンの過剰または欠乏がもたらす身体症状を説明できる。 血中ホルモン濃度に影響を与える因子を列挙できる。 ホルモンの日内変動の例を挙げて説明できる。 ホルモン分泌刺激試験と抑制試験の原理と反応の型を説明できる。 内分泌疾患の原因を解説できる。 内分泌疾患の検査法を理解し適切な選択ができる。 内分泌疾患の診断基準を理解し、鑑別診断ができる。 内分泌疾患の治療法を選択できる。 糖質・タンパク質・脂質の代謝経路と相互作用を説明できる。 栄養素及び代謝系の作用・反応系を理解し、その調整機構を説明できる。 エネルギー摂取の過剰または欠乏がもたらす身体症状を説明できる。 栄養・代謝性疾患の原因を解説できる。 栄養・代謝性疾患の検査法を理解し適切な選択ができる。 栄養・代謝性疾患の診断基準を理解し、鑑別診断ができる。 栄養・代謝性疾患の治療法を選択できる。 行動科学として生活習慣病における患者支援(自律性支援)や保健指導を概説できる。 国際社会への貢献として海外の疫学研究、診断基準を理解し概説できる
【授業概要(キーワード)】
内分泌腺、内分泌異常、代謝、代謝異常、低身長、甲状腺腫、肥満・やせ、月経異常、視床下部・下垂体疾患、甲状腺疾患、副甲状腺疾患とカルシウム代謝異常、副腎皮質・髄質疾患、糖代謝異常、脂質代謝異常、タンパク質及び核酸代謝異常、ビタミン・微量元素の欠乏と過剰、先天性代謝異常、腫瘍性疾患
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:1~25% C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25% B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:1~25% C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この科目は、基礎医学で習得した知識を内分泌疾患と代謝性疾患の病因、病態・症候・治療等の理解に応用できること、臨床実習において、内分泌疾患と代謝性疾患の臨床推論を行うための疫学・病因・病態・症候・治療・予後の知識を習得することを目的とする。 <山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)の該当項目> 1. プロフェッショナリズム 2. 医学知識と問題対応能力 3. 科学的探求 4. 生涯にわたって共に学ぶ姿勢 <医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)の該当項目> D 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療 D-12 内分泌・栄養・代謝系 D-12-1) 構造と機能 D-12-2) 診断と検査の基本 D-12-3) 症候 D-12-4) 疾患
【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を 04.質の高い教育をみんなに
【授業計画】
・授業の方法
内分泌・代謝系の構造と機能、症候について講義形式で行う。 少人数グループによる問題基盤型学習(problem-based learning、PBL)を行う。
・日程
1.内分泌・栄養・代謝疾患総論1 3内教員 2.内分泌・栄養・代謝疾患総論2 3内教員 3.ホルモンの生化学 生化学教員 4.視床下部・下垂体前葉ホルモン異常による疾患(先端巨大症, 高プロラクチン血症,クッシング症候群(下垂体,副腎を含む) 3内教員 5.視床下部・下垂体前葉・後葉ホルモン異常による疾患(下垂体機能低下症、 水代謝に関連したホルモン異常による疾患(尿崩症など) 3内教員 6.下垂体腫瘍の外科的治療 脳外教員 7. 特別講義1 東京女子医科大学教授 8.副甲状腺ホルモンの名称,作用,分泌調節,Ca代謝 寒河江市立病院臨床教授 9.副甲状腺疾患 寒河江市立病院臨床教授 10. 甲状腺ホルモンの名称,作用,分泌調節 3内教員 11. 甲状腺疾患 3内教員 12.甲状腺・副甲状腺疾患の外科 耳鼻咽喉科教員 13. 内分泌腫瘍の画像診断(頭部〜副腎) 画像医学教員 14.副腎のホルモンの名称,作用,分泌調節 3内教員 15.副腎皮質・髄質疾患(クッシングを除く),神経芽腫など 3内教員 16.副腎腫瘍の外科的治療 腎泌尿器外科学教員 17.糖尿病の成因,病態生理,分類,症候 3内教員 18. 糖尿病の検査と治療 公立置賜総合病院臨床教授 19.糖尿病の療養指導 3内教員20. ビタミン・微量元素の欠乏と過剰 3内教員 21. 先天性代謝疾患(ヘモクロマトーシス,ポルフィリアなど) 3内教員 22. 糖尿病の急性・慢性合併症,低血糖など 山形県立中央病院臨床教授 23.特別講義2 日本大学医学部臨床教授 24.消化管内分泌疾患とその外科的治療 1外教員 25. 脂質異常症、メタボリックシンドローム 3内教員 26.血清タンパク質および核酸代謝異常 3内教員 27. 総合講義1 3内教員 28. 総合講義2 3内教員 ※面接授業の予定だが変更の可能性あり。
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
各教員は、タイトルに関連した最新の内容について講義を行う。 自習時間を設けて、少人数グループ毎に1症例を担当しPBLを行う。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
講義タイトルに関連して、下記の教科書や参考書に事前に目を通しておくと内容がより理解しやすい. 様々な教科書や参考書から抜粋した資料を配付するので、記憶が鮮明なうちにポイントを復習しておくと良い.
【成績の評価】
・基準
内分泌・栄養代謝性疾患の原因、検査法、診断法を理解し、鑑別診断ができる。そして、その治療法を選択できる。 総合講義では、症例ごとの問題点を理解しその解決に向けて臨床推考論が構築されているか、他者にわかりやすいプレゼンテーションができるかを評価する
・方法
各講義の出欠を出席表で評価し、1/4以上の欠席は不合格とする。 症例のレポート作成・発表を総合講義で評価する。 本コースの習得度を筆記試験で評価する。 最終評価は出席、ミニテスト、レポート作成・発表、筆記試験の成績を基に、総合的に評価する。 本コースは再試験を実施する
【テキスト・参考書】
内科学 朝倉出版 内科診断学 医学書院 最新内分泌代謝学 診断と治療社 ジョスリン糖尿病学 医学書院 Williams Textbook of Endocrinology (Saunders)
【その他】
・学生へのメッセージ
「内分泌・栄養・代謝」について集中的に学習します。臨床実習を実践するための基礎教育になるので、この機会にこの分野の基礎知識をしっかり習得してください. PBLでは基礎知識の応用力と他者とのコミュニケーション能力も評価します。
・オフィス・アワー
特に設けていないが、随時受付可能 <山形大学で教えていること> 山形コホート研究で行なっている糖尿病検診のデータをもとに、最新の山形県の糖尿病発症の危険因子について講義する。 当講座で行なっている遺伝性糖尿病の遺伝子診断をもとに、最新の糖尿病の分類について講義する。
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