全身性疾患学(外科系(耳鼻咽喉科))
 Otolaryngology、 Head and Neck Surgery
 担当教員:伊藤 吏(ITO Tsukasa)、鈴木 祐輔(SUZUKI Yusuke)、千田 邦明(CHIDA Kuniaki)
 担当教員の所属:医学部
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):医師として実務経験のある教員が、その診療経験を活かし、各診療科における代表的な疾患等について講義を行う。
 開講学年:4年  開講学期:前期  単位数:11単位  開講形態:講義
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修  
【授業の目的】
耳鼻咽喉科、頭頸部外科に関する講義を行う。特に感覚器コースにおける講義、演習を踏まえ、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の実地臨床での重要項目や、現在トピックなテーマ、他科との連携が必要な境界領域について講義を行う。
耳鼻咽喉・頭頸部外科は、聴覚、音声・言語、味覚・嗅覚、嚥下・咀嚼、体平衡など、人間が生きてゆく上で非常に重要な機能に関連した領域を扱う部門である。実地臨床においては、難聴、平衡障害、味覚障害、嗅覚障害、音声・言語障害、嚥下・咀嚼障害、顔面神経麻痺などの機能障害、中耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎などの感染症、頭頸部の腫瘍(良性、悪性)、アレルギー性鼻炎、睡眠時無呼吸、頭頸部の奇形、外傷、救急疾患など広汎な範囲を取り扱っている。授業にあたっては、解剖や生理の知識の十分な理解が必要である。
感覚器コースにおける講義に加えて、さらに臨床上重要な疾患や、現在トピックなテーマ、他科との連携が必要な疾患について、1)疾患の概要、2)診断法(検査法を含む)、3)治療 に関して講義が行われる。

【授業の到達目標】
3年次『臓器疾患学:感覚器コース』で学んだ耳鼻咽喉科、頭頸部外科疾患の理解に必要な基礎的知識を確認したうえで、臨床上重要である診断や治療に関わる実用な総合的知識を習得し、説明することができる。
□耳鼻・咽喉・口腔系の良性疾患
①滲出性中耳炎、急性中耳炎と慢性中耳炎の病因、診断と治療を説明できる。②伝音難聴と感音難聴、迷路性と中枢性難聴を病態から鑑別し、治療を説明できる。③末梢性めまいと中枢性めまいを鑑別し、治療を説明できる。④良性発作性頭位眩暈症の症候、診断と治療を説明できる。⑤鼻出血の好発部位と止血法を説明できる。⑥副鼻腔炎(急性、慢性)の病態と治療を説明できる。⑦アレルギー性鼻炎の発症機構を説明できる。
⑧扁桃の炎症性疾患の病態と治療を説明できる。⑨口腔機能管理を概説できる。⑩気管切開の適応を説明できる。⑪外耳道・鼻腔・咽頭・喉頭・食道の代表的な異物を説明し、除去法を説明できる。⑫唾液腺疾患を列挙できる。
□腫瘍性疾患
①口腔・咽頭癌について、病因、病期分類、検査所見、画像所見、病理所見、治療法を説明できる。②喉頭癌について、病因、病期分類、検査所見、画像所見、病理所見、治療法を説明できる。

さらに次年度の臨床実習で実際に患者と接した際に、行動科学に基づく医学生自身の対人能力技能向上の足がかりとなる疾患知識が体系的に理解、説明できる。

【授業概要(キーワード)】
耳科学、鼻科学、口腔・咽頭科学、喉頭科学、頭頸部外科学

【科目の位置付け】
3年次の『臓器疾患学:感覚器コース(耳鼻科)』と合わせて耳鼻咽喉科学・頭頚部外科学全体の講義として完成させる。それにより耳鼻咽喉・頭頚部領域の疾患についてより詳しい知識を習得し各疾患病態を自ら考えられるようにするものである。

この講義は、<医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28 年度改訂版)>における
D-14 耳鼻・咽喉・口腔系
D-14-4) 疾患
D-14-4)-(1) 耳鼻・咽喉・口腔系の良性疾患
D-14-4)-(2) 腫瘍性疾患
の内容を包含する。

この講義は、<山形大学医学部医学か教育到達目標(コンピテンシー)>における、
1 プロフェッショナリズム
2 医学知識と問題対応能力
3 診療技能と患者ケア
4 コミュニケーション能力
5 チーム医療の実践
6 医療の質と安全の管理
7 社会における医療の実践
8 科学的探究
9 生涯にわたって共に学ぶ姿勢
の内容を包含し、これらを充足することを目標とする。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を

【授業計画】
・授業の方法
原則として各講義ごとに資料を配布し、PCによるスライドプレゼンテーション、動画を用いて解りやすい講義を行う。
・日程
耳鼻咽喉科学、頭頸部外科学に関わる基本的かつ実践的な講義に加え、学外講師として各分野の専門家を招いて講演を行う。

講義日程および講義テーマ
第一日:オリエンテーション
第二日:外耳・中耳疾患
第三日:歌声障害の治療
第四日:めまい疾患
第五日:鼻副鼻腔疾患/免疫・アレルギー
第六日:聴神経腫瘍
第七日:頭頸部腫瘍Ⅰ(舌癌、口腔癌、上・中・下咽頭癌)
第八日:顔面神経
第九日:頭頸部腫瘍Ⅱ(鼻副鼻腔癌、喉頭癌、甲状腺癌)
第十日:感音難聴(耳鳴、補聴器、人工内耳)

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義への出席状況は毎回チェックする。授業は、教科書からは得られない知識、情報を多く含んでおり、また教科書では触れられていない内容を授業で補完する目的もある。したがって講義出席日数の足りない学生は、自ら単位取得を放棄するものと判断する。
また出席が3/4に満たないものは、筆記試験の受験資格を与えない。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
3年次の『臓器疾患学:感覚器コース』における配布資料や教科書を用いて、履修事項の事前の予習を求める。
また、講義内容の復習、確認は必須である。関連する他科領域や基礎医学領域の内容についても教科書等を用いて確認しておくことが必要である。耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野は、扱う領域が非常に広く多岐多彩に渡るため、臨床実習での実際の患者の診察に当たり、授業での内容を最低限理解しておく必要がある。

【成績の評価】
・基準
各学年に行う試験の日程は後日通知される。筆記試験の合格点は100点満点で60点以上となる。ただし講義への出席回数が規定(3/4)に達しない場合は受験資格を与えない。
・方法
試験週間内に筆記試験を行う。試験成績が合格基準に満たない者に対しては再試験を行う。学修態度を含め総合的に合否を判断する。
<試験内容>
医師国家試験に準じた多肢選択問題(MCQ)式の移行試験を行う。主に解剖学、生理学、検査法とその意義および疾患の診断学、治療法などを中心に行う。

【テキスト・参考書】
各講義で使用する資料は、各授業ごとに担当教官が配布する。
<参考書>
あたらしい耳鼻咽喉科・頭頸部外科学(中山書店)
新耳鼻咽喉科学(南山堂)
病気がみえる 耳鼻咽喉科(Medic Media)

【その他】
・学生へのメッセージ
講義での疑問点に関しては授業終了後に積極的に質問して下さい。教官は学生諸君の自主的学習への協力は惜しみません。また教官も学生からのフィードバックを期待しています。学生個人の、積極的かつ自主的学習方法の習得が大切であると考えています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野は、扱う領域が非常に広く多岐多彩に渡るため、解剖・生理を十分に理解していなければ疾患の病態を理解することはできません。基礎的事項の反復履修が非常に重要です。講義はスライド、ビデオ等を多用し実際の手術などを具体的に供覧しますが、これは参考書では得られない知識です。
・オフィス・アワー
(月)~(金)8:30~17:00
連絡先:医局秘書室023-628-5380、 jibika@mws.id.yamagata-u.ac.jp

<山形大学で教えていること>
上記内容に加え、当教室が世界をリードする内視鏡下耳科手術の概要についてなど、医療の国際化を念頭に講義しています。

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