総合医学演習(地域医療学)
 Community Medicine
 担当教員:村上正泰(MURAKAMI Masayasu)、池田登顕(IKEDA Takaaki)
 担当教員の所属:医学部医学科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):・財務省や厚生労働省で医療政策の企画立案に携わった経験を持ち、現在も山形県地域医療構想アドバイザーなどを務め、医療提供体制改革に関わっている教員が、その経験を活かし、地域医療を巡る最新の政策動向と現場の実態を講義する。(村上)
・理学療法士である社会疫学者の教員が、その臨床経験を活かして、地域医療・介護の課題やその課題解決に向けた事例の紹介などを通した講義を行う。(池田)
 開講学年:4年  開講学期:前期  単位数:1単位  開講形態:講義・実習
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修 
【授業の目的】
地域医療の現状や地域医療を取り巻く制度的な枠組み(医療計画・地域医療構想等)について学んだ上で、超高齢社会の到来に伴って重要性が高まっている「地域包括ケアシステム」を中心に、地域における多職種連携や在宅医療等の推進など、地域医療の現状と今後の課題についての理解を深め、地域医療に貢献するための基礎的知識を身につけることを目的とする。

【授業の到達目標】
(1)かかりつけ医の役割やプライマリ・ケアの必要性を踏まえ、地域社会における地域包括ケアシステム、救急医療、在宅医療、離島・へき地医療、健康増進活動等を理解し、その活動に参加することができる。
(2)地域の保健・医療・介護・福祉の制度とシステムを理解し、医療計画(医療圏、基準病床数、地域医療支援病院、病診連携、病病連携、病院・診療所・薬局の連携等)及び地域医療構想を説明でき、自身の活動現場においてその知識を活用できる。
(3)在宅療養と入院または施設入所との関係について総合的な考察ができる。

【授業概要(キーワード)】
地域医療、地域包括ケアシステム、医療計画、地域医療構想、かかりつけ医、プライマリ・ケア、在宅医療、離島・へき地医療、保健・医療・福祉・介護連携、多職種連携

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)の該当項目>
1.プロフェッショナリズム
2.医学知識と問題対応能力
(2)社会医学
5.チーム医療の実践
7.社会における医療の実践
(1)予防医学と健康増進
(2)地域医療
(5)医療・介護・福祉制度
(6)保険診療・医療経済
8.科学的探究
9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢

<医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)の該当項目>
A.医師として求められる基本的な資質・能力
A-7-1) 地域医療への貢献
B.社会と医学・医療
B-1-7) 地域医療・地域保健
B-1-8) 保険・医療・福祉・介護の制度
B-4-1) 医師に求められる社会性

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を

【授業計画】
・授業の方法
講義および3つのグループに分かれて実施する地域病院見学実習(病院スタッフから説明を受けながらの病院内見学と病院長講話・質疑応答)
・日程
6月17日(月)
3・4校時:講義①:地域医療総論・制度論(病院見学実習のガイダンスを含む)
6月21日(金)
1・2校時:講義②:地域連携・多職種連携論
3・4校時、5・6校時、7・8校時:地域病院見学実習
(最上町立最上病院、小国町立病院、朝日町立病院)
※各病院において見学実習受け入れが困難な事情が生じた場合には、訪問先を変更するか、またはオンライン形式で実施する場合がある。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義において地域医療に関する基礎的知識を習得した後、地域病院見学実習に参加し、講義内容と見学した病院の現状を踏まえたレポートを提出する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
講義や地域病院見学実習で学んだ内容を自分の頭の中で正確かつ体系的に整理すること。授業中に理解できなかった点や詳しく知りたいと思った点は図書館、インターネットなどを利用して各自で調べ、課題のレポートを作成すること。
地域病院見学実習に参加するに当たっては、病院から事前配布される資料や病院のホームページに予め目を通し、概要を把握しておくこと。その上で、見学の中で特に聞いてみたい内容や質問事項を事前に考えておくこと。

【成績の評価】
・基準
講義への出席および地域病院見学実習への参加ならびにレポートの提出が必須である。レポートにおいては、地域病院見学実習を踏まえ、「地域包括ケアシステム」をはじめとする地域医療のあり方について、どれだけ現状と課題を理解し、自分なりの考察を深めることができているかという観点から、評価する。
・方法
地域病院見学実習を踏まえて作成するレポートおよび出席により総合的に評価する。

【テキスト・参考書】
テキストは特に指定しないが、下記の書籍などが参考になるであろう。
地域医療学入門(日本医学教育学会地域医療教育委員会・全国地域医療教育協議会合同編集委員会、診断と治療社)
地域医療テキスト(自治医科大学監修、医学書院)
日本の医療政策と地域医療システム(尾形裕也、日本医療企画)
日本の医療と介護-歴史と構造、そして改革の方向性(池上直己、日本経済新聞出版社)
ビッグデータと事例で考える日本の医療・介護の未来(松田晋哉、勁草書房)

【その他】
・学生へのメッセージ
1)地域病院見学実習は、地域医療の現場の実情を自分の目で見ることができ、生の声を自分の耳で直接聞くことのできる機会であり、地域医療の現状と課題について一人ひとりの頭でよく考えること。地域病院見学実習の際には、受身の見学ではなく、質疑応答に活発に参加すること。
2)地域病院見学実習に参加するに当たっては、引率者の指示に従い、病院内での服装や言動等にも十分気をつけること。具体的な注意事項は講義の際に伝達する。
・オフィス・アワー
<オフィスアワー>
随時
<山形大学で教えていること>
地域医療を巡る諸課題について、行政や地域社会との関係も含めて、社会システムの視点から捉えることも教える。

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