【授業の目的】
外科手術の侵襲に対して、侵襲から生体を守るための技術とその背景にある知識を身に着ける。 侵襲とは何か。侵襲が加わる患者の状態をいかに把握するか。麻酔とは何か。麻酔にはどのような方法があるか。 侵襲から患者さんを守るために必要な情報は何か。このような疑問に対する答えを考え、患者管理学を習得する。
【授業の到達目標】
麻酔科学の知識、集中治療の考え方、ペイン患者の診断と治療の特徴を理解できる。 1) 生体に侵襲が加わるとどのような反応が起きるかを理解できる。 生理学、薬理学を想起し、復習し、病態生理学的な考え方ができる。 2)痛み刺激に対する反応を中枢神経学的に説明できる。 3)麻酔方法の特徴を理解し、各種麻酔薬および筋弛緩薬の作用、副作用、作用時間など説明できる。 4)術前の評価を的確に行えるように、病歴を聴取し、身体所見を取り、検査データ上の問題点を推論できる。 5)全身麻酔、局所麻酔における麻酔の流れについて討議できる。 6)各種の気道管理方法を比較できる。 7)硬膜外麻酔、脊椎クモ膜下麻酔、神経ブロックなどについて概説できる。 8)術中の体液管理を予測できる。 9)術後合併症について項目を挙げ、その病態を類別できる。 10)集中治療室での呼吸管理、循環管理、感染予防、代謝管理について理解し、 APATCH II スコア、SOFA スコア等で患者を評価できる。 11)ペインクリニック来院する患者の疾患、治療について説明できる。
【授業概要(キーワード)】
麻酔科学・集中治療医学・ペインクリニック
【科目の位置付け】
<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)> 1 プロフェッショナリズム 2 医学的知識と問題対応能力 3 診療技能と患者ケアの基本的な知識 4 コミュニケーション能力 5 チーム医療の実践 6 臨床医学の科学的研究 7 医療の質と安全の管理
<医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)の該当項目> A-1 プロフェッショナリズム A-2 医学知識と問題対応能力 A-3 診療技能と患者ケア A-4 コミュニケ-ション能力 A-5 チ-ム医療の実践 A-6 医療の質と安全の管理
C-3 個体の反応 C-3-1) 生体と微生物 C-3-2) 免疫と生体防御 C-3-3) 生体と薬物 C-4 病因と病態 C-4-1) 細胞傷害・変性と細胞死 C-4-2) 代謝障害 C-4-3) 循環障害、臓器不全 C-4-4) 炎症と創傷治癒 C-4-5) 腫瘍
D-5 循環器系 D-6 呼吸器系 D-10 妊娠と分娩 D-12 内分泌・栄養・代謝系 D-13 眼・視覚系 D-14 耳鼻・咽喉・口腔系
E-1 感染症 E-2 腫瘍 E-3 免疫・アレルギー E-4 物理・化学的因子による疾患 E-5 放射線の生体影響と放射線障害 E-6 成長と発達 E-7 加齢と老化
F 診療の基本
G 臨床実習
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
【授業計画】
・授業の方法
パワーポイントによる講義中心に行い、プリント等を配布する。 標準麻酔科学のテキストに沿って行う。
・日程
麻酔科学総論 4月 3日(水) 10:20-12:00 岡田真行 生理学と麻酔 4月10日(水) 10:20-12:00 松浦優 術前準備・術前評価 4月17日(水) 10:20-12:00 森谷真知佳 吸入麻酔薬・静脈麻酔薬・悪性高熱・他 4月24日(水) 10:20-12:00 成澤あゆ香 筋弛緩薬と局所麻酔薬 5月1日(水) 10:20-12:00 森谷真知佳 硬膜外麻酔・脊椎クモ膜下麻酔・局所麻酔薬 5月29日(水) 10:20-12:00 成澤あゆ香 術後管理 6月5日(水) 10:20-12:00 岡田真行 周術期の輸液療法 6月19日(水) 10:20-12:00 鑓水健也 産科・小児麻酔 6月26日(水) 10:20-12:00 黒田美聡 モニタリング 7月3日(水) 10:20-12:00 鑓水健也 気道管理 7月5日(金) 10:20-12:00 早坂達哉 クリティカルケア 7月5日(金) 13:00-14:40 小野寺悠 ペインクリニック 7月5日(金) 14:50-16:30 飯澤和恵
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1)麻酔科学に必要な基礎医学的な知識を習得する。 2)麻酔に関する基礎知識を習得する。 3)患者管理に必要なバイタルサインの読み方、モニターの読み取り方を理解する。 4)呼吸管理、循環管理、代謝管理など周術期管理の基礎を身に着ける。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)生化学、生理学、薬理学の復習をして授業に臨む 2)授業内での疑問点について、種々の科目(内科学、外科学、生理学、薬理学、解剖学、生化学、等々)のテキストを熟読し、各自の疑問点を整理し、解決する。 3)授業のノート、配布プリントに関して、理解を深めるために熟読、熟考し、疑問点を見出す。
【成績の評価】
・基準
到達目標が達成されているかどうか、各授業内容について、知識を習得しているか否かを確認するために筆記試験を行う。 各授業について、すべての領域から出題する。 筆記試験、発表、出席、等総合的に判定する。
・方法
全講義に出席を原則とし、欠席した講義に関してはレポートを提出した者に受験資格を与える。試験成績が60点に満たないものは再試験を行う。
【テキスト・参考書】
日本語テキスト【標準麻酔科学】医学書院(必須;試験問題も出題する予定) 参考図書【ミラー麻酔科学】MEDSi株式会社
【その他】
・学生へのメッセージ
全項目について必ず履修すること 出席またはレポート提出を義務付ける 一つでも出席、あるいはレポート提出がないものは受験資格を失う
・オフィス・アワー
<山形大学で教えていること> 麻酔管理を中心として、呼吸管理、循環管理、代謝管理など重症な病態に対する治療方法を教示している。 疼痛管理を必要としている患者の診断、鑑別、神経ブロックを中心とした治療方法、合併症について掘り下げて学ぶ。
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