臨床実習 (小児科)
 Clinical Practice
 担当教員:三井哲夫(MITSUI Tetsuo)、 荻野大助(OGINO Daisuke)、 簡野美弥子(KANNO Miyako)、 中村和幸(NAKAMURA Kazuyuki)、目黒亨(MEGURO Toru)、須藤陽介(SUDO Yosuke)、佐藤裕子(SATO Hiroko)、高橋辰徳(TAKAHASHI Tatsunori)、安孫子優(ABIKO Yu)、鈴木康太(SUZUKI Kouta)
 担当教員の所属:医学部医学科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):全教員が、急性期並びに慢性期を扱う病院勤務を経ており、小児科、また内科学的臨床実務並びに小児保健維持実務の経験をもとに、各専門分野の見地から小児の健全な成育を目指した教育を行う。
 開講学年:4年、5年、6年  開講学期:通年  単位数:61単位  開講形態:実習
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修  
【授業の目的】
これまでに学んだ各臓器別、また小児科学の疾患知識を実臨床の場で再確認し、自ら臨床の場に活かし身につけることを目的とする。ベッドサイドラーニングにおいては、患者さん、またそのご家族から病歴を聴取、診察し、検査法及びその結果の評価、診断、治療について修練し、発育・発達途上である小児の生理的、病理的特性について理解を深め、発達に応じた行動科学的知見を含む小児医学の基礎知識を身につける(行動科学)。クリニカルクラークシップにおいては、上記に加え、病態を十分に考察し、必要に応じた検査予定を含め上級医にプレゼンをし、討議を行うことで疾患の的確な診断能力を養うとともに、最新の標準的治療を提示する。
低出生体重児から若年者まで、成長・発達の過程にある事を実感し、それぞれの時期に応じた正常の発育段階を認識することで、そのバリアンスとしての異常を理解する。

【授業の到達目標】
〈ベッドサイドラーニング〉
(1)家族からの問診も含め、患者さんの年齢に相応した病歴がとれる。(成長発達歴、家庭及び社会環境、生活、養護、社会経済状況を含む。)
(2)新生児、乳児、幼児、学童期それぞれに相応の診察所見をとることができる。
(3)小児の診察、家族への問診において望ましい態度を体得する。特に緊急時の態度に留意する。
(4)患者の問題点を把握し、診断・管理・治療の計画を立てることができる。(薬物療法、処置、心理的カウンセリング、予後予測、治療効果の判定及び治療の患者に対する危険性などを含む。)
(5)患者の病歴、診察所見、検査成績の評価及び診断・治療計画の要点を、約5分で口頭で的確に述べることができる。
(6)患者さんおよび患者家族と良好な関係を構築できる。

〈クリニカルクラークシップ〉
上記を深化させる。専門分野ごとに、日本における最新の標準治療について学ぶと共に、国際社会への貢献を視野にアジア、欧米での同種の疾患治療法についても自ら調べる。詳細については『クリニカルクラークシップの手引き』参照。

循環器 (高橋辰徳、鈴木康太)
血液・悪性腫瘍(簡野美弥子、目黒亨、佐藤裕子)
新生児(須藤陽介、安孫子優)
神経 (中村和幸)
腎臓 (荻野大助)
内分泌・代謝(村中あかり)

【授業概要(キーワード)】
小児疾患、診察、臨床推論、診断、治療

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:26~50%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この講義では、臓器別疾患コース、全身性疾患学で得た知識を、発達・成長と結びつけ深く理解するとともに、小児の疾患について、より詳しい知識を習得し、小児期の各疾患病態を自ら考えそれに対応する。

<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)の該当項目>
1 プロフェッショナリズム
2 医学的知識と問題対応能力
3 診療技能と患者ケアの基礎的知識
4 コミュニケーション能力
5 チーム医療の実践
6 医療の質と安全の管理
7 社会における医療の実践
8 科学的探求
9 生涯にわたって共に学ぶ姿勢

<医学教育モデルコアカリキュラム(平成28年度改訂版)の該当項目>
B 社会と医学・医療
B-1-8)保健・医療・福祉・介護の制度
D 人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療における各臓器の関連疾患
E 全身に及ぶ生理的変化、病態、診断、治療 特にE-7 成長と発達
F 診療の基本の各項目
G 臨床実習 G-1 診療の基本、G-2 臨床推論、G-3 基本的臨床手技の一部、G-4-1-(3) 小児科

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を

【授業計画】
・授業の方法
下記各臓器グループごとの教授を受ける。
循環器 (高橋辰徳、鈴木康太)
血液・悪性腫瘍(簡野美弥子、目黒亨、佐藤裕子)
新生児(須藤陽介、安孫子優)
神経 (中村和幸)
腎臓 (荻野大助)
内分泌・代謝(村中あかり)

〈ベッドサイドラーニング〉
1. 事前に臓器別実習グループ(①~⑥)の選択を相談して決定し、実習初日の午前8時30分までに6階病棟カンファレンスルームに集合し、学生担当教員から臨床実習についてオリエンテーションを受ける。
2. 指導教官のもとで病室の入院患者に接しつつ、実地に修練する。
3. 毎週月曜日の午後の教授総回診に参加する。
4. 2週目月曜日の午前7時半からモーニングカンファレンスに参加する。

臓器別実習グループ
①循環器②血液・悪性腫瘍③腎臓④神経⑤内分泌・代謝⑥新生児

〈クリニカルクラークシップ〉
原則として、指導医もしくはそのグループの医師が病棟や外来にいる場合は一緒に行動すること。タ回診後の夜間と土日祝日は、検査予定がなく患者に変化がなければ、自由であるが、急変時は、緊急招集もあり得るので、連絡が取れるようにする。
【全体スケジュール】
(月曜)ベッドサイドラーニング2週目、7時30分からモーニングカンファレンス(医局カンファレンスルーム)
毎週月曜、13時30分から教授総回診(NICU、6西)、症例検討会(病棟カンファレンス室)
上記以外は、指導医のもとに1~2名ずつ分かれて行う。学生同士の話し合いで事前に各自臓器グループ希望①~⑥を決めておくこと。より深く学ぶためには4週間連続した単ーグループでの実習が望ましいが、第4週目はグループを変更してもよい。

①循環器 ②血液・悪性腫瘍③腎臓④神経⑤内分泌・代謝 ⑥新生児
・日程
4学年 10月15日から、個々の予定に応じベッドサイドラーニング
5学年 4月8日から、前年度からの引き続きベッドサイドラーニング
10月15日から、クリニカルクラークシップ
6学年 4月8日から、前年度からの引き続きクリニカルクラークシップ

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
〈ベッドサイドラーニング〉
1. 病棟内:教授回診は遅れず前へ。病棟での言動には細心の注意を払い、学生同士無駄話しない。医学・医療に関する質問討論はおおいにすること。ナースステーション中央のテーブルは使用不可。
2. 朝夕回診:担当教官に時間と方法を各自確認すること。
3. 月曜日、教授回診時、13時20分6階東NICUに集合待機。総回診と症例検討会後、医局長の指示で室外へ退出。
4. レポート: 1週目の指導医と相談し課題症例を決め、A4用紙2枚(厳守)にまとめ、2週目金曜日の発表会に臨むこと。事前に指導医による添削を受け、完成させておく。発表の際には実習人数+発表会担当教官(教授)分をコピーする。発表会の討議で必要に応じ修正し、ポートフォリオと一緒に医局秘書に提出する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
毎日必ず1つ以上の質問ができるように、自分が何をわかっていないのか、常に疑問を持って学習すること。

〈クリニカルクラークシップ〉
診療・処置は、学生のみで行わず、必ず指導医の監督下に行うこと。
診断名、検査結果や治療内容、予後など本人・家族との会話には細心の注意を払う。医療的内容について尋ねられた際は指導医に尋ねるよう話し、指導医に相談内容を必ず伝えること。

【成績の評価】
・基準
〈ベッドサイドラ一二ング〉
1週目の指導医が「出席」「態度」「ポートフォリオ」「実習内容に関する発表、、試問」の4つの項目について評価したもの、またその他の病棟医療スタッフの評価を基に、講座の長が総合判定を行う。

〈クリニカルクラークシップ〉
3週目までの指導医が「出席」「態度」「ポートフォリオ」「実習内容に関する発表、試問」の4つの項目について評価したもの、またその他の病棟医療スタッフの評価を基に、講座の長が総合判定を行う。

【出席】出席3/4未満、または無断欠席した場合は不合格。
【態度】 実習態度として、積極的に矯正を要する問題点がある場合は不合格。(医療職としての責任感に欠ける、自己改善と適応力を高める努力に欠ける、患者及びその家族との関係を築こうとしない、医療チームのメンバーと関係を築けないなど)
【ポートフォリオ】①~③のいずれかに該当する場合は不合格。
①提出がない場合
②患者が特定できる情報が含まれる、指導教員の確認印がない等、提出されても受理できない場合
③実習中に学んだ事のファイリングや内容が許容できない程度に乏しい場合
【実習内容に関する発表、試問】
①~③の観点で評価。最低限の実習内容すら身に付いていない、あるいは身に付いたことを発表を通じて伝えられていない場合は不合格。
①実習期間を通じて行われた試問等(発表を含む)からうかがえる、実習で学んだ知織や技能に関する理解や定着度
②実習成果報告が発表形式で行われた場合、発表内容(作成したスライドや資料に盛り込まれた情報)の充実度
③実習成果報告が発表形式で行われた場合、発表の仕方 (わかりやすさ、時間配分、議論等) の適切さ
・方法
〈ベッドサイドラーニング〉
態度は、単に知識ではなく質問・意見交換、討議等の積極性を重視する。ポートフォリオは、内容の充実度を評価する。発表は、レポート内容と症例のプレゼンテーション、指導医とのやりとりを評価する。出席は、回診・検査・外来見学・S G Tを評価する。

〈クリニカルクラークシップ〉
単に知識ではなく質問・意見交換、討議等の積極性を重視して態度を含め評価する。ポートフォリオは、内容の充実度を評価する。発表は、症例のプレゼンテーションや、日々の病態考察について指導医との討議で評価する。出席は、回診・検査・外来見学を評価する。

臨床実習最終評価はベッドサイドラーニング、クリニカルクラークシップそれぞれ上記全体で評価を行う、よって再試験は行なわない。


【テキスト・参考書】
標準小児科学(医学書院)、小児科学新生児学テキスト(診断と治療社)、小児科学(文光堂)、小児科学(日本医事新報社)、Nelson Text book of Pediatrics (Saunders Co.)

【その他】
・学生へのメッセージ
注意事項
1. 感染予防:小児科病棟には、免疫力の低下している児が多い。病棟に着いたらまず手洗いを行う。うがい、手洗いは自宅でも行い、風邪や胃腸炎などの感染予防に留意すること。
2. 無断遅刻/欠席厳禁。体調不良の時は、担当教官に連絡をとり、指示を受けること。
3. 身だしなみは、患者さんご家族に信頼される服装、清潔な白衣の着用。爪を短く切りそろえること。聴診器持参。

実習に関する全般的な質問・意見・相談は学生担当教官まで。
・オフィス・アワー
〈山形大学で教えていること〉
全国また、国際規模の臨床試験の実際を教えている。
各臓器系疾患における最新の標準治療

授業時間外に学生の質問に答える「オフィスアワー」は、小児科学講座(臨床棟5階)において、原則、木曜日17:00~18:00とします。(事前予約要)

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