臨床実習 (統合型臨床医学)
 Clinical Practice (The Joint Clinical Medicine)
 担当教員:二口 充(Futakuchi Mitsuru)、森兼 啓太(MORIKANE Keita)、吉岡 孝志 (YOSHIOKA Takashi)
 担当教員の所属:医学部医学科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):病理医として実務経験のある教員が、その診療経験をいかし、病理学的に代表的な疾患などについて講義・実習を行う。
 開講学年:4年、5年、6年  開講学期:通年  単位数:61単位  開講形態:臨床実習
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修  
【授業の目的】
病理診断[病理診断学講座]、臨床検査[検査部、輸血部]および腫瘍内科[臨床腫瘍学分野]に関する臨床医学を統合的に修得する。

【授業の到達目標】
①主訴からの診断推論を組み立てる、又はたどる。
②疾患の病態や疫学を理解する。
③該当診療科の基本的な診察技能を学び、治療に可能な範囲で参加する。
④どのように該当診療科にコンサルテーションすればよいかわかる。

[病理部(病理診断学講座)]
病理部で行われる病理組織診断、細胞診診断および病理解剖の実際のプロセスを見学・体験し、医学・医療に関わる病理診断の役割について説明できる。
行動科学に基づいた病理実習を行う。

[臨床検査(検査部、輸血部)]
臨床医の業務の後方支援的な立場にある臨床検査部門に対する理解を深める。
臨床検査の原理、手技、診断的意義に関して、臨床系各科の実習で習得できない
部分を中心に実習を行う。また、輸血および献血の実際についても本実習で取り
扱う。

[腫瘍内科(臨床腫瘍学分野)]
がん薬物療法で使用される薬剤に関する基本的知識、副作用の評価法と対策、エビデンスに基づく標準治療決定方法、主要ながん腫の標準治療の実際に関して理解を深めるとともに、担癌患者の治療方針の決定プロセスを実際の症例を通して学ぶ。行動科学の知識と結び付けて、担癌患者への適切なアプローチを学ぶ。また、外来化学療法や緩和治療の実際の場面に立会い、がん治療の現状を理解する。

【授業概要(キーワード)】
病理、臨床検査、腫瘍内科、統合型医学

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:26~50%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:26~50%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
医学科 臨床医学(BSL及びCCS)

<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)>
1.プロフェッショナリズム
2.医学知識と問題対応能力
6.医療の質と安全管理
8.科学的探究
9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢

<医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)>
G-4-2)

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を

【授業計画】
・授業の方法
病理診断学講座:
1. 典型的な病理組織所見を呈した手術症例や生検症例を通じて、疾患の病態、診断、治療法を理解する。
2. 感染症、血液疾患、腎糸球体疾患などの病理画像を理解する。
臨床腫瘍学分野:
参加型臨床実習を行う。
検査部:
採血やグラム染色など実際に手を動かす参加型の実習を行う。
・日程
【BSL】(4年/5年)
第1週目 5日間 病理部(病理診断学講座)での実習
第2週目 5日間 検査部(輸血部含む)と臨床腫瘍学分野 (学生全員が検査部3日間、臨床腫瘍学分野2日間)
検査部(輸血部含む)は、第2週の火曜日午後1時に、外来2階の生理検査室受付付近(採血室出口の廊下を挟んで反対側、患者さんの待合ソファがある辺り)に集合して下さい。持ち物は、筆記用具とメモ用具程度で、なるべく身軽で来て下さい。
・オリエンテーションは、第1週目と第2週目でそれぞれ行います。

【CCS】(5年/6年)
1. 学生を以下のコースに分けて、実習を行います。
(病理コース)
・病理診断学講座 (1~2名)
(腫瘍内科コース)
・臨床腫瘍学分野 (1~2名)
2. 第1週の実習初日に次のとおり集合し、オリエンテーションを受けてください。その後、プログラムに応じて実習を始めます。集合場所は以下の通りです。
病理診断学講座:病理診断学スタッフルーム(医学部基礎棟)
臨床腫瘍学分野:附属病院、 8階西ナースステーション
3. 担当教員・検査技師の指示の元に実習を行ってください。
4. 各実習終了後、所定の用紙に実習内容を記載し、担当者にサインをもらってください。
5. 実習最終日に、すみやかにレポートやポートフォリオなどを提出してください。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1. 実習病院等の日常業務を妨げないように留意すること。
2. 私物の持ち込みを最小限に留めること。
3. 無断欠席は厳に慎むこと。やむを得ず欠席する場合は連絡すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
病理診断学講座:
1. 病理画像の解読にあったては、十分な予習を必須とする。
臨床腫瘍学分野:
レジデントマニュアルを参考にすること。
検査部:
復習を行うこと。

【成績の評価】
・基準
病理診断学講座:
実習に出席し、積極的・能動的に参加し、症例の基本的な病態、診断、治療法を理解し、必要な書類(ポートフォリオ、レポートなど)を提出することが合格の基準です。加えて、グループ内での協調性などを参考とします。
臨床腫瘍学分野:
レポート提出
検査部:
出席、ポートフォリオ表紙の記述、実習への積極的参加を評価する。
・方法
出席、実習態度、レポート、ポートフォリオ、発表状況などから総合的に判断します。

【テキスト・参考書】
病理診断学講座:
1. ロビンス基礎病理学原書10版(Vinary Kumar他)、監訳:豊国伸哉他、丸善、東京、2018年
2. カラー・ダイナミック病理学 ~365症例からのアプローチ~、監修:鈴木利光他、西村書店、東京、2010年
臨床腫瘍学分野:
「新臨床腫瘍学」などを参考にする。
検査部:
特になし

【その他】
・学生へのメッセージ
病理診断学講座:
基本的にproblem-based learningであり、自学自習が重要で、症例を纏め上げる為にグループ内での協調作業も重要です。症例を通して、医学の基礎と臨床までの幅広い知識を習得してもらいます。
臨床腫瘍学分野:
質問は早めに行って下さい。
検査部:
体験型の実習です。積極的に取り組んでください。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィスアワー」は、特段、設けませんが、講座内には複数の教官が常に在室していますので、随時、対応できます。積極的に活用して下さい。
<山形大学で教えていること>
人体から採取した組織標本のバーチャルスライドを用いて、疾患の形態を観察する。鑑別すべき疾患名を列挙し、鑑別のポイントを学び、口述できるようにすること。

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