電子物性Ⅱ
 Physical Electronics II
 担当教員:高橋 豊(TAKAHASHI Yutaka)、大音 隆男 (OTO Takao)
 担当教員の所属:工学部 情報・エレクトロニクス学科
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:情報・エレクトロニクス学科(電気・電子通信コース)  科目区分:専門教育科目・選択 
【授業の目的】
半導体や金属中の電子のふるまいを理解することに重点に置く。まず、微視的な電子状態を考える上で基本となるシュレーディンガー方程式など量子力学の基礎を学ぶ。これに基づき固体(金属、半導体)の電気的特性を決める重要な要素である電子状態のバンド構造が原子の周期的な配列からどのように発生するかを学ぶ。また半導体の電気伝導特性と、発光機構について学ぶ。

【授業の到達目標】
1.シュレーディンガー方程式を解いて一次元のポテンシャル中の電子のエネルギーと波動関数を計算できる。
2.フェルミ粒子、古典粒子の性質の違いを説明できる。
3.フェルミ・ディラック分布関数や状態密度関数の求め方を説明できる。またそれらの関数のグラフ化や数値が計算できる。
4.金属のフェルミエネルギーや自由電子密度が計算できる。
5.金属、絶縁体、半導体の電気伝導をバンド構造から説明できる。
6.真性半導体のバンド構造を理解し、キャリア密度を計算できる。
7.半導体からの発光機構について説明できる。

【授業概要(キーワード)】
波動関数、シュレーディンガー方程式、フェルミ分布、状態密度、固体のバンド構造、正孔、有効質量、真性半導体、発光素子

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この科目は学習・教育目標A-Dとの対応:B
この講義は「電子物性I」に引き続き開講され、「半導体工学」「電気電子材料」を理解するための基礎的な事柄を学習する。

【授業計画】
・授業の方法
週一回90分の講義を行う。また、必要に応じて演習を実施して内容の理解を深める。
・日程
第1週 黒体放射・光電効果:前期量子論
第2週 シュレーディンガー方程式の導入及びその物理的意味
第3週 1次元自由粒子
第4週 1次元井戸型ポテンシャル
第5週 確率流密度
第6週 1次元段差型ポテンシャル
第7週 前半のまとめと中間試験
第8週 粒子のエネルギー分布則、状態密度
第9週 フェルミ・ディラック分布
第10週 固体のエネルギー帯理論
第11週 バンド構造と電気伝導
第12週 真性半導体、不純物半導体
第13週 金属、半導体の電気伝導
第14週 半導体からの発光
第15週 講義全体のまとめと期末試験

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
授業に集中し、しっかりとノートをとる。授業を妨げるような行動を行わない。わからない点があれば必ず質問して理解を深める。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
教科書と講義資料を使って、講義の内容を充分に復習してに理解できるようにすること。不明な点は次回の講義の時に質問する。毎回の講義内容の復習と講義資料の演習問題を解くために1‐2時間程度の自己学習が必要になる。

【成績の評価】
・基準
科目の達成目標に記載の項目について試験を行い,以下の基準を満足したものを合格とする。中間試験50点と定期試験50点の合計100点満点で60点以上を合格とする。
・方法
上記の授業の到達目標を理解しているかどうかを判断するために中間試験、定期試験を実施する。

【テキスト・参考書】
<テキスト> 応用物性論 (基礎工業物理講座 6) 青木昌治 朝倉書店
(「電子物性1」、「電子物性2」は共通の教科書を使う)
<参考書>「固体物理学入門 上」キッテル(丸善)3,400円+税
<参考書>「初歩から学ぶ固体物理学」 矢口裕之 講談社 3,600円+税

【その他】
・学生へのメッセージ
固体物性の基礎を量子論的に考える力を養うことに力を入れるので、半導体デバイス・磁性デバイス・超伝導デバイス等の研究を将来やりたい学生は必修。
「電子物性1」の内容をよく復習しておくこと。
・オフィス・アワー
時間帯:毎週金曜日16時―17時。 場所:8号館219号室にて。

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