【授業の目的】
ソフトウェア工学に基づいたソフトウェアの系統的な開発方法について述べる.ソフトウェア作成の根拠は顧客や社会からの要求であるため,その分析や抽出に基づいた設計手法に関して議論する.さらに,実務におけるソフトウェア作成においては,受発注という概念が付随するため統一的な設計技法やシステム構築技法に関して論じる. ソフトウェア開発において重要とされることは,要求を分析すること,システム開発のプロセスを決定すること,およびプロセスの各フェーズおける設計である.以上を半演習的な講義を通して習得する.
【授業の到達目標】
(1)与えられた課題に対して,それを解決するための要求分析ができる【技能】 (2)ウォーターフォールモデルとは何かを説明できる【知識・理解】 (3)クラス図などのUMLを書けるようになる【技能】 (その他)ライフサイクルモデル,要求分析,UML,ソフトウェアの管理について理解する【知識・理解】
【授業概要(キーワード)】
ライフサイクルモデル(ウォーターフォールモデル,スパイラルモデル,プロトタイプモデルなど),要求分析,UML,ソフトウェアの管理.
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:51~75% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:26~50% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は,大規模ソフトウェアを作成する際の問題点とその解決方法の基礎を学ぶことにより,論理的な思考力や情報科学分野における応用力を習得するものであり,情報・エレクトロニクス学科のディプロマポリシーのうち,以下の項目を担う科目である. ・情報科学及び電気電子工学に関する深い専門知識を修得し,先端的科学技術分野に応用できる能力を身に付けている.
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう 12.つくる責任つかう責任
【授業計画】
・授業の方法
講義はプロジェクターを用いて行う.いくつかの例題とともに実際の応用例を示しながら講義を進める.講義期間中に複数回のレポート提出を課すので,十分に参考書等で調べた上でレポート作成をするように.
・日程
第1週 ガイダンス,過去の大規模システム障害事件の事例,ソフトウェア工学の目的 第2週 過去のシステム障害の原因,ソフトウェアの位置づけ,ソフトウェアの基本的性質 第3週 ライフサイクルモデルとは~,ウォーターフォールモデルとその欠点 第4週 スパイラルモデルとその他のさまざまなモデル 第5週 要求分析1:三種類の型(要求抽出型、目的指向型、領域モデル型) 第6週 要求分析2:仕様の作成とよい仕様の条件 第7週 中間試験とまとめ 第8週 現場におけるソフトウェア工学 第9週 グラフ理論入門 第10週 要求モデル 第11週 オブジェクトの概念,系列図と協調図 第12週 状態遷移モデルと状態図,その他のUML図法 第13週 ソフトウェアテスト 第14週 ニーズとシーズ,ソフトウェアの開発コスト,開発工数計算手法 第15週 期末試験とまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
類推的な思考に基づいて,ソフトウェア工学と設計の実務に関して学習する.数回の小テストで理解度を確かめる.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
講義後に必ずテキストや参考書で講義内容を復習する.分からない事は講義後やオフィスアワーに質問する.インターネットなども活用し理解を深める.
【成績の評価】
・基準
中間試験30点,期末試験30点,および2回のレポート(各20点)を課す.総合点で60点以上で合格とする.なお,全授業のうち2/3以上(10回以上)の出席,ならびに試験とレポートをすべて提出することを合格の前提とする.
・方法
中間試験,期末試験により上記の目標について理解度を確認する.
【テキスト・参考書】
テキスト:テキストは講義開始時にスライド抜粋をプリントして配布する. 参考書:(1)高橋直久, 丸山勝久, ソフトウェア工学, 森北出版, 2010年 (2)松本啓之亮著:ソフトウェア工学,森北出版, 2010年 (3)石田晴久, 実践的ソフトウェア工学, 近代科学社, 2009年 (4)河村一樹:ソフトウェア工学入門,近代科学社, 2008年 (5)日経SYSTEMS(編集)「ITアーキテクトのやってはいけない 設計、メソドロジ、実装・テスト、運用、セキュリティのアンチパターン」日経BP出版センター (2009/11/18) ISBN-10: 4822229920
【その他】
・学生へのメッセージ
ソフトウェア開発を行う上での技法などを学びます.ソフトウェアを書く技法などを学ぶのではないので,イメージと異なるかもしれません.まずは講義に出席し,理解していきましょう.
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィスアワー」は山内教官室(10号館406室)において,原則,火曜日の17~18時とします.会議や出張等で不在にすることもあるため,確実に面談したい場合は事前に予約をお願いします.連絡先は,初回の授業でお知らせします.
|