【授業の目的】
技術は経済成長とともに高度化、複雑化、多様化を加速しているが、同時に事故、環境破壊をはじめ、ひいては人命に関わる惨事も多発している。これらの背景を技術者の倫理的側面からみると、未然に防げたケースが多い。何故技術者に倫理が必要なのか、といった問いに、その重要性や社会的背景を説く。 本科目は、高い技能と知識を持つ専門家が当然有すべき特有の倫理について、歴史や多くの事例および先輩技術者より学び、自発的に「専門職業人」としてのあり方を学ぶ。技術者として身につけるべき社会的規範や、組織として遵守すべき法律、道徳、倫理観について理解を深める。
【授業の到達目標】
《行為目標》 ・技術者倫理に関する専門的な用語や理論を理解し,説明できる。 ・技術者倫理に関する法規制や知的財産権などの枠組みを理解し,説明できる。 ・エンジニアとしての倫理観の涵養を図り,社会におけるエンジニアの責任を理解し説明できる。 《成果目標》 ・「成果物」や「行為者」によって様々な側面に与える影響を考慮するとともに、俯瞰的な視野から“技術者”としての責任を自覚し、倫理的判断能力を備え、将来の実際の行動へ移せるようになること目指す。
【授業概要(キーワード)】
社会的責任、道徳、倫理観、リスク、トレードオフ、プロフェッショナル、コンプライアンス
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:51~75% B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:26~50%
【科目の位置付け】
この科目は、高分子・有機材料工学科では、ディプロマポリシーの「1(1)健全な価値観と技術者倫理観を身につけている。」に相当する。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう 12.つくる責任つかう責任 16.平和と公正をすべての人に
【授業計画】
・授業の方法
90分の講義を15回行う。このうち講義は2/3とし、1/3は参加体験型(グループワーク、演習、討論など)で行う。
・日程
第1週 はじめに(授業の進め方、イントロダクション),なぜ技術者倫理なのか 第2週 Engineerの役割(課題と責任) 第3週 リスクとトレードオフ 第4週 唯一解の不存在・価値対立・決議論 第5週 社会と応用倫理 第6週 振り返りと小テスト① 第7週 倫理の法体系および倫理綱領 第8週 製造物責任と知的財産権 第9週 内部告発と告発者の保護 第10週 ハラスメントの定義とその防止 第11週 振り返りと小テスト② 第12週 事例に学ぶ(1) テクノロジーアセスメント,失敗学の教訓 第13週 事例に学ぶ(2) 歴史,先人に学ぶ 第14週 事例に学ぶ(3) 山形県内(歴史,環境,風土,技術)におけるケーススタディ 第15週 科目の総括,レポートの説明,おわりに
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
全講義の受講を必須とする。本講義内容の本質や性格上、受講態度や姿勢を最重要視する。 真剣にのぞむ他の受講生に失礼となる態度(私語、飲食など)は即時退出を命じ、評価に相応のペナルティを課す。 遅刻・欠席は、情状酌量の余地のあるものに限り、課題を与えレポート提出を求める。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
身近な事例に「技術者倫理」に関わる事例を探り、問題点について当事者の立場から考察する。 キーワードや、理解しにくかった部分について反復して理解を深める。 技術者としての見地から、メディアの様々な事例を通し考察する。
【成績の評価】
・基準
下記基準に基づいて評価する。 《行為目標》 ・技術者倫理に関する専門的な用語や理論を理解し,説明できる。 ・技術者倫理に関する法規制や知的財産権などの枠組みを理解し,説明できる。 ・エンジニアとしての倫理観の涵養を図り,社会におけるエンジニアの責任を理解し説明できる。 《成果目標》 ・「成果物」や「行為者」によって様々な側面に与える影響を考慮するとともに、俯瞰的な視野から“技術者”としての責任を自覚し、倫理的判断能力を備え、将来の実際の行動へ移せるようになることを目指す。
・方法
小テスト(個人ワーク、グループワーク、受講態度なども含む)・・・(50点) 期末のレポート・・・(50点) 合計100点満点中、60点を合格とする。
【テキスト・参考書】
テキスト:必要に応じ、講義前に適宜配布する。 参考書:必要に応じ、講義中に紹介する。
【その他】
・学生へのメッセージ
社会へ巣立つにあたり,技術者としての倫理観は工学技術・知識以前に最低限具備すべき資質です。 技術者倫理は、実際を考えた場合、回答のない学問と言っても過言ではありません。 自らが能動的に問題に向き合い、“考える”ことが第一です。これが実践的かつ即戦知識として役に立ちます。 裾野が広い学問のため、参考書類に載っていない言葉が出ます。まずはノートを取り、じっくり理解することを勧めます。
・オフィス・アワー
別途講義の際に案内する。なお、下記学内教員を通じて、質問等を受け付けることもできる。 香田:koda@yz.yamagata-u.ac.jp 電話:0238-26-3066 居室:6号館6階 (メールまたは電話にてアポイントをください。)
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