【授業の目的】
野生動物(ニホンザル、イノシシ、シカ、クマ)が地域の農作物を食い荒らし、住民や観光客を威嚇するなどの被害が続出している。それらの被害状況や動物行動を調査・データ分析すると共に、野生動物のわな狩猟に関わる知識と技能の取得を目指す(わな猟免許の取得は任意自由)。加えて、地域社会での食品(ジビエ)としての利用を考える。これらの学びを通じて、地域課題を解決する実践力を学習する。
【授業の到達目標】
一連の課題を通して、6つの能力、1)問題・課題を特定することができる【知識・理解】、2)説得力ある解決法を述べることができる【知識・理解】、3)実行に挑戦することができる【技能】、4)実行を成功させるための他者とコミュニケーションできる【態度・習慣】、5)実行結果を客観的に検証できる【技能】、6)成果を発表するプレゼンテーションができる能力を養う【態度・習慣】。
【授業概要(キーワード)】
地域食文化、農作物、野生動物、狩猟、ジビエ、自然環境
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:26~50% C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:26~50%
【科目の位置付け】
本授業は中心科目であり、地域課題を考える実践型実習・演習である(地域教育文化学部地域教育文化学科のカリキュラム・ポリシー/ディプロマ・ポリシー)
【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を 11.住み続けられるまちづくりを 15.陸の豊かさも守ろう
【授業計画】
・授業の方法
対面授業を中心に、場合に応じて遠隔授業を実施する。大学または現地フィールドにて、調査、学習および技能の習得を習得し、成果発表では、情報整理や発表方法について学ぶ。
・日程
4月:オリエンテーション(1時間) 5月;事前調査(5時間) サルやイノシシなどの野生動物の行動調査や被害状況を事前に調査する。その上で、現場での調査事項を整理する。 6-9月:現地調査とデータ解析による被害分析、わな猟知識と実技の習得(25時間) 基礎知識を大学で学習した上で、現地に夏休み(8月〜9月)にかけて調査を行う。場合によっては、地域の農家や自治体、NPO団体と協力しながらデータを解析することで被害状況を的確に把握しつつ、動物行動パターンを正確に理解することに挑戦するかもしれません。ただし、本活動でのわな猟は実施しません。なお、免許取得後に猟友会などでの活動は任意自由です。ちなみに、山形県の場合は、8月下旬週末か1月中旬頃に狩猟免許試験があります。住民登録されている都道府県での受験が必要ですので、ご注意ください。 10-11月;地域でのジビエ利用(鳥獣・外来魚も含む)の考察(15時間) 必要であれば実際に動物を解体して調理・発酵処理を行い、加工による製品提案も含みます。 12-1月;成果とりまとめ(10時間) 2月:学部成果発表会(発表練習を含む)4時間
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
与えられた授業をこなすだけではなく、答えがないかもしれない課題に対して、知的好奇心と向上心を持って、前向きに取り組みましょう。特に、目標に掲げた6つの能力に関して、常に意識しながら、課題に取り組んでほしいです。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
準備学修に必要な学修時間の目安は2時間/週です。資料を入手して、必要な知識やスキルに関する学習を自主的に進めること。事前に計画を立て、見学、気付いたポイント、現地で指導された内容などについてノートにまとめておきましょう。
【成績の評価】
・基準
レポート・感想文に自分の意見が記述されていること、講義や集会での活動内容(自分の意見が発信でき、他者の意見を聞く姿勢があること、自ら積極的に活動すること)、グループ活動での貢献、発表内容(正確かつ論理的に自分たちの意見をまとめ、発表できること)を精査する。
・方法
自分が挑戦したいことを明確に表現でき、かつ、地域の現場が求めていることを理解できた者を高く評価します。また、企画への参加数や取り組む態度姿勢(50点)、レポートや感想文(25点)、最終発表(地域現場および大学)のためのプレゼンテーション(25点)による総合評価により、数値化します。活動の中で試作品などを作成してもらっても構いません(積極的な姿勢は高く評価したいと思います)
【テキスト・参考書】
野生動物の行動および農作物被害に関わる資料、例えば、 「日本のサル: 哺乳類学としてのニホンザル研究、編:辻 大和, 中川尚史」、「野生動物の行動観察法: 実践 日本の哺乳類学、編:井上英二、南正人」、農林水産省が取りまとめている「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について、農村振興局農村政策部鳥獣対策」、「ジビエ 解体・調理の教科書、監:一般社団法人日本ジビエ振興協会」などが参考になります。
【その他】
・学生へのメッセージ
地域社会全体が調査対象なので、日程などが変動することが考えられます。遅くても2週間前には予定を連絡するので、調整をつけて参加するように心がけてください。理由がある場合には、必ず教員とグループメンバーへ連絡してください。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は小酒井研究室(地教1号館3階,305号室)において、火曜日と金曜日のお昼休み(12時15分〜50分)に設けます。
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