【授業の目的】
・歴史を研究するにあたって、拠り所となる素材が必要となるが、この素材が史料である。史料のうち、文献の一部が古文書であり、古文書のもつ複雑な性質を理解し、古文書に関する知識を整理し体系立てたものが古文書学である。この古文書学の基本的知識を獲得することが、第一の目標である。 ・第二には、古文書の読解力を身につけることである。基礎的な読解力を身につけることが歴史研究の第一歩である。 ・第三には、古文書の扱い方を学ぶことである。古文書の広げ方・しまい方、巻子本の開き方・巻き方などの基本的方法を身につけることである。 ・以上のテーマのもと、「古文書に親しみ、読み解く」ことを大きな目標とし、日本史研究に不可欠な古文書学の基礎的な知識の習得と古文書読解に習熟することを目指す。
【授業の到達目標】
・古文書学における基礎的な知識を習得し、自らの力で古文書を読解することができるようになる。古文書の読み方を学びながら、前近代社会を考察する視点を養う。 ・中学校社会科および高等学校地理歴史科担当教員として必要な専門的知識を理解できる。
【授業概要(キーワード)】
古文書、漢文、古文、くずし字
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は、日本史を叙述するうえで必須の古文書の読解を通じて、史料に基づく実証的な研究手法を習得する力を身につけるものである。 中学校教員免許状(社会)および高等学校教員免許状(地理歴史)取得のための選択科目である。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
【授業計画】
・授業の方法
授業前半は、形態論・様式論・機能論などを講義するが、授業後半は、配布する古文書のコピーを用いながら、受講生が一人ずつ担当して、発表する形式で行う。
・日程
第1回 授業の進め方とガイダンス 第2回 資料と史料、古文書学とはどういう学問か 第3回 古文書学の論文を読む 第4回 古文書と古記録 第5回 中世の古文書1(下文、綸旨など) 第6回 中世の古文書2(戦国大名の書状など) 第7回 江戸時代の古文書1(権力者の文書など) 第8回 江戸時代の古文書2(民衆の文書など) 第9回 古文書に触れる 第10回~14回 担当箇所を決めて受講生の発表 第15回 まとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義の内容を理解したうえで、古文書史料を読解する。与えられた時間内で担当する古文書の内容(釈文・現代語訳など)を発表する。発表者以外の人は積極的に質問する。古文書に記載されている歴史用語についても、各人が下調べをして発表し、歴史認識を一層深めていく。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
くずし字辞書を用いたり、トレーシングペーパーを活用したりして、古文書のコピーを自らの手で書き写す訓練を行うとよい。一日でも早く、くずし字になれるように努力すること。
【成績の評価】
・基準
古文書の解読の答え(現代の漢字)と現物(コピーのくずし字)とを見比べながら、どのようなことが書かれているかをおおよそ理解できるようになること。
・方法
成績評価は、課題に対するレポートの70点に、講義中における発表の有無やその内容を30点として、その総合点数で判断する。
【テキスト・参考書】
参考書:佐藤進一『新版 古文書学入門』(法政大学出版局)、久留島典子・五味文彦編『史料を読み解く1 中世文書の流れ』(山川出版社)、日本歴史学会編『概説 古文書学』古代・中世編、同近世編(吉川弘文館)
【その他】
・学生へのメッセージ
古文書読解は、「習うより慣れろ」が一番の早道である。数多くのくずし字にあたり、自分の力で古文書を読んで、歴史学研究の面白さを体感してほしい。
・オフィス・アワー
オフィスアワーについての詳細は、講義時に説明する。相談場所は基本的に大喜研究室で行う。
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