栄養学実験演習
 Seminar in experiment of animal nutrition
 担当教員:小酒井 貴晴(KOZAKAI Takaharu)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科文化創生コース
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):政府系研究機関(産業技術総合研究所、農業食品産業技術総合研究機構)およびルードヴィッヒ癌研究所(スウェーデン)において、栄養生理学に関する基礎研究に従事しており、その経験を活かして栄養学実験を含む演習を学ぶ。
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:地域教育文化学部地域教育文化学科  科目区分:専門科目  
【授業の目的】
動物に関する栄養学を研究する基礎的実験手法を習得しながら、身体に及ぼす栄養評価を自身で研究実験できるようになりつつ、得られたデータや他者の参考文献データから栄養学的な理論的な考察が思考できるようになることを目的とする。

【授業の到達目標】
1)実験手法や試薬や実験機器の取り扱いを正確に理解して、実際に実験準備が確実に実施できるようになる。(知識・技能)
2)栄養源がヒトを含む生体に及ぼす影響を検討するために、栄養生理学に関する生体知識を理解して、設定された目的を解明するための実験研究手法を正しく選択でき、結果から論理的に考察できるようになる(知識・理解)。
3)グループで生物実験を実施するために、実験作業の準備や機器操作を、共同実験者と協調しながら正しく実施できるようになる。(技能・態度)

【授業概要(キーワード)】
栄養学、生理学研究法、基礎実験、論理的思考

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
本授業は選択科目であり、食と健康を理解する講義である(地域教育文化学部地域教育文化学科のカリキュラムポリシー/ディプロマポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を

【授業計画】
・授業の方法
本授業は対面を基本として、一般的な生物学実験から初歩的な栄養学研究法までを理解・実行できるような実験および演習を行う理系授業である。習得しておくべき事項はウェブ学習と併用しながら学習することもある。授業中の知識の小テストやレポート、実験内容の実演や口頭試問などの演習課題を通じて、理解度を深めていく。また、単元に関係する外部講師(研究・開発者)による最新事情や手法を紹介・実演してもらう場合もある。
・日程
第1回:説明・イントロダクション よく説明を受けた上で履修を選択するとよいでしょう。なお、実験動物倫理委員会の講習会にて動物実験の実施資格を習得してもらいます。第2回:試薬の扱い 試薬、実験水、有機溶媒や実験用ガスなどの取り扱い、機器の洗浄や保管など、危険を回避するための知識や機器の使い方を実験・習得する。第3回;緩衝液の作成 水溶液の「緩衝能」・体内の酸塩基並平衡に関する基礎知識を習得した上で、生理実験で用いられる緩衝液をpH調整しながら作成する。第4回;アミラーゼによる炭水化物の分解・消化(酵素速度論) 唾液・膵液アミラーゼによる炭水化物の分解・消化の差異を確認しながら、酵素速度論を実験・学習する。第5回;タンパク質の立体構造 アミラーゼの酵素活性と立体構造の関係を理解するために、比色法(吸光度計)や円二色性分散計にて測定する。第6回:動物実験計画法  動物実験を用いた栄養生理実験を実施する際の注意点などを、動物個体、組織培養、細胞培養などの研究手法の利点欠点を整理しながら学習する。また、実験計画立案に関しては、既報の参考文献を参考にしながら、演習スタイルで学習する。第7回;生物時計・自発運動の概日リズム マウスの自発運動(回転ホイール)を5日間連続して計測する。制限給餌や不規則食などのストレスが概日リズムに及ぼす影響を観察できるように、実験操作や実験環境(餌、温度、光条件など)に配慮できるようにする。第8回;動物の解剖と臓器の形態観察 実験動物を解剖して各種器官の外観観察と生体における構造的位置を学習する。さらに、スケッチのみならず、サンプルを撮影した画像データを解析ソフトにて解析して、学会発表できるようなグラフ作成にも挑戦する。第9・10回:栄養素吸収(腸管における二次性能動輸送) 腸管における能動的グルコース吸収機序を習得する。Na+依存の二次性能動輸送や膜消化の生物学的概念を、実験動物の腸管組織培養法である反転腸管法にて実験・学習する。第11・12回:内分泌機能 体内の血糖値調節は内分泌制御による恒常性にとって制御されている。体内におけるグルコース濃度の変動やインスリンなどの内分泌制御による調節機序を実験・学習する。第13・14回:消化管 腸管組織の凍結切片を作成し、HE染色にて組織形態(細胞サイズ)を観察して画像解析にて分析する。また、腸管微生物による発酵産物(短鎖脂肪酸や乳酸)をHPLCやGC-MSにて測定する。第15回:総合討論 すべての学習内容を終了させた上で、総合的な討論を行う。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
準備学修に必要な学修時間の目安は1.5時間/週です。知識を頭に入れるのではなく、答えがないかもしれない課題に対して、知的好奇心と向上心を持ってほしいです。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
資料を入手して、必要な知識やスキルに関する学習を自主的に進めること。また、わからないことは質問して解決する学習習慣が大切かと思います。

【成績の評価】
・基準
調査レポート、確認レポート、口頭試問や実験演習中の修学姿勢を総合的に評価する。実験結果に正誤ではなく、どうしてそうなったかという原因(理由)を考えることを高く評価します。
・方法
レポートなどの理解点を40点、授業の試薬扱いや機器操作などの技能点に30点、グループ内の共同作業への貢献などの態度点を30点として、合計で100点満点とする。

【テキスト・参考書】
テキストは特に指定しておりません。資料は授業内で適時お伝えします。

【その他】
・学生へのメッセージ
説明を聞いた上で受講選択するのがよいかと思います。現在の知識より、これから学びたいという知的好奇心を大事にしてください。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は小酒井研究室(地教1号館3階,305号室)において、火曜日と金曜日のお昼休み(12時15分〜50分)に設けます。

21225090-2024-08-23224