【授業の目的】
成人の学習を保障するもっとも基礎的な条件である社会教育施設について、その現状と課題について概説する。社会教育施設は90年代以降の規制緩和・地方分権という流れの中でどのような状況におかれているのだろうか。各地では、行政職員の引き上げ、施設の民営化、首長部局移管、廃止等の社会教育施設の再編が進みつつある。特に社会教育施設の民間運営については、NPOや企業を指定管理者とした新たな施設運営が展開してきており、従来とは異なる個性ある事業や施設運営が現れてもいる。本科目では、社会教育施設に関する法制度への理解を深めながら、こうした社会教育施設をめぐる近年の動向について全国の具体的事例に即しながら考察を試みる。講義の前提となる社会教育法制度やNPO等に関する基礎的知識・情報も随時提供する。
【授業の到達目標】
・社会教育施設の法制度上の位置づけや社会的意義について理解できる。 ・規制緩和・地方分権のもとでの社会教育施設の課題について理解できる。 ・社会教育施設の民間運営の意義と課題について理解できる。
【授業概要(キーワード)】
指定管理制度 規制緩和 地方分権 NPO
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
文化創生コースの専門科目に位置付き、社会教育主事任用資格取得(「社会教育士」付与)に関わる選択必修科目である。特に本学部のディプロマポリシーである、「地域社会とともに学び地域に貢献する意欲のもとに、多様な考え方や異なる立場を尊重し、他者と協働して課題解決に取り組むことができる」「地域課題に柔軟に対応し、他者と協働しながら課題解決に取り組むことができるコミュニケーション能力がある」「専門的に学んだ分野を基盤とし、さらに、幅広い分野の知識や技能を活用しながら地域の教育及び文化創生に関する課題の解決に取り組むことができる」の実効化に寄与する。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう 03.すべての人に健康と福祉を 04.質の高い教育をみんなに 05.ジェンダー平等を実現しよう 08.働きがいも経済成長も 10.人や国の不平等をなくそう 11.住み続けられるまちづくりを 17.パートナーシップで目標を達成しよう
【授業計画】
・授業の方法
配付するテキストおよび補足資料、パワーポイントによる提示資料、映像教材に基づき講義を行う。
・日程
1.講義の概要と進め方について 2.社会教育施設をめぐる法制度(1)社会教育法 3.社会教育施設をめぐる法制度(2)市町村における位置づけ 4.自治体における社会教育施設(1)公民館 5.自治体における社会教育施設(2)図書館 6.補論:NPOの組織特性について 7.規制緩和・地方分権と社会教育施設(1)法制度改正とその課題 8.規制緩和・地方分権と社会教育施設(2)指定管理者制度 9.規制緩和・地方分権と社会教育施設(3)自治体コミュニティ政策における社会教育施設 10.規制緩和・地方分権と社会教育施設(4)中間支援施設と社会教育施設 11.社会教育施設の民間運営の可能性と課題(1)NPO運営 12.社会教育施設の民間運営の可能性と課題(2)地縁型組織運営 13.社会教育施設の民間運営の可能性と課題(3)パートナーシップ型運営 14.これからの生涯学習社会と社会教育施設の展望 15.試験及び解説
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1)講義内容について、適宜配付資料へのメモおよびノートへの筆写等にて内容の理解を深める。 2)時間内に内容を理解できない場合は、適宜授業中および終了後に質問をしてもらいたい。次回の講義に反映させたい。 3)具体的事例の紹介をするため、自らのアプローチで情報収集するなど積極的な受講を求めたい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・限られた期間であるため、講義開始前から身のまわりにある公民館や図書館等の社会教育施設に関する情報収集、あるいは実際に訪問してみることなどを薦める。 ・講義内容への復習は必ず行うこと。
【成績の評価】
・基準
・講義した内容、重要な用語等について、適切に文章で説明できることを評価の基準とする。また、三分の二以上の出席がないと成績を評価しない。
・方法
講義内での発言・リアクションペーパー(30点)、最終テスト(70点)により総合的に判断する。
【テキスト・参考書】
テキストはなし。資料はプリントを配布する。参考図書は授業で紹介。
【その他】
・学生へのメッセージ
集中講義となりますので、講義の度に示された資料に基づき、復習と予習を心がけてください。
・オフィス・アワー
担当教員は非常勤講師で、通常は本務の大学に勤務しています。その代わり、世話人教員の安藤耕己が授業時間以外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を地域教育文化学部1号館5階517研究室において、原則、金曜日の昼休みに設けます。ただし、会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前に予約をお願いします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。
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