日本近代史特殊講義a
 Topics in Japanese Modern History(a)
 担当教員:小幡 圭祐(OBATA Keisuke)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分:教職科目 
【授業の目的】
日本近代史、とりわけ地域の歴史を研究するためには、国・都道府県・市町村で作成された公文書や、個人の家に伝えられた私文書、新聞・統計など、さまざまな史料を収集し、それらを総合的に分析する必要があります。本授業は、地域史に関する基礎的な知識を獲得するとともに、地域史研究法を習得することを目的とします。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、
1)近代日本の地域社会や地域に残るさまざまな史料に関する基本的な知識を説明することができる【知識・理解】
2)史料の性格を理解し、地域史を研究するために必要な先行研究・史料を収集するとともに、集めた史料を正確に読み解くことができる【技能】
3)地域の出来事・物事の実態を時代背景を踏まえたうえで考察することができる【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
日本近代史,地域史,山形県の出来事・物事,桜桃(さくらんぼ・サクランボ)

【科目の位置付け】
この授業は、日本近代史にまつわるさまざまな史料の収集・総合的分析を通じて、現代的な課題、特に地域の課題に関心を持つとともに、人文社会科学の専門領域(歴史学)の中核となる学術的成果を修得し、これに関して問題を発見し、論理的・批判的思考の結果を意見としてまとめることができる能力を培うことを目的とする専門展開科目です(人文社会科学部のディプロマ・ポリシー)。なお、本授業を受講する前に、人文社会科学部の専門基礎科目「歴史学基礎演習b」「日本近代史概論」を受講しておくことが望まれます。また、本授業は中学校教諭一種免許状(社会)および高等学校教諭一種免許状(地理歴史)の取得にかかる、教科及び教科の指導法に関する科目(教科に関する専門的事項)の選択科目に該当します。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
この授業は対面授業です。授業の前日までにWebClassでレジュメ(PDF)を配付します。授業にパソコン・タブレットなどの持ち込みを許可しますので、授業中にレジュメ(PDFあるいはそれを印刷したもの)を閲覧できるようにしておいてください。レジュメをもとに、スライドを使用しながら授業を進めます。授業終了後にWebClassを通じて授業のコメントを提出してもらいます。
第1回はガイダンス、第2回~第8回は地域史を研究するために必要な先行研究・史料の探し方やさまざまな史料の持つ特徴を解説します。
第9回以降は山形県に関係する具体的な地域の出来事・物事を素材に、第2回~第8回で解説した先行研究・史料の探し方の実例を示すとともに、史料を実際に読解することで、地域史の方法論を養います。具体例として、山形名産の桜桃(さくらんぼ・サクランボ)を取り上げる予定です。
・日程
第1回 ガイダンス 地域史のもつ意義 / 第2回 地域史の状況を知る 先行研究と史料 / 第3回 国の動きを知る 公文書1 / 第4回 都道府県の動きを知る 公文書2 / 第5回 市町村の動きを知る 私文書1 / 第6回 個人の動きを知る 私文書2 / 第7回 メディアの動きを知る 新聞 / 第8回 さまざまな動きを知る 統計・写真・地図 / 第9回 山形の桜桃に関する先行研究 / 第10回 国・ 個人から捉える / 第11回 個人から捉える番外編 / 第12回 統計から捉える / 第13回 新聞から捉える / 第14回 写真から捉える / 第15回 都道府県から捉える
※参加者の興味関心・理解度に応じて、内容を変更する可能性があります。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
各回の授業で取り上げる地域の史料に触れることを通じて、山形県の歴史への理解を深めましょう。また、史料の読みや意味について発言する機会を設けますので、積極的な構えで授業に臨みましょう。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
単位制度の実質化のため、以下の点に留意して授業外における予習・復習等の自主的な学修に取り組んでください。
1)準備学修に必要な学修時間の目安は 4.5時間/週 です。
※大学設置基準で、1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められています。
2)扱う史料は今から100年以上前に書かれたものですので、現代の日本語とは言葉遣いが異なります。わからない語句が出てきた場合は、国語辞典や漢和辞典などを用いて調べる習慣をつけましょう。
3)授業で紹介するツールを活用し、自分の関心のある山形県の出来事・物事について、どのような先行研究・史料があるのかを調べましょう。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した3つの目標に対応し、下記の3つの条件を満たすことを合格の基準とします。
1)地域史の意義や地域に存在するさまざまな史料の特性を説明できる。
2)自身が興味を持った地域の出来事に関する先行研究・史料を独力で収集することができる。
3)収集した先行研究・史料を読み、新たな発見に結び付けることができる。
・方法
期末レポート(70点):授業内容にもとづくレポートを課します。レポートの課題は初回の授業で示します。
コメント(30点):各回の授業の最後にコメントの提出を求め、その内容から授業への参加姿勢を評価します(1回の授業につき2点)。たとえ出席したとしても、コメントに何も記入しなかったり(「特になし」も含む)、内容が当日の授業を踏まえたものでなかった場合は点数を与えません。

【テキスト・参考書】
テキスト:各回の授業でレジュメを配布します。
参考書:黒田智・吉岡由哲『草の根歴史学の未来をどう作るか ―これからの地域史研究のために―』(文学通信、2020年)
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000102747?7
地方史研究協議会編『日本の歴史を解きほぐす ―地域資料からの探求―』(文学通信、2020年)
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000090432?12
地方史研究協議会編『日本の歴史を原点から探る ―地域資料との出会い―(シリーズ●地方史はおもしろい 02)』(文学通信、2020年)
https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000102759?13
→地域史について深く学ぶためにはこれらの参考書がおすすめです。URLからウェブ上で閲覧可能です(同時1アクセス)。学外からのアクセスにはID・パスワードが必要です(https://www.lib.yamagata-u.ac.jp/yttop/e-resource_guide/authentication/)。
※このほか、授業内で関連する文献を紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
日本近代史の基礎的な知識・時代背景を踏まえることが重要なので、人文社会科学部の専門教育科目「歴史学基礎演習b」「日本近代史概論」を履修したうえで受講することが望まれます。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を小幡研究室(人文社会科学部1号館4階)において、月曜日の12:00~14:00に設けます。
※上記時間外においても相談を受け付けますが、その場合は事前に連絡してください。連絡先は初回授業時にお知らせします。

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