文化人類学演習b
 Seminar on Cultural Anthropology b
 担当教員:松本 剛 (MATSUMOTO Go), 山本 睦 (YAMAMOTO Atsushi), 荘司 一歩 (SHOJI Kazuho)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年, 4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
今日の人類学は、これまでの「未開社会の研究」といった古典的なイメージからは相当にかけ離れたものになってきている。1990年代以降の世界で起こった様々な変化の中で、人類学も不可逆的な変化を遂げたためである。こうした状況をうけ、箭内匡は『イメージの人類学』のなかで、新たな理論的な枠組みのもとで、文化人類学という学問を根本から組み直そうと試みている。このなかで箭内は、1990年代までの古典的人類学において根本的で中心的な概念であった「社会」と「文 化」を捨て去り、「イメージ」と「社会身体」という概念を軸に今日的な人類学の全体像を描き出そうとしている。この授業では、こうした箭内の試みついて概観することで、新たなパラダイムのもと、「古典的人類学」から「今日的な人類学」への推移をひと連なりのプロセスとして理解することを目的とする。

【授業の到達目標】
この授業を履修した学生は:
① 「古典的人類学」から「今日的な人類学」への推移を、「イメージの人類学」という新たなパラダイムのもとでひと連なりのプロセスとして理解できる。【知識・理解】
② 授業をとおしてえられた知識をもとに、⾃分の考えを説明・論述できる。【技能】

【授業概要(キーワード)】
社会文化人類学、民族誌的フィールドワーク、イメージ、脱・イメージ化、再イメージ化、イメージ平面、社会身体、力、自然、枠

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:51~75%

【科目の位置付け】
人間と文化について地域や分野を横断する視点から幅広い教養を身に付け、人文学の専門知の体系的な修得に必要な基礎を獲得することを目的に編成された科目である(社会科学部人間文化コースのカリキュラム・ポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
・テキストを精読し、その内容をまとめて、レジュメやスライドを使って口頭発表を行ってもらう。発表者以外の聴講者には発表内容を要約・提出してもらう。
・一方通行の口頭発表ではなく、質疑応答によって進めていく。
・日程
箭内匡氏の『イメージの人類学』を取り上げ、章ごとに精読・議論していく:

 はじめに 人類学の変貌
 第1章 イメージの人類学に向かって
 第2章 民族誌的フィールドワーク―原点としてのマリノフスキ
 第3章 民族誌的フィールドワーク(続)―転換期の一事例
 第4章 イメージ経験の多層性
 第5章 社会身体を生きること
 第6章 自然のなかの人間
 第7章 アナロジーと自然の政治
 第8章 近代性をめぐる人類学
 第9章 自然と身体の現在へ
 おわりに
  「四つ」の自然観
  人類学的直観
  四つの時間生
  「一回的なもの」と「反復的なもの」の間で

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
・受講者は積極的に授業に参加する。
・発表者はテキストを精読し、その内容をまとめてレジュメやスライドを使って口頭発表を行う。
・聴講者は漠然と発表を聞くのではなく、質疑応答や議論に積極的に参加し、発表内容を要約・提出する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・口頭発表で扱う内容について、授業前にテキストを読み込んでおく。
・さらに理解を深めるために図書館やインターネットで調べてみる。

【成績の評価】
・基準
口頭発表や発表後の質疑応答・議論、発表内容の要約によって、①参加の度合い、②知識の修得・理解の度合い、③論理的思考力、文章表現力のそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。
・方法
口頭発表(50%)と発表内容の要約(50%)に対する評価点の合計をもって評点とする。

【テキスト・参考書】
テキスト:
・箭内匡著『イメージの人類学』せりか書房 2018年
参考書:
・ハンス ベルティンク著『イメージ人類学』平凡社 2014年
・坂本泰宏・田中純・竹峰義和編『イメージ学の現在:ヴァールブルクから神経系イメージ学へ』東京大学出版会 2019年

【その他】
・学生へのメッセージ
休講および補講を行う可能性がありますので、WebClassでのお知らせに注意してください。
・オフィス・アワー
・水曜日11:00~12:30(人文社会科学部3号館8階 松本剛研究室)
・連絡先:gocito@human.kj.yamagata-u.ac.jp
・事前に電子メールでアポイントメントをとること。

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