調査方法論
 Survey Methodology
 担当教員:鈴木 伸夫(SUZUKI Nobuo)
 担当教員の所属:人文社会科学部非常勤講師
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義(対面とオンラインの併用)
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
社会調査は,社会現象や社会問題の実態・メカニズム・解決策を知るための有力な方法の1つです.その中でも,本科目では,いわゆるアンケート(調査票調査)などの定量的な社会調査(量的調査)を中心に,その企画から調査報告書の作成に至る一連の過程を連続的に解説します.本科目の受講および課題を通じて,受講生が量的調査の全体像を体系的に理解して他者の遂行した調査の妥当性・信頼性を見極めるとともに,自ら適切な調査を実施するための知識・技術を獲得することを,目指します.

【授業の到達目標】
[1] 社会調査の目的(リサーチ・クエスチョンへの解答の追求)に適した対象者を選定できる.【知識・理解】
[2] 仮説に対応した調査票を適切に作成するための方法を説明できる.【知識・理解】
[3] 社会調査で得られたデータを分析するための基礎的な手法を説明できる.【知識・理解】
[4] 上記[1]~[3]の知識に基づき,基本的な社会調査を設計・実施できる.【技能】
[5] 他者の遂行した調査の妥当性・信頼性を日頃から批判的に検討することができる.【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
社会調査,量的調査,標本調査(サンプリング),調査票設計,統計分析

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
本授業は,ジェネリックスキル科目の1つとして,定量的な社会調査法に関する知識・技能を獲得するために編成される科目である(人文社会科学部人文社会学科のカリキュラム・ポリシー[4]).

【授業計画】
・授業の方法
授業の実施形態は,講義(対面とオンラインの併用)の予定である.Web Classを通じて事前に講義資料を配布して,その資料をプロジェクターで示しながら講義を行う.なお,実施形態を変更する場合には,Web Class上で連絡する.
・日程
第1回 社会調査とは何か?:社会調査の定義・目的・意義・種類・特徴
第2回 社会調査の企画(1):調査テーマの設定,リサーチ・クエスチョンの種類・作り方・実例
第3回 社会調査の企画(2):仮説の構成要素・種類・作り方・実例
第4回 標本調査の方法(1):全数調査と標本調査,無作為抽出法の意義・考え方
第5回 標本調査の方法(2):無作為抽出法の種類・特徴,標本抽出に関する具体的な手続き
第6回 標本調査の方法(3):標本誤差の考え方・推定方法・計算例,非標本誤差とその実例
第7回 調査票の作成(1):概念測定の難しさ,調査票作成の要点,質問文の作り方・実例
第8回 調査票の作成(2):回答形式の種類,回答選択肢の作り方・実例
第9回 調査票の作成(3):調査票の構成要素,質問項目の順番に関する注意点,調査票の実例
第10回 社会調査の実施とデータの作成:データの作成(エディティング,コーディング,データ入力,クリーニング)とその手順
第11回データの分析(1):変数の種類,質的変数の要約,量的変数の要約
第12回 データの分析(2):量的変数間の関係,質的変数と量的変数の関係,質的変数間の関係
第13回 データの分析(3):相関関係と因果関係の違い,統計的検定の定義・意義・考え方
第14回 調査報告書の作成:調査報告書の構成要素・書き方,データ分析の手順・実例
第15回 試験と解説

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
・予習【1時間/週】:事前に配布した講義資料に目を通したうえで,次回の授業に臨むこと.
・授業中:パワーポイントに基づく解説を聞きながら,自身の講義資料に対して,補足・不明点・疑問点を加筆しながら,積極的に受講すること.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・復習【1時間/週】:講義資料を見直して,用語や内容に関する理解を確認する(基準:他者に自分の言葉で明快に説明できる)こと.
・宿題:授業終了時に提示した宿題(小課題,冬休みレポート課題)に丁寧に取り組むこと.

【成績の評価】
・基準
小課題,冬休みレポート課題,試験を通じて,
[1] 社会調査の目的に適した対象者を選定できる.
[2] 仮説に対応した調査票を適切に作成するための方法を説明できる.
[3] 社会調査で得られたデータを分析するための基礎的な手法を説明できる.
[4] 上記[1]~[3]の知識に基づき,基本的な社会調査を実施できる.
[5] 他者の遂行した調査の妥当性・信頼性を日頃から批判的に検討することができる.
の各項目が達成できた程度を測り,総合的に評価する.
・方法
3分の2以上の出席を成績評価の前提とする.小課題20%,冬休みレポート課題30%,試験50%.

【テキスト・参考書】
講義資料を事前に配布するため,受講者が購入すべきテキストはない.ただし,以下の参考書欄で記すように,例えば,「社会調査法基礎」で用いる轟亮ら(2021)のテキストを本講義資料と併せて読むこと(知識の補完)が,推奨される.それ以外の参考書については,高価なものや難易度が高いものも含まれるため,図書館などで事前に眺めてから,必要に応じて,借りればよい.
【参考書】
1. ボースブーム, D.(仲嶺真監訳),2022,『心を測る:現代の心理測定における諸問題』金子書房.
2. グローブズ, R.M.ら(大隅昇監訳),2011,『調査法ハンドブック』朝倉書店.
3. 大谷信介ら(編著),2023,『最新・社会調査へのアプローチ:論理と方法』ミネルヴァ書房.
4. 佐藤郁哉,2015,『社会調査の考え方[上][下]』東京大学出版会.
5. 鈴木淳子,2016,『質問紙デザインの技法[第2版]』ナカニシヤ出版.
6. 轟亮ら(編著),2021,『入門・社会調査法 [第4版]:2ステップで基礎から学ぶ』法律文化社.

【その他】
・学生へのメッセージ
・本講義は,高校生にも容易に理解できるようなレベルで,明快かつ具体的に詳説します.
・量的調査法の完全習得は,ニュースをはじめ,研究報告書・学術論文や,データサイエンス(統計分析)・EBPM(エビデンスに基づく政策立案)などの方法論・分析結果の意味(解釈)に関する妥当性・信頼性・精度を見極めるうえで,非常に重要です.さらに,自らが「意味のある調査・データ分析」を行う際にも,必要な知識・技術です.それゆえ,本講義に関する積極的な受講を期待しています.
・本講義は,社会調査士資格のB科目(社会調査の基本的事項に関する科目)に対応予定です.
・オフィス・アワー
本講義の内容について疑問点・不明点が生じたら,遠慮なく尋ねること.発展的な学習に関する内容・手順・方法などの相談にも受け付ける.即座に回答可能な内容については,講義終了直後に直接回答する.それ以外の内容については,メール(アドレスは,初回講義時に明示)あるいは,オンライン会議(Zoomなど)を通じて,回答する.

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