世間の歩き方(山形から考える)
 Seken Travel Guide (Yamagata Studies)
 担当教員:小倉 泰憲(OGURA Yasunori)
 担当教員の所属:理学部
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):22年半の企業経験をもとに日本社会における世間を伝える。
 開講学年:1,2,3,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義・演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 本授業では日本社会に特有の側面である「世間」について理解していく。世間は日本中のいたるところ,大都市や地方に,広い範囲のものから,狭いものまで,様々な形で浸透している。世間においては,人々がお互いに助け合うという特長もある一方,生きづらさを感じさせる特徴も持っている。
 江戸時代の人びとは「世間」で暮らしてきたが,明治時代になり文化は大きく変化した。そのような中,奥地であれば江戸時代の暮らしが残っていると考えたイザベラ・バードは明治初期,東北や北海道を訪ねた。そして『山形』に来て『東洋のアルカディア』を見つけた。本授業では,バードの「日本奥地紀行」を一つのきっかけとし,「世間」に関する様々な考え方を整理していく。

【授業の到達目標】
1)世間に存在する「あたりまえ」や「常識」に対して,従来と異なる見解を述べることができる。【知識・理解】
2)個人的なエピソードを客観的な視点で分析できる。【技能】

【授業概要(キーワード)】
世間,空気,社会,上下関係,恩返し

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:26~50%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この授業は,基盤教育の基本理念のうち,山形という地域の具体的・実践的な視点から日本や世界を把握する力を育むための科目である。<基盤教育については,『基盤教育マニュアル』「山形大学基盤教育の基本方針」を参照のこと>

【SDGs(持続可能な開発目標)】
05.ジェンダー平等を実現しよう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
16.平和と公正をすべての人に

【授業計画】
・授業の方法
毎回の授業は,世間に関する諸知識や見解を提示し,それに関して4人程度の小グループでディスカッションする形式を基本とする。
・日程
1.オリエンテーション
2.世間とは
3.絆の集団
4~5.絆モデル
6.城壁モデル
7.「社会」と「世間」
8.日本の宗教
9.未分化
10.『山形と世間』
11.超個体・時間・ケガレ
12~13.「世間」の歩き方
14.「世間」とキャリア
15.全体の振り返り

注)履修者数や授業の進行状況に応じて順番や内容が変更されることがある。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
 本授業科目では,以下の課題等を課す。単位制度の実質化のため,授業外における以下の予習・復習等の自主的な学修に取組むこと。
1)準備学修に必要な学修時間の目安は以下のとおり。
3時間/週 (注)大学設置基準で,1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められている。
2)各回の授業において,リフレクションシートの提出を課す。課題は基本的に2種類とする。一つは当日に受講した内容についての印象や意見・考えを問うものである。もう一つは教科書を予習して回答するものである。
毎回の課題は授業の最後に提示する。課題の回答を翌日18時までにウェブクラスで提出できるよう,毎回,下書きをし,文章の推敲をした上で提出すること。
3)提出されたリフレクションシートの中から幾つかをピックアップし,次回の授業で内容を共有する時間を設ける。これにより,誤解や間違いを自ら正すとともに,自分自身のリフレクションを行い,学びを深めていく。
4)与えられた課題を理解できるよう,図書館やインターネットを活用し情報収集や配布資料の事前学習を行い,自分の考えをまとめることを推奨する。
5)回を重ねるごとに知識の連携が必要になるので,教科書の該当箇所を自分で探し関連づけることが重要となる。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
この授業では日々の生活の中で体験することを題材として扱うことになる。そのため,サークル・部活の活動やアルバイト経験など,様々な場面での体験が授業で学んだ事とどう結びつくのかを考えることが大切になる。

【成績の評価】
・基準
次の二つを合格基準とする。(1)世間に存在する「あたりまえ」や「常識」に関して,従来の見方とは異なる視点の見解を述べることができる。(2)個人的な体験・エピソードに関して授業で提示した知識・考え方を用いて客観的に分析できる。
・方法
 毎回授業後に提出する「リフレクションシート」で評価する。リフレクションシートは二つの課題から構成される。一つは授業当日に受けた印象や意見,自分の考えを問うものである。もう一つは次回以降に取り組む内容を,指定された教科書を読み,予習して回答するものである。それぞれ適切に解答された際の配点を3点とする。したがって毎回の標準得点は6点となる。ただし,「共有コメント」として選ばれた場合は特別点を4点加算して10点とする。共有コメントとは,深い考察や独創性のある話題などのことで,授業やウェブクラスで紹介し,全員で共有して学びを深めるものである。15回の得点の合計点で評価するが,100点を超えた場合は最終評価を100点とする。
 履修確定後,授業契約を設定し,これに同意した者のみ成績評価する。

【テキスト・参考書】
この授業ではテキストとして次を使用する。
・小倉泰憲『世間の教科書』大学生協電子書籍,2024年.
この授業の参考書には以下のものがある:
・イザベラ・バード著・高梨健吉訳『日本奥地紀行』,2016年
・阿部謹也『「世間」とは何か』,1995年
・鴻上尚史『「空気」と「世間」』,2009年
・佐藤直樹『目くじら社会の人間関係』,2017年

【その他】
・学生へのメッセージ
日本の中での「あたりまえ」や「常識」に違和感を持ったり,生きづらさを感じている人がいる。これは「世間」によるものかもしれない。自分なりの問題意識を持って授業に参加することをお勧めする。
・オフィス・アワー
1)授業時間外に学生の質問に答える「オフィスアワー」を小倉研究室(理学部3号館A402号室)において、火曜日~水曜日の 12:00~13:00 の間に設ける。
2)上記「オフィスアワー」で対応できない分についてはウェブクラスのメッセージ機能で対応する。

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