学校カウンセリングの実践と課題
 Practice and Tasks of School Counseling
 担当教員:吉田 祐子(YOSHIDA Yuko)
 担当教員の所属:大学院教育実践研究科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):教育現場における教員(小学校校長)経験がある教員が,その経験を活かして,今日的な課題への対応を実践的に指導する。
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
学校現場では、不登校やいじめ等への対応に追われ,未然防止や早期対応のためのスクールカウンセリング(予防開発的カウンセリング)が課題になっている。そこで,学校で行われている介入の悪循環の構造を理解し、効果的な教育的援助サービスについて整理し,一次的・二次的援助サービスを効果的に行うことができるようにする。また,解決志向アプローチの考え方とその具体的な方法を,演習を通して学習し,二・三次的援助サービスを実践できるようにする。

【授業の到達目標】
1 学校の課題を整理し,児童生徒の実態や特性に応じた心理教育的援助サービスについて説明することができる。
2 問題を創り出さない日常のかかわり方と具体的なコミュニケーション技法を身につけることができる。さらに,不登校などへの支援の実践的方法として,チーム援助とそれを機能させる解決志向アプローチの技法を身につけることができる。
3 学校における心理教育的援助サービスを包括的に機能させる方向性を検討し,議論することができる。

【授業概要(キーワード)】
一次的・二次的・三次的援助サービス,アドラー心理学,SFAの考え方と基本技法,“問題モード”から“解決モード”へ

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:26~50%
D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
教育実践研究科の共通科目群の「教育相談・生徒指導」に位置する必修科目である。本研究科の理念である「理論と実践の融合」およびすべてのDPに関連する科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
基本的には演習(グループ討議、具体的場面での支援に関する事例研究,ロールプレイ等を含む)を中心に進めます。
・日程
第1回:オリエンテーション 三段階の援助サービス
第2回:学校の抱える生徒指導・教育相談の諸問題とスクールカウンセリング
第3回:援助スキルを磨く1「反映的な聴き方・Iメッセージ」
第4回:援助スキルを磨く2「発達課題を抱える児童生徒への対応」
第5回:前半のまとめと後半に向けて SFAの考え方と授業の進め方
第6回:SFAの演習①「リソース探し」 1st Stage
第7回:SFAの演習②「例外探し」 2st Stage
第8回:SFAの演習③「未来志向アプローチ」3st Stage
第9回:SFAの演習④「外在化」4st Stage
第10回:解決に向けての演習 その1「ピアサポート」5st Stage
第11回:解決に向けての演習 その2「人間関係」6st Stage
第12回:解決に向けての演習 その3「保護者対応」7st Stage
第13回:チームで援助する その1「チーム会議」
第14回:チームで援助する その2「チーム会議演習」
第15回:全体的なまとめと学習の成果と課題について考察

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
新しい考え方と方法を学ぶとき,これまでの自分の中に根付いた考え方と方法がその学習に抵抗を示すときがあります。その中で,自分なりにどう整理していくかが重要です。リフレクションを通して、自己の変容や他者理解を図っていきます。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
予習としては、テキストの内容について,専門用語などある程度調べて要点をまとめて授業に臨むようにしてください。事前学習したことをもとに、グループ演習で討議をします。
また,自分で考えたことや感じたことを,付箋紙などのメモで残しておくと,自分の考えの変容などを,最終レポートで整理するのを助けてくれることになります。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準
学部卒院生:学校カウンセリングの課題を整理し,カウンセリングの意義とその方法を説明できる。また、カウンセリングの技法を生かした児童生徒支援を計画することができる。
現職院生:学校カウンセリングの課題を整理し,カウンセリングの意義とその方法を説明できる。さらに、学校や児童生徒の実態に応じて,カウンセリングの手法を活用した心理教育的援助サービスを計画することができる。
・方法
以下の評価の観点に則り,総合的に評価する。
①主体的に演習に参加するとともに議論の内容を整理し,自己の気づきや変容を振り返ることができたか(毎レポート,30%)
②演習における発表の内容等が,設定された目標に到達しているか(演習,20%)
③学校における援助サービスについて理解し,カウンセリングの手法を活用した心理教育的援助サービスを計画することができたか(50%)【レポート課題】

【テキスト・参考書】
[テキスト]
黒沢幸子(著)『スクールカウンセリング・ワークブック』金子書房2011
石隈利・家近早苗(著)『スクールカウンセリングのこれから』創元社2021
〔参考書]
佐藤節子(著)『ホワイトボードでできる解決志向のチーム会議』図書文化2021
赤坂真二(著)『アドラー心理学で変わる学級経営』明治図書2019
森俊夫・黒沢幸子(著)『解決志向ブリーフセラピー』ほんの森出版2006
阿部利彦・赤坂真二・川上康則・松下眞実(著)『人的環境のユニバーサルデザイン』東洋館出版社2019

【その他】
・学生へのメッセージ
自分の教育実践を束ねることのできる理論的枠組みをもてるようになることを願っています。
・オフィス・アワー
授業の進め方に関することや自己課題に関する相談は、担当教員まで問い合わせ下さい。
「オフィスアワー」は,授業の前後に設定します。面談の時間が必要な場合は,担当教員へ事前に連絡してください。研究室の場所や連絡先は、初回の授業でお知らせします。

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