【授業の目的】
無数に存在する無機化合物のうち、固体無機化合物は、組成や形態に応じて多様な機能を発揮することから、工業材料として重要な一群をなしている。固体無機化合物の性質を理解し、設計し、効率よく合成するためには、固体生成の理論、製造法各論、結晶構造とその決定方法、表面・界面、溶解・再析出、相転移、異種物質との相互作用など、多方面から理解する必要がある。本講義では上記項目に関して基本的項目の理解を深めることを目的とする。
【授業の到達目標】
(1) 固体の核形成・結晶成長の熱力学を説明できる。 (2) 酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩、硝酸塩等の性質の類型的特徴を述べることができる。 (3) 結晶構造に関する晶系、ブラベ格子、ミラー指数、ブラッグの式の相互関係を理解し、結晶構造の記述に用いることができる。 (4) 蛍光体などの光学材料中の電子遷移原理を説明することができる。 (5) 生体内における無機固体と各種細胞との相互作用の理解を通じて、生体材料に必要な条件を述べることができる。 (6) 生体に関連した無機元素の役割を理解し、固体との相互作用について説明することができる。
【授業概要(キーワード)】
核形成・結晶成長,固体合成,結晶構造,X線回折,蛍光体,生体材料
【科目の位置付け】
化学・バイオ工学専攻のディプロマ・ポリシーのうち、「深化した専門知識・技能と文理兼修による幅広い視野」の(1)、およびカリキュラムポリシーの「教育課程の編成・実施等」の(1)に位置付けられる。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を 04.質の高い教育をみんなに 07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう 12.つくる責任つかう責任
【授業計画】
・授業の方法
90分授業
・日程
第1回:固体の核形成理論(鵜沼) 第2回:相律と相平衡(鵜沼) 第3回:単結晶育成法各論(鵜沼) 第4回:固体の熱的性質(鵜沼) 第5回:セラミックプロセッシング(鵜沼) 第6回:X線回折の基礎(松嶋) 第7回:結晶と対称操作(松嶋) 第8回:X線の発生原理(松嶋) 第9回:X線回折法による構造解析(松嶋) 第10回:蛍光体における電子遷移(松嶋) 第11回:生体硬組織の構造と機能(川井) 第12回:硬組織代替材開発の歴史(川井) 第13回:セラミックバイオマテリアルの研究開発動向(川井) 第14回:金属バイオマテリアルおよび複合材料の研究開発動向(川井) 第15回:金属イオンと生体との関わり、定期試験(川井)
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1) 各回の授業において、確認レポート・小テストを課します。授業を聴いていてわからない事項については、ためらわずに質問するなど、積極的な姿勢で臨んで下さい。 2) 各人の研究テーマと関連の深い回があるので、関連性を見逃すことの無いよう、授業で得た知識を活かすべく試みてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
固体に関する基本的事項を講義するので、理解しにくい部分をやり過ごしてしまうことがないように、インターネットやオフィスアワーを活用して知識の定着を図ってください。 学修時間の目安:1時間/週
【成績の評価】
・基準
(1) 固体の核形成から結晶成長の理論を理解し、実際のプロセッシング技術と関連付けて適切に説明できる(40点)。 (2) 結晶面における電磁波の反射と干渉を理解し、結晶面のミラー指数を正しく表現できる(30点)。 (3) 固体の相転移、表面・界面での諸現象を理解し、生体組織との相互作用を正しく説明できる(30点)。
・方法
随時、理解を確認するための提出物と試験を課し、それらを100点満点で採点し、60点以上を合格とする。欠席は減点の対象とする。
【テキスト・参考書】
マテリアル化学で使用した教科書
【その他】
・学生へのメッセージ
学部で習得した無機化学の、重要な応用分野である「固体材料学」にできるだけ深くなじんでください。
・オフィス・アワー
鵜沼:月曜16-17時(3-3202室) 松嶋:水曜16-17時(3-1104室) 川井:火曜16-17時(3-3302室)
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