【授業の目的】
火山噴出物は,火山体直下のマグマや熱水流体によって形成した鉱物からなる。このため,火山噴出物を鉱物学的に分析・解析することで,噴火に本質的に関与したマグマおよび熱水系の物理・化学的状態を復元することができる。本講義では,火山で生成・放出される鉱物種の特徴を用いて,噴火に関与したマグマおよび熱水流体の物理・化学状態を解析・解釈できるようになることを目的とする。
【授業の到達目標】
本授業の到達目標は下記の通りである。 ・各種鉱物(マグマ性鉱物・熱水性鉱物)の 化学定量分析値,および火山噴出物の全岩化学組成の取得に関わる分析技能や知識を身につけ活用できる。 ・実際の分析値を用いた鉱物化学量論計算,ハーカー図作成,鉱物地質温度・圧力計の各種解析結果を読み取り,火山噴火による各種自然災害の発生機構やそれらの特徴を合理的に解釈し説明することができる。
【授業概要(キーワード)】
マグマ,熱水,鉱物
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:26~50% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:26~50% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:26~50% D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
本授業は、大学院理工学研究科理学系(後期課程)におけるカリキュラム・ポリシーおよびディプロマポリシーの方針に則り、地球科学に関係した先端的研究における高度な理論、実験法、技術等を修得し、かつ研究成果を得るために必要な手法を自ら組み立てながら研究を遂行していく能力を養成する科目に位置づけられる。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう 11.住み続けられるまちづくりを 15.陸の豊かさも守ろう
【授業計画】
・授業の方法
各種鉱物(マグマ性鉱物・熱水性鉱物)の 化学定量分析値および火山噴出物の全岩化学組成の取得に関わる論文・教科書を取り上げ、分析手法およびデータ解釈の観点からレビューし各自発表する(教科書輪読も含める)。また,論文中にて公表されている分析値について,エクセルおよび各種計算ソフトウェアを用いて鉱物化学量論計算、ハーカー図作成、鉱物地質温度・圧力計の各種解析を行い、鉱物学的・岩石学的データの定量的解析に慣れる。これらの解析結果を用いた議論も授業内で行う。
・日程
第1~7回:教科書輪読 第8~11回:論文レビュー発表 第12~15回:鉱物化学量論計算、ハーカー図作成、鉱物地質温度・圧力計を用いたデータ解析および議論
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
教科書輪読、論文レビューでは各人パワーポイントを用いて担当分の内容説明を行うこととします。担当分の単なる資料読解に留まらず、専門用語や分析・計算手法の意図、背景が聴講者にも伝わるような解説を心がけてください。聴講者は必ず発表者に対して質問するようにしてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
時間外学習の時間の目安は授業1回につき4時間です。本授業を進めるにあたりまずは文献を読みこなす必要があります。そのために必要な基礎知識、専門知識は、本授業で取り扱う文献資料以外にも図書館、学術論文検索サイト等を利用し多くの資料に触れることで身につけてください。
【成績の評価】
・基準
各種鉱物(マグマ性鉱物・熱水性鉱物)の 化学定量分析値および火山噴出物の全岩化学組成の取得に関わる各種分析手法について概説でき、かつ実際の分析値を用いた各種解析結果に基づき火山噴火による各種自然災害の発生機構やそれらの特徴を合理的に解釈できることを、合格の基準とする。
・方法
教科書輪読・論文レビューに伴う口頭発表と発表者への質問内容(50%)、およびレポート(50%)で評価し、それらの総合得点を最終評価とする。
【テキスト・参考書】
テキスト:随時、紙媒体で席上配布もしくはWeb Classにて配布する。 参考書:「Principles of Igneous and Metamorphic Petrology (Second Edition) 」Anthony R. Philipotts and Jay J. Ague;「USING GEOCHEMICAL DATA To Understand Geological Processes (Second Edition)」Hugh Rolllinson and Victoria Pease; 「GEOCHEMISTRY OF HYDROTHERMAL ORE DEPOSITS Third Edition」Hubert L. Barnes (eds.); 「VOLCANOLOGY AND GEOTHERMAL ENERGY」Kenneth Wohletz and Grant Heiken
【その他】
・学生へのメッセージ
機器分析の実施、データ取得、データの解釈、いずれも習熟には相当な時間を要します。しかしながら、なぜそうするのか?、このようなデータの扱いはなぜ妥当なのか?、どこまでが確定的に正しいのか?というような疑問を自分で持ち、試行錯誤することによって、その習熟スピードを早めることができます。手足、頭、五感を総動員してください。
・オフィス・アワー
授業の開催後、理学部4号館5階井村研究室で対応します。その他の時間でも可能な場合があるのでまずはご連絡ください。
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