【授業の目的】
この授業は「データサイエンス特論A」の受講を前提としています。 過去10数年間続いてきた第3次AIブームは、ChatGPTの登場により第4次AIブームとも言うべき新たなフェーズに入ったと考えられています。 生成AI技術は、文章や画像や音楽などを自在に生成・要約できるだけでなく、言葉(プロンプト)で制御することが可能であり、記号列として表現された遺伝子配列や生体分子構造などのデータ解析への応用も期待されています。 新たに出現したこの生成AIという新技術は、適用範囲が極めて広い点、ことばで制御できる点などから、社会の変革を急加速すると考えられ、この新技術を理解して、国や地域、企業等のあらゆるレベルの様々な課題解決のために社会実装していくことが求められています。 この授業では,データサイエンス特論Aで学んだディープラーニング(深層学習)技術の基礎の上に立ち、深層学習の発展形に関する話題とともに、生成AIの主要な仕組みについて解説し、現実の課題解決に適用できる実践力の養成を目的にします。
【授業の到達目標】
この分野は凄いスピードで発展を続けており、理論よりも実践応用が先行している分野です。最新の技術は次々にオープンソースソフトウェア(OSS)として公開されつづけており、OSSを理解し適切に使いこなすことが最新技術の理解に必要なだけでなく、社会課題の解決をとおした競争力のある産業育成と社会活性化等の観点からも非常に重要であると考えられています。 この授業では、 ディープラーニングの代表的なフレームワークであるPyTorchを活用して、Pythonで記述した実践的なプログラムを提示します。受講者はこれを動作させて結果を確認することで、ニューラルネットワークを用いた教師あり学習の仕組みと応用をプログラムレベルで理解し,現実の課題解決を自分の手で実施できる、以下の能力を身に着けることを目指します。 ○ 深層強化学習の仕組みが理解できる ○ AEの潜在変数の概念と潜在ベクトルについて理解できる ○ VAEとGANによる画像生成モデルについて理解できる ○ ディフュージョンモデルについて理解できる ○ 単語ベクトルについて理解できる ○ TransformerモデルとCLIPについて理解できる ○ ChatGPTについて理解できる ○ プロンプトエンジニアリングについて理解できる
【授業概要(キーワード)】
深層強化学習、AE、潜在変数、VAE、GAN、ディフュージョンモデル、単語ベクトル、Transformerモデル、BERT、CLIP、ChatGPT、プロンプトエンジニアリング、ディープフェイク
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:51~75% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は、理学部ディプロマ・ポリシー「専門的な素養を基盤に科学的思考方法に従って社会が要請する課題を解決する能力を身に付けている」に関連する理学専門科目(データサイエンスコース)となる。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう 02.飢餓をゼロに 03.すべての人に健康と福祉を 04.質の高い教育をみんなに 05.ジェンダー平等を実現しよう 06.安全な水とトイレを世界中に 07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに 08.働きがいも経済成長も 09.産業と技術革新の基盤をつくろう 10.人や国の不平等をなくそう 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任つかう責任 13.気候変動に具体的な対策を 14.海の豊かさを守ろう 15.陸の豊かさも守ろう 16.平和と公正をすべての人に 17.パートナーシップで目標を達成しよう
【授業計画】
・授業の方法
通常は前半に講義形式で説明をした後で、後半にパソコンを使ったプログラム実習を行います。実習プログラムの実行時間が長いことが予想される場合には、実習プログラムを実行しながら講義をすることもあります。
・日程
以下の内容を計画しています。 (1) 深層強化学習 (2) AEと潜在変数 (3) 画像生成モデル、VAEとGAN (4) ディフュージョンモデル (5) 単語のベクトル表現、Word2Vec、BERT (6) TransformerモデルとCLIP (7) ChatGPT、プロンプト(文章)による生成制御 (8) 生成AIによる課題解決と新たな課題
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
実習はGoogle Colaboratoryの環境で行います。受講者はGoogleアカウントを取得している必要があります。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
実習教材はPythonプログラムで作成しています。受講者はPythonの文法を理解し、簡単なプログラムが作成できる程度のスキルを取得していることを前提にしています。Pythonプログラムに自信のない人は、各自で事前に学習しておくことをお勧めします。
【成績の評価】
・基準
授業への出席点を50%、各回の授業後に実施する確認クイズ(小テスト)点を50%とします。
・方法
毎回の授業後にe-Learningシステム上に確認クイズ(小テスト)を掲載します。次回の授業までの間に確認クイズに回答してください。確認クイズの中には、実習教材の最後に提出課題として指示されるものもあります。全ての確認クイズで合格点(60%)を取ることが必要です。
【テキスト・参考書】
テキスト: 講義資料を各授業開始前までに共有します。 参考書: 特に設けません。
【その他】
・学生へのメッセージ
○ 情報を学んだ証しは、プログラムを道具として駆使できるようになること ○ プログラムを道具として駆使できる第一歩は、データをプログラムで自在に処理できること ○ 生成AIを相棒にしてプログラムは「習うより慣れろ」
・オフィス・アワー
e-Learningシステム上に「質問コーナー」を準備します。
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