物理学特講A
 Special Lecture of Physics A
 担当教員:松田 達郎(Matsuda Tatsuro)
 担当教員の所属:理学部非常勤講師
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:集中  単位数:1単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
物質は、原子やさらに下層の量子から構成されており、これらの量子の振る舞いは量子力学で理解することができる。しかし量子力学は古典力学と異なり、量子を波動(複素数の抽象的な波)ととらえ、粒子的な描像とも,また通常の物理的な波動とも見なさず,さらに観測によって状態が飛躍的に変化すると考える。そこで本講義では、量子である原子核や核子の電子などによる散乱について量子力学の基礎的考え方から出発し、原子核の形状や、核子の一つである陽子の“半径”、さらに核子内部の構造が量子力学的にどのように理解できるかを説明する。また、山形大学グループなどが参加して行われている核子のスピン構造の話についても触れる予定である。

【授業の到達目標】
1.量子力学に基づいて量子の散乱を理解し,説明できるようになる。【知識・理解】
2.原子核の形状とその量子力学的な意味を理解し,簡単に説明できる。【知識・理解】
3.陽子半径の量子力学的な意味を理解し,簡単に説明できる。【知識・理解】
4.核子の内部の構造について簡単に説明できる。【知識・理解】

【授業概要(キーワード)】
量子力学,原子核物理,高エネルギー物理学

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
選択したコースカリキュラムの専門的知識を身に付け、その分野の先端的な研究内容を理解し、説明できる能力を身に付ける。(理学部理学科ディプロマ・ポリシー参照)

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
09.産業と技術革新の基盤をつくろう

【授業計画】
・授業の方法
基本的にスライドを用いた講義形式で授業を進めます。また一部板書もあります。スライド資料をWebclassなどにアップロードしますので,ノートパソコン等を持参して下さい。
・日程
前半は,原子核や核子の散乱問題が量子力学によって理解できることを,例題を解きながら説明する。後半は,原子核や核子の構造が電子やレプトン散乱によって理解できることを説明する。各回の講義内容は以下の通り。
第1回 量子力学による散乱理論
第2回 波束による散乱と断面積
第3回 電子散乱による原子核の幾何学的な形
第4回 電子散乱と核子半径の測定
第5回 核子の励起状態と深非弾性散乱
第6回 核子のクォーク構造と強い相互作用
第7回 核子スピン構造と核子スピンの起源
なお,授業の進行状況で内容が前後する場合もあり。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義中に示されるスライドの単なる理解に留まらず,自分で説明や計算できるよう試みて下さい。講義中に浮かんだ疑問,分からない事などをその都度質問して理解を深めて下さい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
スライド資料,参考書を学習の教材として下さい。また,授業最後にレポート課題を出しますので,課題に取り組んで下さい。

【成績の評価】
・基準
量子力学に基づいた散乱理論や,それに基づいた原子核や核子の散乱の用語や考え方を適切に説明できることを合格の基準とする。
・方法
講義に参加しての積極的な質疑応答(20%),授業中の課題の達成状況(40%),授業後に課すレポート課題(40%)で評価する。

【テキスト・参考書】
・テキスト:講義では特定のテキストは使用しません。講義資料を提供します。
・参考書:笹川辰弥「散乱理論」裳華房,B.ポップ/K.リーツ/℃.ショルツ/F.サッチャ著,柴田利明訳「素粒子・原子核物理入門」丸善出版

【その他】
・学生へのメッセージ
物理の授業で量子力学を学ぶと思いますが,量子力学的な考え方は古典力学が支配する日常現象とは異なりますので,この授業を通じてあらためて量子力学的ものの見方に親しんで下さい。
・オフィス・アワー
集中講義期間に直接教員に質問して下さい。集中講義期間前後では対応教員(宮地義之教授)に質問して下さい。

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