生命科学演習
 Seminar of Life Science, Basic Human Genetics
 担当教員:水野 大(MIZUNO Dai), 小河原 輝正 (OGAWARA Terumasa)
 担当教員の所属:医学部医学科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):遺伝子多型の鑑定による個人識別の実務経験がある教員が、その経験を活かして、遺伝子多型の鑑定等についての講義・実習を行う。
 開講学年:1年  開講学期:後期  単位数:1単位  開講形態:演習
 開講対象:医学科  科目区分:専門教育・必修 
【授業の目的】
遺伝子からタンパク質への流れを理解すると同時に、遺伝学的な見地から生物の進化について知る。また、遺伝子および遺伝形質は生物の構造機能や疾病の仕組みに関わる他に、個人識別や種属の識別についても有用であることを理解する。

【授業の到達目標】
1.メンデルの法則などの遺伝様式について説明できる。
2.遺伝子型と表現型の関係を説明できる。
3.生物種とその系統関係を概説できる。
4.DNAの抽出や分析方法について理解し、分析することができる。
5.エタノールの薬理作用と代謝酵素の表現型・遺伝子型との関係を述べることができる。
6.血液型、アルコール代謝系酵素の多型等に関する遺伝子のメカニズムと解析の手法の基本的な内容を理解し述べることができる。
7.抽出した医学情報から新たな仮説を設定し、解決に向けて科学的研究を実践する方法を説明できる。

【授業概要(キーワード)】
ABO式血液型、Rh式血液型、Aldehyde dehydrogenase (ALDH)、Short tandem repeat(STR)、ミトコンドリアDNA

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:51~75%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
<山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)>
1.プロフェッショナリズム 医療人・研究者としての倫理観
2.医学知識と問題対応能力 基礎医学
8.科学的探究 リサーチマインド、課題発見と問題解決、研究成果の発表能力
9.生涯にわたって共に学ぶ姿勢 生涯学習、自己研鑚、共同学習

<医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)の該当項目>
LL: 生涯にわたって共に学ぶ姿勢、RE: 科学的探究、PS-01-01-06: 遺伝についての理解、PS-01-01-07 遺伝型と表現型の関係、PS-01-01-10 染色体分析・DNA 配列決定を含むゲノム解析技術、PS-01-01-13 生物種とその系統関係

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
血液型 (ABO式、Rh式) およびアルコール代謝系酵素の多型解析の実習および講義。関連分野について論述実習を行う。実習は2組に分かれて進める。
・日程
11月27日 (木) から12月18日 (木) 3・4校時に講義(4回)、同日5~8校時に実習(5回)
実習内容:口腔細胞からのDNA抽出、PCR法によるアルコール代謝関連酵素およびABO式血液型遺伝子の判定、血球凝集反応法によるABO式血液型とRh式血液型の判定。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1.体系的な教科書は無いので、配付資料の内容を基に講義を進める。画像や重要事項はパワーポイントのスライドを使用する。
2.実習に関しては実習書を熟読し手順等を理解する。
3.時間厳守、積極的参加(メモをとりながらの発言)が望ましい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1.参考書・実習書に掲載した論文等を参考にし、遺伝に関する問題点について自分なりの疑問点を整理しておく。
2.実習書を熟読し、各自手順や必要な知識をノートなどにまとめておくと、実習を円滑に行うことができる。

【成績の評価】
・基準
出席状況と、質疑応答に対して適切な応答ができていること(正答である必要はない)、授業を妨害するなど不適切な授業態度がないことを要する。実習、演習が主となるため、原則全ての講義、実習に出席することを要す。やむを得ない理由により欠席する場合は、事前にその旨申し出ること。病欠など事前の申し出が困難であった場合には、欠席後できるだけ速やかにその旨申し出ること。
実習報告書および課題レポートを課す。出席状況等に問題がなくかつ、実習報告書および課題レポート内容が適切であれば合格とする。
・方法
出席状況、受講態度、実習報告書、ならびに課題レポートの提出状況により評価を行う。
レポートは、原則として自筆による作成を要するなど、実習書にて指定した様式により作成すること。様式の不備等によりレポートの再提出を求めることがある。その際はその旨moodle等で告知するので注意すること。

【テキスト・参考書】
Molecular Biology of the Gene (Fifth edition), Watson et al., CSHL Press
新人類遺伝学入門 梶井英治著 南山堂
DNAから見た日本人 斎藤成也著 ちくま新書
高校生のための論理思考トレーニング 横山雅彦著 ちくま新書
理系のパラグラフライティング 高橋良子ら 羊土社
理科系の作文技術 木下是雄 中公新書
日本語作文術 伝わる文章を書くために 野内良三 中公新書
知的文章とプレゼンテーション 黒木登志夫 中公新書

【その他】
・学生へのメッセージ
遺伝子の構造と機能を学び、遺伝形質を用いた個人識別・DNA鑑定・遺伝性疾患について分子レベルで理解できるようにする。これらを通じて、遺伝性疾患の成因や予防についての理解を深め、将来各種の遺伝性疾患などを学ぶための基礎とする。他の授業に比較するとアドバンスコースの部分がある。
・オフィス・アワー
月~金曜日(除く祝日)9:00~17:00 法医学講座で受ける。事前に連絡をとることが望ましい。

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