多変数の微積分
  Differential and Integral Calculus for Functions of Several Valuables
 担当教員:秋山 孝夫(AKIYAMA Takao)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)システム創成工学分野
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:システム創成工学科  科目区分:専門基礎科目・選択 
【授業の目的】
複数個の実数の組を変数とする多変数関数の微積分を講義する.まず,多変数関数の微分として偏微分を定義した後,合成関数の偏微分公式を導入する.さらに,偏微分の概念の応用例として,多変数関数に関するTaylorの定理,極値問題を論じる.次に,多変数関数の積分である重積分を定義し,空間図形の体積・曲面積の具体的な計算法を論じる.

【授業の到達目標】
(a)多変数関数の合成関数に対して,偏微係数を計算できる.【技能】
(b)2変数関数の極値を求めることができる.【技能】【知識・理解】
(c)2重積分の計算ができる.【技能】
(d)変数変換を用いて,重積分の計算ができる.【技能】
(e)重積分を用いて,立体の体積や曲面積を計算できる.【技能】【知識・理解】

【授業概要(キーワード)】
多変数関数,偏微分,全微分,関数の極値,重積分,累次積分,座標変換,体積,曲面積

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この授業は,工学の基礎としての数学を習得するための基礎的科目として配置されている(工学部のカリキュラム・ポリシー).なお,本授業を受講する前に,「微積分基礎(数理科学)」を受講しておくことが望ましい.

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
09.産業と技術革新の基盤をつくろう

【授業計画】
・授業の方法
講義は諸概念・定理の持つ意味やその例題の解説に力点を置く.その都度演習問題を課題として出す.
・日程
第1週 「1変数関数の微積分」:初等関数,種々の導関数,種々の不定積分
第2週 「2変数関数の連続性」:2変数関数とそのグラフ,2変数関数の極限,2変数関数の連続性
第3・4週 「偏微分」:偏微分係数,偏導関数,方向微分,高次偏導関数,偏微分の順序変更,全微分と接平面
第5週 「合成関数の偏微分」:合成関数の微分公式,陰関数定理
第6週 「2変数関数のテイラー展開」:2変数関数のテイラーの定理,2変数関数のマクローリンの定理
第7週 「2変数関数の極値」2変数関数の極大・極小,2変数関数の最大・最小,陰関数の極値,ラグランジュ未定乗数法
第8週 中間試験とその解説
第9週 「2重積分」:長方形領域上の2重積分,非長方形領域上の2重積分,2重積分の公式
第10・11週 「2重積分の計算」:累次積分,積分順序の変更
第12週 「変数変換」:変数変換,極座標変換,3重積分,球座標変換
第13週 「広義積分」:第1種広義積分,第2種広義積分
第14週 「重積分の応用」:立体の体積,曲面積,重心と慣性モーメント
第15週 期末試験とその解説

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
問題を自分の手で丁寧に一問一問解きノートに記すという作業が大切である.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
課された演習問題を必ず解き,丁寧に書き記して提出すること.教科書に載っている例,解く!,練習問題を自分で解いてみること.講義で述べられた定理等をそれらの演習のよって理解を深めることができる.
次回の定理・例題をよくみておくこと.

【成績の評価】
・基準
到達目標(a),(b),(c),(d),(e)の達成度を評価する.具体的には,以下の2点を十分満たしていることにより,基礎的な演習問題を解くことができれば,合格とする.
(1)多変数関数の微積分(偏微分と重積分)の概念を理解していること.
(2)多変数関数の微分積分を道具として自由に使うための計算力が身に付いていること.
・方法
中間試験の点数を42点満点,期末試験の点数を42点満点,演習レポートの点数を16点満点とし,
それらの合計(100点満点)が60点以上を合格とする.

【テキスト・参考書】
テキスト:神谷淳・生野壮一郎・仲田晋・宮崎佳典,「理工系のための微分積分学」,近代科学社,2,530円
参考書:矢野健太郎・石原繁,「微分積分 改定版」,裳華房
参考書:日本数学教育学会高専・大学部会教材研究グループTAMS編,「微分積分」,電気書院
参考書:阿部剛久・井戸川知之・古城知己・本澤直房,「例題で学ぶ微分積分学」,森北出版
参考書:高橋泰嗣・加藤幹雄,「微分積分概論[新訂版]」,サイエンス社
参考書:川野日郎・薩摩順吉・四ツ谷晶二,「微分積分+微分方程式」,裳華房

【その他】
・学生へのメッセージ
本講義の内容は高校程度の数学力があれば十分理解できるが,論理展開を十分に把握するため,毎回必ず予習をした後に講義に出席すること.
・オフィス・アワー
秋山:毎週水曜日16:20〜18:00,6号館6階603号室

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