【授業の目的】
工学の基礎である物理学としての熱学・熱力学を学習します。最初に、熱力学の第0法則で熱の概念を説明します。次に、第1法則で理想気体の状態方程式を導入し、色々な熱機関の熱効率を求めます。さらに第2法則ならびに第3法則では,エントロピーや熱力学関数の関係について説明します。最後に、演習を通して実力を付けていきます。 熱学・熱力学を学ぶことによって,物理学的な考え方や熱やエネルギーに対する感覚を身に付けましょう。
【授業の到達目標】
熱力学第0法則を理解し、その意味を説明できるようになる。理想気体の状態方程式を理解し、圧力、体積、温度を計算できるようになる。熱力学第1法則を理解し、その意味を説明できるようになる。理想気体の等温過程と断熱過程を理解し、圧力、体積、温度を計算できるようになる。カルノーサイクルの意味を理解し、その熱効率や仕事、熱量を計算できるようになる。熱力学第2法則を理解し、その意味を説明できるようになる。エントロピーの意味を理解し、その変化量を計算できるようになる。熱力学第3法則を理解し、その意味を説明できるようになる。
【授業概要(キーワード)】
温度,熱,比熱,対流,伝導,放射,内部エネルギー,仕事,エネルギー保存則,カルノーサイクル,熱力学第0,1,2,3法則,エントロピー,エンタルピー,自由エネルギー
【科目の位置付け】
この科目は、情報・エレクトロニクス学科のカリキュラム・ポリシー 1.(1)に対応しています。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう 13.気候変動に具体的な対策を
【授業計画】
・授業の方法
この授業は基礎(52066),発展(52065)の習熟度別2クラス開講とします.両クラスともに原則として対面授業とし,状況に応じてZOOMによるオンライン形式でのハイブリッド形式での講義を実施します. 最初のクラス分けは、原則として物理学Iの成績を元にして決めますが、履修届期限までは、希望によるクラスの変更が可能です。両クラスとも授業の流れは同じであり、工学部の学生に合った熱学・熱力学の学習を行います。基礎クラスは主に高等学校で物理を学ばなかった学生や、物理が苦手な学生へ対応し、出来るだけ丁寧に説明します。発展クラスでは実力を高めるために,多彩な例題・練習問題を扱いながら説明します。なお,両クラスの中間・期末試験内容および成績評価基準は同一です。
・日程
毎回の講義の到達目標と順序は下記の通りです. 第1回目 環境と熱力学(含:講義のすすめ方とガイダンス) 第2回目 熱平衡と温度,熱力学の第0法則,理想気体の状態変化 第3回目 熱と仕事とエネルギー(1) 熱と比熱,熱容量 第4回目 熱力学の第1法則,熱と仕事とエネルギー(2),定圧変化,定積変化 第5回目 等温変化,断熱変化 ,カルノーサイクル(1) 第6回目 第0法則からカルノーサイクルまでの演習および解説 第7回目 試験およびまとめ 第8回目 カルノーサイクル(2) 第9回目 カルノーサイクル(3),熱力学の第2法則(1) 第10回目 カルノーサイクル(4), 熱力学の第2法則(2), エントロピーと熱力学関数(1) 第11回目 エントロピーと熱力学関数(2) 第12回目 エントロピーと熱力学関数(3) 第13回目 熱力学的諸量と熱力学関数(4),熱力学の第3法則 第14回目 第2法則から第3法則までの演習および解説 第15回目 試験およびまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
教科書に連動した解説教材をパワーポイント/黒板への板書等によって示します。この講義内容をノートを筆記しながら内容を理解していきます。さらに例題,演習問題を解きながら熱力学の基礎知識を学んでいきます。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
基本的には教科書に沿って授業が進みます。さらにWebClassに提示した解説教材等を用いて予習・復習を行っておくと良いでしょう。 講義進度に従って提出課題である基礎力チェックレポートを課します。必ず自分で行って基礎力を身につけてください。
【成績の評価】
・基準
以下の項目について理解し,必要に応じて計算して求められることを合格の基準とします。 ①熱力学第0法則と理想気体の状態方程式の理解に基づいて圧力、体積、温度を計算ができる。 ②熱力学第1法則と理想気体の等温過程と断熱過程を理解し、圧力、体積、温度を計算できる。 ③カルノーサイクルの意味を理解し、その熱効率や仕事、熱量を計算できる。 ④熱力学第2法則を理解し、その意味を説明できる。 ⑤エントロピーの意味を理解し、その変化量を計算できる。 ⑥熱力学第3法則を理解し、その意味を説明できる。
・方法
科目の達成目標に記載の項目について試験等を行ない、以下の基準を満足したものを合格とする。中間試験と期末試験およびレポート等の合計100点満点で,60点以上を単位認定します。
【テキスト・参考書】
テキスト:伊東敏雄「なーるほどの熱学」学術図書出版社
参考書:JSMEテキストシリーズ出版分科会「熱力学」丸善株式会社、 原 康夫「物理学通論I」学術図書出版社、大槻 義彦「物理学II」学術図書出版社、松平升他「教養理工 物理学II」培風館、小出昭一郎「物理学(改訂版)」裳華房、阿部龍蔵・川村清「物理学」サイエンス社
【その他】
・学生へのメッセージ
高校時代,物理学が未履修であっても理解できるように基礎から学びます。 諸現象の物理的な意味を理解しよう。自分で考えながら実際に計算することで、熱学・熱力学を身につけられるように心がけましょう。
・オフィス・アワー
非常勤講師です。質問は対面授業のときは,講義終了後30分以内なら可能です。教室に残ってください。 Webclassのメッセージを利用するなら,いつでもOKです。復習予習で分からないときにも対応可です。
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