【授業の目的】
構造解析・分析法のうち、主に分子構造に関する情報が得られる分析方法である、赤外吸収スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルについて学びます。それぞれの分析法について、原理、スペクトルの読み方、実際の構造へのあてはめ方を説明し、さらに演習を通じて理解を深めることを目的とします。
【授業の到達目標】
最終的に以下の事柄を習得することを目標とします。 ◯各構造解析法の原理を理解し、それによって得られる情報を把握できる。【知識・理解】 ◯各構造解析法を用いて、単純な化合物の構造決定ができる。【技能】 ◯各構造解析法を組み合わせて、複雑な化合物の構造決定ができる。【技能】
【授業概要(キーワード)】
機器分析、核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル、質量分析
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
有機化学、物理化学の知識に基づいて、有機化合物の構造を決定するための分光学的知識を扱います。また、構造解析のスキルは、高分子合成化学実験や、合成系の研究室における研究開発プロポーザル及び卒業研究で必須のスキルです。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
各分析法について、概要、原理、解析法の順に解説します。各セクションの終わりに演習問題を出題し、次回の講義でその解説をします。 授業はテキストに沿ったプリントを配布して講義形式で行います。
・日程
第1回:講義の概要と基礎的事項 第2回:核磁気共鳴法(測定法の概要と原理) 第3回:1H NMR(化学シフト、積分) 第4回:1H NMR(スピンースピンカップリング) 第5回:13C NMR(概要とスペクトルの解釈) 第6回:二次元NMR (概要とスペクトルの解釈) 第7回:核磁気共鳴法に関する問題演習 第8回:まとめと試験 第9回:赤外分光法(測定法の概要と原理) 第10回:赤外分光法(スペクトルの解釈) 第11回:赤外分光法に関する問題演習 第12回:質量分析法(測定法の概要と原理) 第13回:質量分析法(スペクトルの解釈) 第14回:質量分析法に関する問題演習 第15回:全体のまとめと試験
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
WebClassを通してプリントを配布するので、講義までに印刷して持ってきてください。講義中は、プリントに書き込みながら聞いてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
講義前は、プリントに目を通し、教科書などを参考にして空欄の内容を予測してみてください。講義後は、適宜課題を課しますので自力で取り組んでみてください。その他、マクマリー有機化学の章末問題のうち、本講義に関連する問題などにも取り組んでみてください。
【成績の評価】
・基準
◯各構造解析法の原理を理解し、それによって得られる情報を把握できる(30点)。 ◯各構造解析法を用いて、単純な化合物の構造決定ができる(30点)。 ◯各構造解析法を組み合わせて、複雑な化合物の構造決定ができる(40点)。
・方法
講義時間中に課す課題と、試験の成績を総合して評価します。
【テキスト・参考書】
教科書: ・基礎からわかる機器分析 加藤正直ら著 森北出版 2010
参考書: ・アトキンス物理化学要論 第6版 ・マクマリー有機化学 第9版 他に、構造解析に関する書籍はたくさんあるので、図書館などで自分に合った本を探してみてください。例をあげると、 ・ビギナーズ有機構造解析 川端潤著 化学同人 2005 ・ベーシック有機構造解析 森田博史・石橋正己著 化学同人 2011 ・有機化学のためのスペクトル解析法 第2版 M.Hesseら著 野村ら訳 化学同人 2010 などがあります。
【その他】
・学生へのメッセージ
人間には分子が見えません。分光法は化学を研究する上で「目」となるものです。講義の内容を理解してぜひ「視力」を養ってください。 講義では有機化学に関する用語を多用しますので、有機化学に関する基本的な事項(官能基の構造と名称、簡単な化合物の命名法、異性体を区別する用語、結合の極性、共鳴の概念など)を復習しておいてください。 また、分光法は量子化学を基礎としますので、物理化学IIの内容と非常に関連があります。両方の講義とも同じ学期に開講されますので、それぞれの講義を履修しながらどのように関連するのか考えてみてください。
・オフィス・アワー
居室(2号館2階2-203号室)に在室しているときはいつでも対応します。メール(haba@yz.yamagata-u.ac.jp)でも結構です。
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