【授業の目的】
この科目は,学習・教育到達目標(B)機械工学の基礎力,および(G)問題解決能力と国際コミュニケーション能力〔CP2〕〔CP4〕に対応しています. スケッチ作業は,機械や装置の磨耗・破損した部品を作り換える時や,ある機械や装置と同等なものを作る時などに,それらの構成部品の役割と機能を理解し,図面化するための作業である.機械の設計は,与えられた仕様を満足する機械の各構成部品の基本形状,寸法,公差,強度,材質等をJIS規則に準拠して適切に決定することである. 「歯車ポンプ」を題材に取り上げ,グループ単位でスケッチ作業と設計書の作成を行い,機械のスケッチと設計の一連の手法を修得することを目的とする. 製図の規則および簡単な計測器具の使用方法を習得し,機械部品のスケッチができるようにすることを目的とする.仕様を満足する「歯車ポンプ」の設計ができるようにすることを目的とする.
【授業の到達目標】
この科目は,学習・教育到達目標(B)機械工学の基礎力,および(G)問題解決能力と国際コミュニケーション能力 〔DP5〕〔DP7〕に対応しています. (1)学習・教育到達目標(B)「機械工学の基礎」: (ア)機械工学の基礎知識を応用して,歯車ポンプの設計書を作成することができる. (イ)JIS規格に則した投影法や図法,材質や熱処理などの意味を理解し,説明できる. (ウ) スケッチを通して,歯車ポンプの機械的仕組みを理解し,説明することができる. (エ) はめあい,寸法公差,加工法および工程を理解し,図面に適切に反映できる. (2)学習・教育到達目標(G)「問題解決能力と国際コミュニケーション能力」: (ア)自分が作成した設計書の内容を要領よく説明できる. (イ)質問に対して適切に応答できる. (ウ)作業グループの人と協力しながら課題を仕上げることができる.
【授業概要(キーワード)】
製図法と規則,機械部品のスケッチ,機械設計法の基礎,実験の計画・遂行能力と結果の考察能力の養成
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:26~50% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:26~50%
【科目の位置付け】
本科目は機械システム設計及び製図IIにつながり,また,卒業研究において機械や装置の設計・製図の実践力を養成する科目である.機械システム工学科の学習・教育到達目標 (B)「機械工学の基礎力」, (G)問題解決能力と国際コミュニケーション能力 〔CP2,CP4〕〔DP5,DP7〕を養成するための必修科目である.
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
1回90分の講義および演習を15週にわたり行う.各回授業の前に,30分程度の予習が必要である.授業の前半では,機械製図の規則,スケッチ作業の進め方の講義を受けた後,グループに分かれて「歯車ポンプ」の分解・計測を行い,データを共有しながら各自スケッチ図を作成する.後半では,「歯車ポンプの設計」の講義を受けた後,各自パソコンを使用して設計書を作成する.歯車ポンプのスケッチ図,設計書が所定のレベルに達するまで,不備な点の訂正を繰り返し行う.
・日程
第1-2週 受講上の注意,シラバスと授業計画,歯車ポンプを構成する機械要素,スケッチの進め方(スケッチ用具,機械の分解・組立て),機械製図の規則,歯車の諸元と略画法,各部品間のデータの整合,公差やはめあいについて 第3-7週 スケッチ作業:歯車ポンプの分解,部品のスケッチ,スケッチ図の作成 第8-9週 スケッチ図の提出と検定,不備な箇所の訂正と再提出 第10-13週 機械設計の流れ,歯車ポンプの設計:設計仕様,所要動力の計算と電動機の選定,流れの損失とキャビテーションについて,吐出量と吸入管・吐出管径との関係,ポンプ効率,軸の設計,ボルト・ナットの選定,歯車の設計,ケーシングの設計,軸受け部の設計と軸受の選定,パッキングの設計,構成部品の材料の選定,形状と寸法の決定,部品間の公差およびはめあいの決定,加工法,面の肌について,設計書の作成 第14-15週 設計書の提出と検定,不備な箇所の訂正と再提出
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
テキスト,WebClass掲載の講義資料PDF、プリント等を活用しながら授業内容をノートにまとめること.理解が進まない点をチェックしておき質問すること.課題の提出期限を守ること.製図室において,課題以外の作業はしないこと.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
前回の講義に関する質問事項をまとめておくこと.テキスト,プリント等を丹念に通読して機械製図に関する基礎的事項を体得しておくこと.講義ノートを点検,整理して不備な箇所をテキスト,参考書等で補充しておくこと.
【成績の評価】
・基準
「授業概要(到達目標)」に挙げた項目に対する評価の比率は,(1) 40%, (2) 40%, (3) 20%です.
・方法
既存の「歯車ポンプ」に対するスケッチ図,要求仕様に対する「歯車ポンプ」の設計書で評価します.設計書はパソコンを使用して作成することを必須とし,手書きのものは受理しません. スケッチ図の点数は50点,設計書の点数は50点,それらの合計(100点)が60点以上を合格とします.
【テキスト・参考書】
林 洋次 監修,機械製図,実教出版,1,745円(2000) JIS B 8352 「油圧用歯車ポンプ」,日本規格協会
【その他】
・学生へのメッセージ
既存の製品をコピーするのではなく,新しい機能をもつ製品を作り出すことは非常に難しい作業です.特に社会から安全性,耐久性,経済性などに関して厳しい要求がある製品の開発・設計には幅広い知識と技術,さらに地道な努力が必要です.機械システム設計及び製図Ⅰは開発・設計技術者としての能力向上のための科目です. JIS規格に基づいて機械製作図を作成する基本的な能力を必要とするため,「基礎製図」を履修していることが望ましいです.また,機械の製図という性格からして,機械を構成する個々の部品の機械設計学はもちろんのこと,機械工作,工業材料,生産管理等に関する知識も必要とされます. 機械部品のスケッチ,電卓を使用した数値計算を行うので,電卓,方眼紙,定規,コンパス等を常時携帯すること.
・オフィス・アワー
中西教員:6-405教員室にて,毎週木曜日 16:00-18:00. これ以外の時間でも学生からの質問を優先的に受ける.
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