【授業の目的】
固体(金属・半導体)中の電子のふるまいを理解することに重点に置く.まず,微視的な電子状態を考える上で基本となるシュレーディンガー方程式など量子力学の基礎を学ぶ.量子力学に基づき,1次元ポテンシャル中の電子のエネルギーと波動関数について説明し,量子力学特有の効果について紹介する.次に,固体の電気的特性を決める重要な要素である電子状態のバンド構造が原子の周期的な配列からどのように発生するかを学ぶ.半導体の電気伝導特性と発光機構についても学ぶ.
【授業の到達目標】
1.古典力学と量子力学の違いを理解する. 2.シュレーディンガー方程式を解いて,電子のエネルギーと波動関数を計算できる. 3.フェルミ・ディラック分布関数や状態密度関数の求め方を説明できる.またそれらの関数のグラフ化や数値が計算できる. 4.フェルミ準位と電子密度が計算できる. 5.半導体のバンド構造を理解する. 6.金属,絶縁体,半導体の電気伝導をバンド構造の観点から説明できる. 7.半導体からの発光機構について説明できる。
【授業概要(キーワード)】
波動関数,シュレーディンガー方程式,量子閉じ込め,トンネル効果,状態密度,フェルミ・ディラック分布,バンド構造,正孔,有効質量,真性半導体,不純物半導体,発光素子
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この科目は学習・教育目標A-Dとの対応:B この講義は「電子物性I」に引き続き開講され、「半導体工学」「電気電子材料」を理解するための基礎的な事柄を学習する。
【授業計画】
・授業の方法
週一回90分の講義を行う.また,演習を実施して内容の理解を深める.
・日程
第1週 量子力学の導入 第2週 波動関数の性質 第3週 シュレーディンガー方程式 第4週 無限障壁量子井戸 第5週 有限障壁量子井戸 第6週 トンネル効果 第7週 前半のまとめと中間試験 第8週 電子の性質・状態密度 第9週 フェルミ・ディラック分布 第10週 固体のエネルギーバンド理論 第11週 半導体のバンド構造,正孔,有効質量 第12週 金属,半導体,絶縁体とバンド構造 第13週 真性半導体,不純物半導体 第14週 半導体からの発光と発光素子応用 第15週 講義全体のまとめと期末試験
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
板書形式で授業を進める.ノートをとりながら物理現象のイメージを持つ.わからない点があれば質問して理解を深める.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
教科書と講義資料を使って,講義の内容を充分に復習して理解できるようにすること.不明な点があれば,次回の講義の時に質問する.毎回の講義内容の復習と講義資料の演習問題を解くために,1‐2時間程度の自己学習が必要になる.
【成績の評価】
・基準
科目の達成目標に記載の項目について試験を行い,以下の基準を満足したものを合格とする. 中間試験50点と定期試験50点の合計100点満点で60点以上を合格とする。
・方法
上記の授業の到達目標を理解しているかどうかを判断するために中間試験,定期試験を実施する.
【テキスト・参考書】
<テキスト> 応用物性論 (基礎工業物理講座 6) 青木昌治 朝倉書店 (「電子物性1」,「電子物性2」は共通の教科書を使う) <参考書>「初歩から学ぶ固体物理学」 矢口裕之 講談社 3,600円+税 (固体物理学の入門書として最適) <参考書>「固体物理学入門 上」キッテル(丸善)3,400円+税
【その他】
・学生へのメッセージ
・半導体デバイス(パワーデバイス,発光デバイスなど)・磁性デバイス・超伝導デバイス等の研究を将来やりたい学生はとても重要内容を扱うので必修. ・「電子物性I」の内容をよく復習しておくこと.
・オフィス・アワー
初回の講義で連絡する.
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